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 自然と産業が調和するまちを目指して

印刷用ページを表示する 掲載日:2009年7月6日

自然と産業が調和するまちを目指して

埼玉県寄居町長 津久井久雄

私の住む寄居町は、東京から70キロ圏に位置し、中央を、「荒川」が流れて います。「荒川」は、秩父山塊を源流とし、東京湾に流れ込んでおり、流域に は豊かな穀倉地帯を育んでまいりました。

また、戦国時代には、後北条氏の、北関東支配の拠点として、さらに、甲斐、信濃からの侵攻の備えとして重要な役割を担った「鉢形城」が築城されておりました。

鉢形城は、荒川と支流群により形成 された自然の要害としての地形を利用したものであり、この地形は、古より、「鳥も窺い難し」と詠まれております。

また、鉢形城跡は、昭和7年に約24ヘクタールが国指定史跡となり、現在は、一部が歴史公園として整備され、また、日本城郭協会により選定された 「日本100名城」の一つとして、大勢の人たちに親しまれております。

このように、寄居町は、豊かな自然と由緒ある歴史に数多く恵まれている ことから、古くから多くの文人墨客に親しまれるとともに、町内からも多く の文化人を輩出しています。

また、町内には、勇壮な春の北条まつり、夏の水天宮祭、夏祭り、秋の大祭などを代表とし、多くの伝統行事が 継承されています。

さらに、近年では、名水百選である「風布川(ふうっぷがわ)・日本水(やまとみず)」、水源の森百選である「日本水の森」、「水の郷」などにも 選ばれ、豊かな自然が大切に継承されていることが、各方面から高い評価を受けております。

また、最近では、町内の有志の方々に、寄居町を桜の里にする運動に取り 組んでいただいており、毎年町内に由緒ある名桜の苗木を植えていただいています。

桜は、世界の品種を見ますと、日本では、7月、8月、9月以外の時期は いつでも咲く花だそうです。近い将来、寄居町が、10月から6月には、町のどこかで桜が咲いている、日本でも稀有な桜の里になり、その下で、子供たちが楽しそうに、桜の花を見上げる姿を想い描いています。

さて、町では、20年来の誘致が実を結び、町内に本田技研工業(株)の新工場が建設される運びとなり、平成19年9月起工式が行われ、工事が進んでおります。世界同時不況の影響から、若干操業時期が遅れることとなりましたが、この新工場は、「人に優しい、高品質で高効率な生産・物流システムを駆使した、資源・エネルギー循環型グリーンファクトリー」をコンセプトとし、「先進技術を駆使し、高品質で高効率な生産システムを確立し、世界の拠点に水平展開する役割を担っていく」としています。

この工場の隣接地は、県営の広域埋め立て最終処分場「埼玉県環境整備セ ンター」が設置され、平成元年から供用開始されております。

また、平成15年からは、同一敷地内に、環境分野で21世紀をリードする先端技術産業を誘導・集積し、資源循環型社会の構築を目指す「彩の国資源循環工場」の整備が始まり、平成18年から操業され、さらに、現在では、「資源循環工場Ⅱ期事業」の計画も進められております。

このような中、町では、平成19年度から第5次総合振興計画基本構想に取り組み、実現に向け町民の皆様と力を合わせるまちづくりを進めており、この構想の目標は「自然と産業が調和する創造のまち寄居」であります。

歴史を振り返ってみますと、産業分野では、時代の流れとともに技術革新が行われ、「強いものよりも変われるもの」が残っていく一方、地域の文化は、脈々と受け継がれ、その地域の歴史と伝統となり、時代が変わっても変わってはならないものとして継承されています。

「まちづくり」とは、創造と継承でなければなりません。

私は、新たな産業の進出という絶好の機会を逃すことなく、町民生活の安定を図るために、大胆な産業振興策をとることは勿論、一方では将来に残し ていかなければならないものにもきちんと向かい合いたいと考えています。

春は新緑の里山を眺めながら、川岸の桜を愛で、夏は荒川や、支流群での水遊びを楽しみ、秋の紅葉に心をときめかせ、そして冬の渡り鳥を楽しみつつ、時には、歴史を物語る文化遺産に浸りながら、最先端の科学技術の粋を集めた産業の振興に努めて行きたいと考えております。

私は、これからの寄居町を、町民の方々と手を携えて、人が自然の一員として、また、自然と産業の調和を図る要として、楽しく生活し、文字通り「自然と産業が調和する創造のまち」として、後世に残していくよう努力を傾注していく決意でおります。