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役場庁舎村内移転と中心地整備

印刷用ページを表示する 掲載日:2011年9月5日

青森県町村会長 東通村長 越善 靖夫

先ず、本年3月11日発生の大震災において、不幸にも亡くなられた方々、想像を絶する被害に見舞われた市町村の皆様に対して、心よりお見舞いを申し上げます。東通村においては、幸いにも人的な被害もなかったのではありますが、全国から寄せられた励ましに対して、心より感謝を申し上げます。
最初に、東通村は、面積は約294平方キロメートル、29の集落が点在しております。主な産業は第一次産業であり、太平洋と津軽海峡に面する約65キロメートルにも及ぶ沿岸があり、サケ等の魚種のほか、アワビ等の貝類、コンブ等の海藻類の宝庫であります。
さて、村内には核となる集落がないことにより、開村以来、昭和63年まで、役場庁舎を「むつ市」に置いていたこと等から、道路、集会施設、学校関連施設、第一次産業振興などの基盤整備が遅れてきました。昭和60年当時、地理的な理由から何度も消えていた「村役場の村内移転」が重点施策と位置づけられ、前村長の川原田敬造氏は、「「天の時、地の利、人の和」がそろって初めて事が成就できた。」とする庁舎を、平成元年村政百周年に合わせて、63年秋に現在の地に新築落成させました。その後、交流センター、体育館等行政の中枢施設の整備を進めてきたのであります。
私は、前村長の急逝により、平成9年に村長に就任するとすぐに、保健・医療・福祉の包括ケアシステムに着目し、地域包括ケアの先駆者である地域医療振興協会との連携により、平成11年度には保健福祉センター、12年度には診療所、そして、15年度には介護老人保健施設を開設させました。
また、我が村は、原子力発電所の立地が行政の中心施策の一つであります。電力事業者の電力供給計画では、東北電力が2機、東京電力が2機、合わせて4機の計画となっております。昭和40年、当時の議会が誘致の決議をしたものであり、非常に重い意味があります。東北電力の1号機は、平成17年12月に運転を開始しておりますが、東京電力1号機は、度重なる計画変更により、本年1月に本格着工されました。原子力発電所の運転に伴い、平成16年度には、消防署の併設という、全国でも稀な原子力防災拠点施設もこの中心地に整備をいたしました。
次に、将来を担う人材育成、教育環境の整備充実に重点的に取り組んでおります。平成16年度、「東通村教育デザイン検討委員会」で策定された「教育環境デザインひがしどおり21」に基づき各種施策を展開しているものであります。そして、それまで比較的小規模の学校が各集落に点在していたものを、小学校、中学校、幼稚園、保育所をこの中心地に統合して整備することにより、教育効果を高めようとしたものであります。いよいよ平成24年には、保幼園が開設することにより、幼・小・中一貫教育という教育デザインの柱が整うのであります。
また、中心地整備計画の一環として、人口定住のための住宅地の整備も進めてきました。住宅地全体が人間の目のようなことから、「瞳の里」として平成14年度から一部分譲を開始し、併せて、分譲地の周りには、村営、事業者の集合住宅も整備され、中心地の様相を呈してまいりました。庁舎移転時に人口が「0」であったものが、現在は、約300名が定住しております。また、商業施設がないことから、第一次産業の活性化のためにも、中心地に産地直接販売施設を計画しており、24年度中には営業を開始することとしております。
こうして、私は、平成9年に村長に就任して以来、保健・医療・福祉施設、小学校、中学校、保幼園の教育施設、消防署、原子力防災拠点施設の整備、そして、人口定住のための宅地の整備など、中心地を拠点とし、住んでみたくなる村づくりを一貫して進めてきました。3月11日の大震災による、様々な問題から、益々困難な行政が続くことになりますが、今後とも当村の一層の地域振興を図って参りたいと存じます。
終わりに一言、一刻も早く、被災者の心が癒え、被災地の復興が進み、原子力発電所の事故の影響が収束することを、心より念願いたします。