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ウォーキング文化の醸成

印刷用ページを表示する 掲載日:2012年4月16日

大分県日出町長 工藤 義見

フランシスコ・ザビエル生誕500周年を記念して、6年前からザビエルの道ウオーキング大会を開催しています。   

コースはザビエル浜コース5㎞、ザビエルフルコース10㎞、周回健脚コース20㎞などですが、当初から多くの参加者を得て盛会のうちに実施しています。   

西暦1551年、キリスト教宣教師フランシスコ・ザビエルは、府内(大分)の大友宗麟の招きで、山口から豊前街道、背後地の西鹿鳴越道を経て当時の日出郷に至り、別府湾日出の浜より府内に入ったことに機縁しての大会です。   

地元では、この道を古くからザビエルの道とも呼んでいますが、勾配の険しい狭い山道ながら、頻繁に人や産品の往来する重要な道でした。明治以降、道路整備が進み、この山道は使われずに放置され、古木が倒壊・荒廃して道なき道となっていました。生誕祭を控えて、多くのボランティアの皆さんの力を借りて整備を進め、聖人の歩いた歴史ある道として復活させました。   

参加される皆さんは、それぞれの体力に合わせてウオーキングを楽しむとともに、各コースで古き歴史を感じながら、別府湾、周辺連山の素晴らしい景観を堪能しています。そしてこの道は、素晴らしい自然や景観が評価され、「美しい日本の歩きたくなる道500選」に入り、また県内でも「おおいた遺産」に選ばれるなど、日出町の主要な観光地として脚光を浴びています。   

うれしいことにこの大会を始めて間もなくして、イエズス会ローマ本部から日出町に対してメッセージが寄せられました。また、町内にあるトラピスト修道院にローマ本部からフランシスコ・ザビエルの聖遺物が贈られ、院内に納められています。   

さて、日出町にはキリスト教に関係してザビエルの道や修道院のほかにも、日出藩木下家家老の加賀山半左衛門とその子ディエゴが江戸時代に処刑され、福者に列せられたことから、最近、日出殉教公園が整備され、ミサなどの行事が行われる中、多くの人たちが来訪しています。   

このようなことから、日出町でウオーキング協会が結成され、「美しい日本の歩きたくなる道」、「日出町歴史・史跡の道」、「ザビエルの歩いた道」、「日出湾・別府湾展望の道」、「極楽行きパスポート取得の道」など多彩なウオーキングコースが設定され、自然、史跡、歴史的建造物、神社仏閣、農水産物、湧水、景観など点在するスポットを結んでいます。   

別府市と隣接する日出町の海岸線は、25㎞の延長があり、まず眺望で評価の高いホテルを目にしながら、島山公園付近を起点に大分市、別府市を遠景に望む海浜ロードが3㎞にわたって続きます。その間に俳人高浜虚子の記念句碑、戦艦空母海鷹の乗組員の記念碑、瀧廉太郎胸像等のある日出城址とその周辺、そして城下カレイ料理と庭園で有名な的山荘が続きます。   

この遊歩道は、自動車の往来もなく安全、そして海、山の景観の素晴らしさは抜群で、日出町が誇る第一級の財産です。   

歴史遺産を顕彰しながら始まったウオーキング大会ですが、風光明媚な別府湾を望みながら癒しや健康保持のためのウオーキングコース設定で、日出町におけるウオーキング文化の形成は着実に実りつつあります。   

自らの健康は自ら維持、管理することが大切です。一人ひとりが健康づくりの主役であり、生活環境がまさに健康づくりの場といえます。   

年々医療費などが増加する中で、個人、家庭、職場、公共の場でのライフスタイルに着目しながら、日頃の生活習慣を改善し、皆さんが進んで健康づくりに取り組めるように、さらなる支援や環境の整備で、ウオーキング文化の醸成に努めたいと考えています。