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 今日の話題

印刷用ページを表示する 掲載日:2005年5月16日

兵庫県播磨町長  佐伯 忠良
ここ数年、町長仲間が集まると「市町合併」が話題となっています。そんな時、私はいつも「合併しないで存続する方がむしろ大変ですよ。」と返しています。ほんの少し前まで兵庫県内で60を超える町が存在したのですが、来年3 月末には、11~13の町しか残らないと予想されています。その場合に何が問題となるのか、私なりに述べてみたいと思います。
合併を決断された町においては、それぞれの思惑があってのことだと思います。しかし、合併を決断した要因は国の経済状況に拠るところが大きく、合併という重大な事柄が、当該町の自主性、自発的な考えに基づいて決断されたものであったかどうか、疑問です。それだけに、「合併を考えなくていいなぁ」と言われる立場はよく理解できます。国と地方が対等にその役割を果たすことを基本として地方分権一括法が制定された過程があったことからすれば、私たちにとって今一番重要なことは国と地方との財源配分です。補助金・負担金の廃止は当然のことですが、この廃止に伴う国の負担の減少分は、そのまま地方に配分されて然るべきものだと考えていた町長がほとんどではなかったでしょうか。
しかし、どうやらそうではないことが次第に明らかになってきました。今回の三位一体の改革の中で示された補助金などの削減に対し、スリム化分として、税源移譲と値切りが行われています。私たちがこれを容認すれば、国も地方に対する補助金等をなくすことで、地方以上のかなりの経費削減が可能なはずです。また、地方自治体の財源を保障する地方交付税は、これまで何度も改革が行われて現在に至っているものですが、今でもその機能はいささかも変化していないし、将来にわたって充実させなければ自治体格差が広がり、国民が住む場所によってサービス、負担が異なってきます。これにより国民の不安が生じ、由々しき事態となりはしないか、大変憂慮されるところです。
同時に、これからは県と市町においても、すべての点においてバトルが始まるでしょう。「平成の大合併」によって町村の数は急激に減り、地方六団体としての力量が求められてきます。我が県でもそうですが、町村会の役割と存在価値が問われています。本町にとっても、構成自治体として大いに関心を持ってあたらなければならなくなっています。
終わりに、本町は行政面積9平方キロメートルと県下最小で、人口は3万4千人のまちですが、生き残りを賭け、あらゆる行財政改革を断行すべく決意しているところです。このまちの町長として「まちづくり」をどう考えていけばいいかについて、次の5つを念頭においています。まず、本町が今回の合併を望まない限りにおいては、施策・財政運営などすべてにおいてまちの「継続」という考えに立つこと、1つ目は、これまでの施策、これからの施策すべてが「道理」にかなっているのかを十分見極めること、3つ目が住民との協働・連携により行政機能を高めること、4つ目に行政の内部把握を高める為、プランナーやマネージメント能力の育成・強化を図ること、そして最後に本町に住む人たちが「我がまちに誇り」を持つことです。本町は行政面積が小さく、人口がそれなりに多いことから、住んでいる人やこの地で働く人達との対話も容易で、行政効率も良く、これからの「まちづくり」に大いに発展性をもっていると考えています。