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基山町、これからの町づくり

印刷用ページを表示する 掲載日:2011年10月3日

佐賀県基山町長 小森 純一

私共の基山町は、佐賀県の東の玄関口で福岡県(筑紫野市・小郡市)と隣接して、JR博多駅より25分の位置にあります。町の中央をその鹿児島本線が、それを挟んで東側に国道3号線、西側に県道17号線が走っており、九州縦貫高速道の鳥栖JCT、基山PAも近くてバスを利用して福岡空港まで30分足らずです。地理的、交通の利便性にこの上なく恵まれています。
また、自然がたくさんあります。町の総面積わずか22平方㎞、その三分の一が山で、もう少し平地がほしい思いですが、標高405メートルの基山に残る基肄城跡(665年に新羅と唐からの大宰府政庁進攻に備えて、天智天皇が築かれた朝鮮式山城・国の特別史跡)。つつじ、新緑、紅葉で一年中賑わう大興善寺など多くの神社仏閣を抱く山々を仰ぎ見ると、豊かな自然への感謝を禁じえません。
施設も町制施行72年、常に町づくりに真摯に取り組んでこられた先人たちのお蔭で生活道路網、庁舎、町民文化会館、総合体育館、多目的グランド、学校その他コンパクトな町として整っています。あとは老朽化しつつある老人福祉施設、図書館、保育園の建て替え、改修が必要でしょう。なお、財政も現在のところまずまず健全に推移しています。
自画自賛、自惚れと言われるかも知れませんが、このようにかなり恵まれていると思っている状況にもかかわらず、平成12年のピーク時に19,200人だった人口が現在17,900人と減少が続いているが、それは何故だろう。全国的な人口減、十数年前に福岡のベットタウンとして急成長した反動、三方を今、開発され人口が増加している市に囲まれている、都市部の地価下落による回帰現象、核家族化による若者の流失など言い訳じみたことがつい出てまいります。しかし、この様な環境の我が町の人口が減って良い筈はありません。言い訳は許されません、何とかこれを克服して減少傾向にストップを掛けないと、町の将来が危ぶまれます。強い危機感を持ち、その対策に悩むところです。
どうしたら良いか。もちろんこうしたら絶対大丈夫と言う施策はないでしょう。しかし、これから確実にやってくる高齢化に備えての福祉の充実、教育、子育て支援、環境問題などきめ細やかな住民サービスが必要でこれらを他に少しでも魁けて、着実に実行し快適空間を創って行くことが定住人口の増加、将来のまちの活性化に継がるものと信じています。
さらに、これらに付加価値を付ける、それは究極の地方分権“協働”です。昨年、三年かけて「基山町、協働のまちづくり基本条例」が出来上がりました。そこには町民、議会、行政のそれぞれの役割と責任、町民参加、情報の共有、提案・要望などが定められています。これからは、この条例に則って町民主体の18,000人が一体となった町づくりを進めていきます。小さいから出来る、むしろ小さくなければ出来ないこの協働をすることによって、町民の皆様も必ずや町づくりのやり甲斐、達成・満足感、そして、真の豊かさを感じられると思います。
常に人の世には何が起こるか分かりません。そして、今日より明日が必ず良くなるとも限りません。しかし、その先行きは不透明、いたずらに将来不安ではなく、今こそ過去を省み、現在を認識した上でしっかりと将来を見据えることが必要で、基山町に自信と誇りと愛情を持って前向きな思考で頑張っていきたいと思います。