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 「人・自然・歴史-やすらぎの里 ちはやあかさか」をめざして

印刷用ページを表示する 掲載日:2004年5月17日

人・自然・歴史ーやすらぎの里ちはやあかさかをめざして

大阪府千早赤坂村長 大向 保


大阪府唯一の村である千早赤阪村は、大阪府の南東部に位置し、村域37.38平方kmで村の90%以上を山林・農地が占める緑豊かな村であります。

村内には、日本の棚田百選に認定された「下赤阪の棚田」など美しい田園風景がいたるところに広がっており、昔より豊かな緑と恵まれた水、四季の変化が楽しめる「金剛山の里」として親しまれております。

村のシンボルでもあります金剛山(標高1,125m)は、古くは古事記や日本書紀の時代から山岳信仰の舞台として崇められてきた歴史があります。金剛生駒紀泉国定公園にも指定されており、季節の移り変わりとともにその姿や表情を変え、訪れる人々を楽しませてくれます。山には、ブナやクリンソウ、カッコウなど貴重な植物や動物が生息し、春は新緑、秋は紅葉、特に冬の樹氷、霧氷は美しく、自然の宝庫として季節を問わず年間100万人もの登山者が訪れています。

また、村は、14世紀南北朝時代に活躍した武将楠木正成の生誕地でもある「太平記の里」としても知られ、村内には、楠公誕生地や千早城址をはじめとする数多くの楠公史跡が存在しております。

このような豊かな自然・歴史遺産に恵まれた千早赤阪村は、昭和31年の村政施行以来、農林業を中心に発展してきました。

しかしながら、21世紀を迎えて、高齢化・少子化の進行や、さまざまな分野での国際化・高度情報化の進展、地方分権の推進、住民の価値観の多様化、産業構造の変化により地方行政の果たす役割はますます重要となる中で、本村を取りまく環境も大きく変わり、人口の減少、高齢化が進み、また、長引く不況の影響などから、村の財政状況も非常に厳しい状況が続いております。

このような中で、行政、住民が一体となって知恵と創意工夫で、限られた財源を有効に活用したまちづくりを積極的にすすめるうえで、今後の村が目指すべき将来像を「人・自然・歴史―やすらぎの里」ちはやあかさかとした第3次千早赤阪村総合計画を平成13年3月に定めました。

本計画の大きな柱は「豊かな自然と歴史文化を守り、伝え活用します」ということであります。自然と歴史という村の特性を十分に生かしながら、村内の住民だけではなく、村外の人にとっても自然の中で学び、ふれあい、楽しむ、憩いとやすらぎを与える調和したまちづくりや、本村に伝えられる伝統文化、歴史的文化遺産を保全・継承・活用するまちづくりを進めております。

村では以前より、「一冊の絵本のような村」をテーマに絵本に出てくるような魅力ある美しい村づくりを進めております。これは、自然・歴史・風景など村固有の資源を大切にし、村全体が一つの資源であるとして、村の「くらし」「なりわい」「ひと」を密接に関連させ、自然と調和した中で人の温かさが感じられ落ち着いて暮らせる村として、また、絵本のような村を訪れる人々にとっても村を楽しむ中で、心を癒し、和ませる村として、村に興味を持ち村に刺激を与え、村民と触れ合い交流を深めることを目的としたものであります。

今後も歴史的伝統文化と新しい文化とが息づく、自然と調和した中で人の温かさが感じられ落ち着いて暮らせる村として、また、社会状況の変化にも迅速に対応できる村として、住民のみなさんとともに活力あるまちづくりに邁進したいと考えております。