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 ”キラリと光る”まちづくり

印刷用ページを表示する 掲載日:2004年11月1日

”キラリ”と光るまちづくり

愛媛県伊方町長 中元 清吉

  
伊方町は愛媛県の西部、九州に向かって突き出した佐田岬半島の付け根にあります。人口約6,600人、小型底引き網漁を中心とした沿岸漁業と柑橘栽培が盛んで、日本一の愛媛みかんの主産地の一つでもあります。

古くは、イワシやサバなどの沿岸漁業で栄え、大正から昭和にかけての養蚕を経て、戦後は柑橘栽培が急速に進み、今では耕地のほとんどが柑橘園となっています。温州みかんに始まり、伊予柑やデコポンなどの晩柑類、ハウスみかんと続く周年栽培で、厳しい産地間競争に活路を見いだそうとしています。

また特徴的な産業に、酒づくりにたずさわる杜氏集団があります。藩政時代から始まったという古い伝統を誇り、明治後期には朝鮮半島をはじめ、九州や四国一円に1,000人あまりが酒づくりに従事した時期もありました。後継者難と酒造場の減少等により、今では杜氏13名と30人あまりの従事者に減少しましたが、それでも四国一の杜氏集団として活躍しています。

毎年4月には、自慢の新酒を持ち寄り自醸酒品評会が開催され、その年の清酒の出来ばえを競い合い、伝統技術の保存伝承に努めています。この品評会に出品された清酒は、市販酒とは違い、格別の味わいがあるため、左党に珍重されています。

人々は、おおらかさと進取の気性を合わせ持っており、南予(愛媛=伊予の南部)人気質らしい昔話”トッポ話”が数多く残っています。トッポとは、奇想天外で愉快な意味です。その一つに「おらんとこの山はのう、13里もあるがぞ。富士山の15倍じゃ。そがいに高い山じゃけん、風で倒れたらいけん思うて、横に寝かせてあるがよ」と、鼻高らかにお国自慢をしたそうな…。この横に寝かせてある山が、私たちの住む日本一細長い佐田岬半島です。

町のもう一つの顔は、四国で唯一の原子力発電所があることです。昭和44年に町が誘致に乗り出し、昭和52年に1号機、昭和57年に2号機、平成6年に3号機が営業運転を開始。今では、四国の電気の約4割をまかなう重要な役割を果たしています。

また、半島部特有の風を利用し、風力発電施設の整備に取り組んでいます。まず今年度2基(850kW)、さらに12基(1,500kW)の建設を目指しています。隣町の瀬戸町、三崎町でも建設済み11基、建設中(一部計画含む)22基あり、町村合併が計画どおり進みますと、47基の風車が半島の尾根づたいに林立する全国に誇れる「風車の町」になります。

町内の観光スポットとして県下一の潟湖「亀ヶ池」があります。この池に隣接する漁港を核とした国のふれあい漁港整備事業と県の農業(親水)公園整備に合わせ、半信半疑で温泉掘削を試みたところ、昨年11月に地下1,500mから毎分173㍑、しかも46℃という高温水が湧出しました。分析の結果、弱アルカリ泉質で、慢性消化器病、冷え性など数多くの効能があり、療養泉として疲労回復や健康増進に打って付けとの折り紙付きでした。町では地名から「亀ヶ地温泉」と名付け、今秋11月より仮設の温浴施設をオープン致しました。道後温泉に次いで四国で2つ目の45℃以上の温泉です。お立ち寄りいただければ幸いです。

なお本格施設は、今年度中に構想をまとめ、来年度に着工。周辺の自然環境とマッチし、地元住民と都市との交流をテーマに”健康の拠点づくり”を目指したいと考えています。

新鮮な魚貝類、年中取れる柑橘類、手作りの日本酒、風光明媚な景観と良質の天然温泉等々、豊かな自然を活用した滞在型の観光客誘致が目標です。

伊方町は今、隣接の瀬戸町と三崎町との3町で、町村合併を進めています。すでに合併調印式を終え、3町の議会承認もいただき、最終調整の段階を迎えました。来春4月1日には、新しい町「伊方町」の誕生を目指しています。新しい町になりましても、人口13,000人あまりですが、地域の特性を活かした”キラリと光る”まちづくりに努めます。