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自然環境と共生したまちづくりをめざして

印刷用ページを表示する 掲載日:2012年1月30日

自然環境と共生したまちづくりをめざして

神奈川県真鶴町長 青木 健

真鶴町は人口8,300人、面積7.02平方キロメートルの小さな町ですが、町域が起伏に富んでおり、箱根外輪山の山地から太平洋に伸びた半島を有する風光明媚な町です。

年間の平均気温は16.4度。温暖な気候と豊かな自然のおかげで、元気で長寿のできる町です。

歴史は古く、1180年源頼朝が岩浦から安房の国(現千葉県鋸南町)に船出し、後に鎌倉幕府を興したという史実があります。

江戸時代には、岩小松山の良質な石材が江戸城の石垣や品川のお台場の砲台の基礎に使用されたほか、良好な漁場を有し、ぶり漁が盛んで石材業と漁業で栄えました。

毎年7月27、28日に真鶴町の産業を支えてきた人たちで執り行われる「貴船祭り」は、日本三大船祭りといわれ国の重要無形民俗文化財に指定されております。

勇壮華麗なこの祭りは町の一大イベントとして、多くの観光客の皆様に喜ばれています。

こうした自然環境を多くの方に身近に感じ、触れていただく取組みをしています。

2008年には、県立自然公園である真鶴半島内町営レストランのケープ真鶴に「相模湾と海と緑の紹介コーナー」の設置や、海の生物を見る体験学習「海の学校」には、町内の子どもたちのほか、遠足や修学旅行などで町外からも児童や生徒、ご家族が参加できる場所として、無料で開放しております。

また、2010年には、施設2階に町営の「遠藤貝類博物館」を開館(18歳以上300円、小学生以上150円) し、世界の貝類の展示や学芸員による説明を行っています。

真鶴の海の恵みを通して命の大切さを学んでいただければと思います。

さらに、近隣の小田原市、箱根町、湯河原町と連携した世界ジオパーク認定を目指しています。

真鶴半島は、貴重な地質学・歴史資源です。その資源を維持し、さらに世界を視野に入れた観光地としての取組みを推進してまいります。

箱根火山の溶岩が海に流れ込み形成された半島は、岬の部分を総称して御林(おはやし)といいます。

明暦年間(1655年)江戸大火による復旧資材として徳川幕府は藩領に植林を命じ、真鶴岬に植えられた黒松などが350年伐採されずに御料の官林を経て、今では「魚付き保安林」として先人から守られています。

その林の恵みによる活魚料理は、町民や観光客の方々に喜んでいただいております。漁港にある魚市場の2階にも町営レストラン「魚座」(さかなざ)があり、海を眺めながら美味しい魚が食べられます。

こうした自然環境と共生したまちづくりは、歴史的建造物がなくとも大変貴重であり後世に伝えていくべきと考えております。そのため、一般市町村では、全国に先駆け景観法に基づく景観行政団体となり、背戸道(せとみち)のある佇まいの町並を大切にしております。

私は、2004年に町長に就任させていただき、防災・教育・医療・健康・観光に心を傾注し町民の方々に他人を思いやり故郷(ふるさと)を愛し誇りに思ってもらえるようなまちづくりが大切と考えています。

2011年に中国の揚州市で開催された世界デザイン都市サミットで真鶴町のまちづくりについて発表する機会を与えられました。世界14カ国16都市のうち、日本からは唯一招待されたものです。

揚州と日本は、もともと縁が深く、奈良時代に日本の国づくりや文化の発展のため中国大陸に海を渡り遣唐使を盛んにつかわしました。また揚州生まれの鑑真和上が日本に渡る決心をしてから12年目に24人の弟子をつれて渡日したのが753年です。新しい彫刻や建築の技法、さらに薬草や医学の知識などを我が国に伝えてくれた鑑真は、いわば日本文化の恩人であり、感慨深いものがありました。

サミットの会議では、真鶴町の概要を紹介し、町民の暮らしや海の仕事、山の仕事、もてなす仕事や貴船祭りといった生活風景をスクリーンに映し真鶴町の個性として大事にしていることを伝えてきました。

外観上のデザインだけではなく、個々の身の丈に合った生活の中で、豊かさを感じ形にすることが美しいと信じています。

場所の特性を尊重する。隣近所や自然との調和を大事にする。暮らしの質をアピールし、漁師等の仕事を見て体験することは新しい観光です。

立派な建物がなくても、豊かな暮らし方一つで観光資源になり、デザインが暮らしをブランド化します。

現在町では、空地空家情報の発信を行っています。都会や地方の人々に真鶴の魅力を伝え、移住促進を図っています。

豊かな自然と美しい眺め、歴史と伝統文化のまち真鶴へどうぞお越しください。

日本は、昨年3・11東日本大震災がありました。

中国をはじめ世界各国からの温かいご支援に対し、日本からサミットに参加している唯一の自治体として感謝を申し上げ、復旧復興に向け国民が一致協力していることを伝えてまいりました。