ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 町村長随想 > 輝く町「由宇町」に向けて

輝く町「由宇町」に向けて

印刷用ページを表示する 掲載日:2005年4月18日

山口県由宇町長  槙本 利光


由宇町は波穏やかな瀬戸内海に面した温暖な地ですが、合わせて標高540mの銭壷山を代表とする山々、そして由宇川と多様な自然を感じることができます。青い海と緑の山野は暮らしにゆとりと活力をもたらし、子供からお年寄りまで一人ひとりが輝きにあふれ、人情を育んでおり、こうした環境が世界的な数学者である広中平祐氏をはじめとする、多くの知識人を輩出した大きな要素だと考えています。また、この自然環境の良さに加え、隣接している岩国市や近隣の広島市への交通利便の良さから、昭和50年以降はベッドタウンとして発展してきました。
自然、そして交通に恵まれた由宇町には、由宇温泉、広島東洋カープの2軍練習場、瀬戸内海を臨みながら360度の景観を満喫できる銭壷山、そしてそこに建てられた青少年の交流施設「山口県ふれあいパーク」、岩国カントリーゴルフ場など、老若男女みんなで憩えるロケーションが整備されています。
また、海と人のふれあいを目指し、国土交通省と山口県の支援を受けて実施している由宇港海岸環境整備事業では、今年7 月のオープンを目前に控え、人工海浜や交流施設の最終的な整備を進めており、住民参加型の交流拠点「みなとオアシス」としてベールを脱ぐことになっています。そこでは、観光や都市と農山村漁村の交流体験や情報発信、町内の海の幸・山の幸を中心とした物産販売、そして山口大学と瀬戸内海区水産研究所の協力で企画している海の環境教育や生物研究等の生涯学習拠点「ミクロ生物館」など、多種多様な交流ができる施設として賑わうことが期待されています。このように当町は、若者からお年寄りまで一人ひとりが輝くことのできるステージが用意されているまちです。
私もこのステージで余暇を堪能している一人であり、ある時は小さな船ではありますが漁船を操るフィッシャーマン、そして時にはヨットマン、そして陸では、ベースボールプレイヤー、サイクリスト等々、海、陸を問わず自然を余すことなく満喫しています。多少の二日酔いは、自然に興じることで直ぐに回復してしまいますし、最近では風邪ひとつひいたことがありません。こうした環境が、私そして町民の健康づくりに大きく寄与していると言えます。自然とふれあうことで心を豊かにしたい方や体力・健康づくりに関心のある方は、是非当町への移住をお勧めします。
平成12年の地方分権一括法制定を契機に、山口県でも「県広域行政推進要綱」が制定され、県を挙げての市町村合併推進を展開し、岩国市と由宇町等周辺町村でも1市7町村による広域合併に向けて歩み出すことになりました。合併シミュレーション調査の実施、合併調査検討協議会の設置、そして15年4月には法定合併協議会を設置し、途中新たな町の加入による合併協議会の再編劇もありましたが、今年2月8日の合併調印式までに26回の合併協議会を開催しました。何処の紛糾した協議会でも同じでしょうが、この間の市と町村部の対立は、対等合併とはいえ、自治体の大小による力の論理が働き、また地域住民の代表としての責任を負ったそれぞれのまちの協議会委員の思いが、住民負担やサービス、そして議員の取扱いの協議の中で度々感情的なもつれとなって現れました。合併手続き上では難局は解決したことになっていますが、合併期日は来年3月20日となっており、それまでの1年間に具体的な住民負担やサービスに関する調整、新市総合計画策定に向けての協議など、まだまだ乗り越えなければならないハードルがたくさん残っています。この1年で、合併後の禍根を残すことのないよう、しっかりと協議し、新市においては地域住民と行政が一体となって新しいまちづくりをしていく必要があると考えています。
私は町長に就任し8年目を迎えますが、すばらしい施設や政策も、住民が参画し主役であってこそ活きてくるものであり、また心あるまちづくりは住民とのふれあいと対話の中から生まれてくるものと常に考え、町民主体の町政を推進して参りました。幸いにも、私達の夢は新市まちづくり計画に謳われています。新市でも厳しい財政運営となるでしょうが、新市長がこうした考えに基づいて、新たに市民となる町村部の住民にも配慮した住民本意の市政を展開すれば、必ずや子や孫が誇りに思う、すばらしい未来が開けてくるものと確信するものです。