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 自立のまちづくりを目指して

印刷用ページを表示する 掲載日:2010年9月6日

福岡県大刀洗町長 安丸国勝

大刀洗町は、福岡市の南東30㎞、筑後川の北岸に位置し、面積22平方㎞、人口約1万5千人の長閑な田園風景が広がるコンパクトな町でございます。大刀洗町の町名は、南北朝時代の武将菊池武光が大原合戦の後、血まみれた刀を小川で洗った故事に由来しております。また、隠れキリシタンゆかりの今村カトリック教会や、戦前は東洋一と言われた陸軍の大刀洗飛行場があった所でもあります。現在は、九州自動車道及び大分自動車のインターに近いなど交通の便が良いこともあり、北部地域には企業が進出し、住宅地としても発展しております。
さて、大刀洗町におきましても、平成の大合併においては、市町村合併を模索しましたが、平成16年6月に実施した住民投票の結果を受けて、単独の道を選択し、住民とともに自立のまちづくりを進めることとなりました。
しかしながら、私が就任する前の数年間は、基金を年間数億円規模で繰り入れて行財政運営を行っている状況であり、このような財政運営を続けていれば、大刀洗町は破綻するのではないかという危機感が町長選挙に立候補した大きな理由の一つでございました。
このため、一昨年の1月30日に町長に就任してからの2年半は、民間企業の経営経験を活かして、事務事業の見直しを実施し、職員の適正な配置や定数外職員の活用により、総人件費を縮減するとともに、保育所の民営化等、行財政改革の取組みを、スピード感を持って進め、平成20年度、21年度決算では、地方交付税の増額等もあり、基金を取り崩すことなく財政運営ができたところでございます。
しかしながら、現在、日本は未曾有の人口減少社会に突入し、国、地方、併せた財政赤字は増大を続けており、中長期的には、地方交付税の総額が減少することが懸念されております。また、これまで不交付団体であった首都圏や中京圏の団体の人口構成は、団塊の世代の割合が相対的に多いことから、今後の財政状況の悪化が懸念されており、本町に交付される地方交付税が更に減少することも想定されるところでございます。
大刀洗町におきましても、これまでは人口が緩やかに増加してまいりましたが、数年前から人口が緩やかな減少局面に入っており、今後は高齢者の人口が増加する一方で、働く世代の人口は減少することが予測されており、このことは扶助費等の歳出が増大する一方で、税収は減少することを意味しております。
したがって、中長期的には、本町の行財政運営は益々厳しさを増すものと予測されることから、本町の行財政を持続可能なものとするためには、行政の担うべき領域を明確にし、事務事業の整理合理化を図り、効果的・効率的な行財政運営を推進するとともに、働く世代や子どもの数の減少を、少しでも緩和する施策を実施する必要があると考えております。
このため、子育て世代の定住促進を図る目的で、保育料の引き下げや、町内全ての保育園で一時保育を実施するとともに、小中学校でのティームティーチングの実施や、夏休み等を利用した学習塾講師とボランティアによる小中学校特別講座の実施、校舎の耐震化、IT化、新エネルギー利用や校庭の芝生化等、これまで、安心して子どもを産み育てることができ、子供達が健やかに成長できる環境づくりを推進してきたところでございます。
今後とも、自立のまちづくりを目指して、健全財政を維持しながら、子育て支援や教育環境の充実を図るとともに、町民の健康増進や、高齢者の生きがいづくり、地域コミュニティの活性化を支援する仕組みづくりに、重点的に取り組んでまいりたいと考えております。