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 小さくても個性が光る自立したまちづくり

印刷用ページを表示する 掲載日:2009年10月26日

小さくても個性が光る自立したまちづくり

山口県阿武町長 中村秀明




思えば、昨年から続く百年に一度とも言われた経済・金融危機が未だに続く中で、今年1月には米国史上初のアフリカ系(黒人)のオバマ大統領が就任し、日本においては8月の衆議院議員総選挙において民主党が大勝。鳩山政権のもとで大きな政策転換が図られるなど、正に時代は歴史的変革の真っ直中にあります。

今後の地方行政においても変革を余儀なくされることが大いに予想されるところですが、私は国家情勢等が今後どのように変遷しようとも、地域の誇りや伝統、文化などをしっかりと守り育てて行くことが肝要であり、まちの風土など独自の個性を大切にしながら、新たな視点に立って“自立”したまちづくりをいかに推進していくかが重要だと考えています。

阿武町は山口県の北部に位置して日本海に面し、周囲は萩市に隣接しています。人口4千人足らずの第一次産業を中心とした小さな町で、住民の平均年齢も55歳を超え、住民の43%が65歳以上という状況にあります。

そうした中で、これまで町の方針として産業基盤・生活環境基盤の整備などを積極的に推進し、上下水道等のインフラ整備はすべて完了。住民のインターネットの接続環境も整い、U・J・Iターンの受け皿として公営住宅や分譲住宅地の整備をはじめ、就業の場の確保やインターネットを使った空き家情報、定住アドバイザーによるサポート支援の充実を図ると共に、高齢社会の中で住民が安心して暮らせるよう5人の保健師が健康づくりのリーダー的役割を担っています。

また、私が初当選した平成17年に町制施行50周年を迎え、記念式典をはじめ、これまでの50年を総括した記念誌と、これからのまちづくりに向けた基本構想・基本計画を発行しました。

特に基本計画の策定にあたって は、職員自ら新しい行政の推進に一丸となって邁進するための指針づくりとなるよう、全職員が知恵を出し合って策定したもので、計画名を「元気!あぶ町! 5001プラン」としました。

この「5001」の意味は、最初の「50」は町制50周年を迎え、さらに新たな半世紀のスタートラインに立った始まりを「01」として捉え、「5001」を10年後の目標人口としました。その内訳は、町民が4001人、各種イベント等を通じて町外から阿武町を支援していただく阿武町ファンのサポート町民を1000人としたものです。

また、「5001」の「1」は、町民が主役ということを表現したもので、この「1」を英語の「I(アイ)」に読み替えて、町民一人ひとりが主体的にまちづくりに参加・参画していくことを表しています。

そして、この計画を実行性のあるものにするために、行政システムや自助・共助・公助の役割をもう一度見直す運動の一つとして、全職員参加によるプロジェクトチームを編成し、今一度原点に立ち返って、問題点を洗い出し、自ら解決していくための「そもそも運動」に取り組んでいます。

その成果の一つとして、町制発足から54年間続いて来た駐在員制度を改め、この4月から自治会制度をスタートさせました。今後は地域コミュニティを基本に、町民一人ひとりが主体となって力と知恵を出し合い、行政と共に創り上げていく自立と協働のまちづくりを実現していきたいと考えています。

私は、今年5月に2期目の町政を担当させていただくことになりましたが、就任当初から町内3地区でまちづくり懇談会を開催するなど、あらゆる機会を通じて町民からの意見を町政に反映させる一方で、様々な行政課題、事業を展開するためには、何といっても健全財政の維持が基本であると肝に銘じて参りました。幸いにも当町の財政運営は良好に推移しており、経常収支比率は長期にわたって県内トップの指数をキープしています。

今後も不断の行財政改革を行う一方で、町民の安全安心をはじめ、産業振興や定住・環境対策など、真に必要な事業には果敢に取り組み、行財政運営にメリハリをつけながら、町民の立場に立って気配りや小回りのきく「小さくても個性が光る自立したまちづくり」を進めていきたいと考えています。