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わが町のおいしいものづくり

印刷用ページを表示する 掲載日:2012年6月11日

北海道本別町長 高橋 正夫

 

人類である私たちが食べることのできる食品の種類と数は、今現在、世界中で一体どれくらいあるのだろうか。分野で分けても生鮮食品に始まり、発酵食品、 健康食品やダイエット食品なるものまである。組み合わせや調理法によって、さらにその数は膨らむ。食事の回数からして、どれだけの種類を食することが 可能なのかどうか。米、味噌のように毎食の定番ものも当然あるし、趣向も変わっていくので、ことさら想像が付きにくい。 

本別町は、開拓以来、気候、風土に恵まれた農業を基幹産業とする町である。これまでも豆類の作付面積や生産量、また品質の良さで評価を頂いていることを 背景に、「豆のまち本別」として、その「豆」を生かし、その「豆」にこだわったまちづくりを展開している。少し宣伝させて頂くが、“十勝本別 「キレイマメの会」”は、町内の生産者、加工業者がその立場の特長を生かし、末永く、毎日でも召し上がって頂ける安心のブランドとして立ち上げたもので、 本別発祥の厳選した中生光黒大豆を原料とした納豆、素焼き大豆、味噌、豆腐などの製品を取り揃えている。もちろん、ブランド名は冠せずとも、羊カン、 もなか、どら焼き等、豆を使った品々は豊富にあって、他の本別産豆類と同様、本別産スイーツも安心の品であるし、これからも変わりないことは誤解のない ように…。 

わが町の期待の「ブランド」、その中で、末永く、毎日でも、と紹介させて頂いた訳であるが、これが本当に難しい。きっと「特産品」を扱う方々の共通の 課題として、いかに世間に認知してもらうか、この点にご苦労されていることだと思う。プロモーションのノウハウや資力の面で十分とは言えない環境下に あって、埋没することなく、混戦を抜け出すのは難しい限りである。何といっても、人が1日に、そして年間に食べることのできる量は限られており、 何か新しいものが取り入れられれば、何かをあきらめなければ均衡が保たれない。本別町産のものが毎日の食卓にお目見えすることとなれば、これほど嬉しいこと はないが、前にお目見えしたのはいつのことであったか、こんなことではとても寂しいものである。ただ、人のライフスタイルも多様化しており、これと比例して 食生活のあり方も多様化していく過程で新しい食品の登場機会が増える要因となり得るとも考えている。 

今現在にあっても世代や年代を超えて定番化した商品には正直脱帽ものである。生みの親の苦労として、その商品がしっかりと独り立ちできるように、 良いところをしっかりと伸ばしていけるような、そういった目配りをしながら、また、セールスマンとして、私もその先頭に立って全国にPRしていきたいと 考えている。小さな個性を磨き輝かせていくためには、決して自分一人勝ちではなく、こうした共通の課題を持つ地域で生まれた産物に個性、付加価値、 独自性を加えたもの一つひとつが消費者の皆さんに評価され、愛されることとなったときに、一次産業全体が評価を得て、信頼を増していくものと期待をしているところである。 

実のところ、十勝地方は、昨年12月に北海道フード・コンプレックス国際戦略総合特区に指定され、圏域全体で食と農業を盛り上げていこうという意気込みで いる。折しも本町では、本年4月23日に新商品開発・研究、農商工連携、食育等を目的に、新しい農産加工施設、その愛称も「元気なキッチン」をもじって 「ゲンキッチン」を開設させて頂いた。 

地球人口は70億人を超え、年間7千万人の増加を続けている。食料問題、食料危機を救うのは、栽培や保存の面からも「豆」であることの信念を大切に、 そして、この施設を基幹に「豆」にこだわった「何かおいしいもの」を皆さまに届けることにより、また「本別町」を発信していきたいと考えている。 新しい商品開発とデビューをどうぞ楽しみにして頂きたい。