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 地域再生と心の豊かさ

印刷用ページを表示する 掲載日:2006年7月3日

岡山県 吉備中央町長  重森 計己


♪うさぎおいし  かのやま
        こぶなつりし  かのかわ♪
四季の移りかわりをむかえるたびに自然豊かな高原地帯に住んでいるありがたさを身をもって感じています。手入れされた里山があり、小川がゆったり流れる童謡に歌われるような自然を守り、未来に引き継いでいくことが我々の使命と思います。
我々の住んでいる中山間地域の農地は食糧の生産のみならず、環境保護、災害防止といった面からも重要な存在です。山林もかつては人間にとって大切な資源を供給してきました。芝草、薪、材木だけでなく水の源としても大切な役割を担ってきました。自然の循環が山に住む動物たち、山里に住む人間の生活リズムを創り守ってきました。
人々の生活も隣組、互助の精神などが培われ、歴史・文化・生活を維持し、発展してきました。
しかし、今、農地は耕作放棄による荒廃地の増加、山林は、枯れ松・風倒木の未処理により荒廃しています。地域の財産として守られてきた農地、山林が荒れることにより土砂崩壊や河川氾濫などの自然災害の発生が心配されています。
一方、人々の心も豊かさ・ゆとりがなくなり他人との絆が見つけにくい時代となっています。自殺・ひきこもりなどの増加とあわせて子供たちが標的となる凶悪犯罪が相次いでいます。地域のコミュニティが崩壊し、安全・安心が大きな揺らぎをみせています。
便利さ、合理主義、経済成長の追求により、こころの豊かさが失われ、自然も人々の心も大切なものを大切なものとして見る目が失われてきています。
今こそ、自分の住んでいる生活環境を見つめ直す必要を痛切に感じています。そこに住む者が、自分の住んでいる環境を見つめ直し、地域のよさ、山林の持つ機能、農地の役目を再認識すれば、自然環境も人々の心も必ず再生すると思います。
里山をよみがえらせ、農地を再生することで人間を取り巻く自然環境が豊かになれば人々の心も自然に豊かになっていくと信じています。
地域で暮らす人々が真の豊かさとは何かをしっかりと見据えて、ともに挑戦し、ともに感動し、ともに笑顔する基盤をみんなで創っていくことが重要であります。
時間のかかることですが、目標をしっかり定めて、焦らずにゆっくりと地域の再生に取り組んでいきたいと考えています。
「ありがとう」「もったいない」が自然に使われる社会を切望してやみません。