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 都市・農村・漁村交流による村おこし

印刷用ページを表示する 掲載日:2006年11月6日

青森県蓬田村長  古川 正隆


4年後に、東北新幹線が新青森駅に入って来ます。
蓬田村は、新青森駅まで車で20分の距離にあり、新幹線開業を待ち望んでいます。それ は、我が村に限らず、津軽半島一帯の市町村が大都市圏からの人口の流入や観光客の大幅増を期待しているところです。
本村は、陸奥湾に面した漁業と農業の村です。碁盤の目に整備された5月の水田は、空の色と山々を写して、心いやされる風景です。早朝の漁港には、ホタテ貝出荷の漁船が賑やかに行き交います。また、桃太郎トマトの産地としても知られています。
しかしながら、近年の産業構造の変化に伴い、地域活力の低下が指摘され、新幹線効果を最大限に活かすためにも、人々を引きつける個性的な地域づくりが求められています。
観光に関連する産業の裾野は広くその波及効果は大きいことから、観光関係者だけでなく、地域のさまざまな分野から参入していくことも必要です。地域の人・物・施設等を総動員した地域づくりを目指して行かなければなりません。
「人々が住んでみたい村、観光客がふるさとのように訪れたい村」を目指す一方で、地域で生活する住民の生活満足度の向上や住環境に配慮した、持続的に発展できる観光地づくりが望まれているところです。
こうした中でも特に注目されているのが、都市・農村・漁村交流による観光事業があります。都市・農村・漁村交流事業は「地域特産物の販路拡大」「観光客の増加による消費への期待」「雇用創出」などの経済的効果とともに、「地元農村部の認知度の向上」「地域リーダーへの研修の場の提供」「文化、情報の交流」との社会的効果が大いに期待されているのです。
様々な効果が期待される都市・農村・漁村交流ですが、地域によっては効果が上がらないケースも散見されています。その要因としては色々なことが考えられていますが、期待通りの効果を生み出すためにも、明確な「地域経営戦略」の有無がポイントだと思います。地域の各界、各層の意見を加え、残された最後のフロンティアである農村地域をどのようにしたいのか、どういった絵を描きたいのかの「戦略」、「マスタープラン」がまず必要となるでしょう。計画そのものが地域に合った、農村・漁村で消化できるものとならなければなりません。都市・農村・漁村交流事業は、あくまでも農業・漁業を基幹産業とする地域経済を補完するものであるという認識を忘れてはならないのであります。
一方、具体的なターゲット層を想定し、それらを意識してのハード、ソフトの整備をする必要があります。
特に、教育における週5日制の導入から、児童、生徒の余暇活動の時間が広がりつつありますが、農業・漁業体験等を通じ、農村・漁村部がその受け皿として果たすべき役割は大きいものがあると思われます。児童、生徒の課外活動、情操教育の場として大きな可能性を農村・漁村は秘めているのであります。また、対象を高校生、大学生に広げる事は、農業・漁業に対する理解の向上や後継者問題への寄与等から大変有意義な事ではないでしょうか。
現代社会における都市部の勤労者やファミリーは様々なストレスにさらされています。このような人々のリフレッシュの場として、更には高齢者の憩いの場としても都市・農村・漁村交流事業は機能する可能性があるでしょう。ただし傾向としてこうした層は、域内消費にあまり寄与しないという課題が指摘されています。何らかの形で、消費促進に協力してもらえるような取り組みが必要です。 
 情報化社会の進展に伴う国際化の波は、農業・漁業にも影響しており、農家・漁家の生活は大変です。米や野菜に頼ってきた農家は、ただ栽培し出荷するだけでは生活が成り立ちません。
 新しい発想で様々な視点・情報から新しい産業をみつけだすことが今後重要と考えております。