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 無茶は禁物

印刷用ページを表示する 掲載日:2009年2月16日

秋田県東成瀬村長  佐々木 哲男


男の厄年は、25歳、42歳、61歳されています。その年の前後も、健康などには十分に配慮した生活をするようにと昔からよく言われておりました。
しかし、そうは言っても何かに夢中になっているとついつい無理をしてしまって、とんでもないことになりがちです。私もその一人で、42歳のちょうど、それも誕生日を過ぎてまもなくの11月、時折あられが降る木枯らしの中での、村のイベントが終わったときに、突然身体の異変に気づきました。
完走はしたものの、その無理がたたってか、胸が締め付けられて階段を上がるのも苦しく、果ては、歩くのさえ息が苦しくやっとのことで自宅に帰りました。一晩眠れば治るだろうと思っていましたが、回復がはかばかしくないのです。
朝を待って、村の診療所で受診後、中心市の病院を受診の結果、即日入院となってしまったのです。その異変のもととなるイベント(わずか3㎞あまりの、「マラソン」とは名はついてはいるものの、単純な路上走)参加までに、ひとつの経緯がありました。
それは、私よりも4歳年上の方との競争意識から発展したもので、その相手は、イベントの常連であり、しかもほぼ常勝する強敵で、何かに付けライバルみたいな方でした。冬のスキー大会、麻雀、将棋、パチンコ、花札、野球と遊びなら何でもこいで、スキーはそこそこの勝負ができていたのですが、それを除いてはほとんど負ける状態に、内心非常に面白くないものを感じていました。
よせばいいのに、3キロ走だったら練習したら勝てるのではないかと密かに心に決め、練習を開始しました。その練習は、相手に目立たないように朝早くか、人通りのない夜間などに始めたのですが、何せ少ない人口の我が村ですから、すぐに相手の知るところとなり猛練習を始めさせてしまったのです。
いよいよイベント当日となり走り始めたのですが、体力的にも経験でも、勝負の駆け引きでも数段上を行っている相手であり、まるで勝負にならなかったのです。
泣きっ面に蜂!病院での診断はなんと胸部に水がたまっている、つまり「胸膜炎」とのことで、約6ヶ月は入院が必要ではないかとのこと。愕然としました。
しかし、あれこれ考えたがどうしようもないこと、全くつまらない意地を張って、能力以上のことをしたものであると反省のみが頭をよぎりました。
入院生活は単純なもので、1回だけ胸水を取った以外は服薬のみ、2日後にはあの苦しさはどこへ行ったのかと思われる様態で、主治医の定時回診も簡単きわまりないものでした。1ヶ月後ぐらいの科長回診では、他の医師が胸部写真を見ながら首をかしげ、「あんた何でまだいるの?」と言われる始末。“居たくて居るのではないよ!”と、心の中で悪態をつきたくなりました。約2ヶ月の入院後、年末年始に一時帰宅を許されて、再び病院に帰ってまもなくの1月7日にこれまた突然の退院許可が出ました。嬉しかった。
この苦い入院以来、「無茶は禁物」と肝に銘じて健康にはことのほか注意するようになったと思っています。まもなく始めた柴犬「ベル」との朝夕の散歩を、ほぼ40分ぐらいは、欠かすことなく続けてきました。今は、ビーグル犬の「ココア」とこの日課をこなしており、体調も良いです。ゴルフも下手の横好きで始めて10年、恥ずかしながらやっと80台後半を2度出せて、しめしめと 思ったら、再び90台、やっぱりあれはまぐれだったんだとあきらめつつ、それでも懲りずに続けています。冬が来るとスキーにも熱中しています。
ちなみに、スキーとゴルフはライバルにはこのところ勝ち続けております。相手と程よい競い合いがお互いの健康法になっているのではないかと思っているところです。