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 市町村合併に想う

印刷用ページを表示する 掲載日:2002年1月7日

長野県上山田町長 小山立

長期停迷のシナリオを描かざるを得ない経済情勢下の今日、時代は大きくその様相を変えようとしている。

従来の国・県への依存、前例踏襲、横並び、護送船団方式の意識、補助金獲得のための陳情。こんなことを繰り返しやっている限り町村の未来は描けないのではないでしょうか。国民皆んながねだりの精神や、甘えの構造によって、全てに荒廃を来たしてしまった。国も県もパンク状態にあり、そこで地方分権、自己責任と自己決定、自立、競争原理が必要とされ、21世紀の新しい、いや本来の常識を取り戻す転換期にある。

こんな状況下にあって、何とかして持続的発展のシナリオを描きたいというのが町村長の本音であり、そのため行財政改革をして行こうということになります。

そこで私は、行財政改革の行きつく所は市町村合併しかないと考えました。

全国の町村長は「今の行政サービスを維持してゆくことさえ難しい」ことは充分に分かっているはずです。

では、何故に合併に踏み切れないのか。

私は国や県の強制ではなく、自主的に合併の推進を進めておりますが、自主的とは、と問われれば「町民の声を聞いて…」「村民の声を聞いて…」「合併しろといえばしましょう」的な返答をしがちな面を感じています。合併について、特に合併特例法の説明も詳細にしないで、町民や村民の声を捉えることはできないと思います。

町村長が自主的に自らの進退をかけてリーダーシップを発揮しない限り、合併は出来ないと考えます。まして自分のポストを失うことを恐れるなら、合併問題など投げかけるに値しないのではないでしょうか。合併しなければ、我が町は、村は、どうなるのかということについても、町民、村民に訴えて欲しいと思います。

合併には当然メリットもあればデメリットもあります。「デメリットをこうして克服して行きます」との方針を示し、大いに議論し、合併特例法、市町村合併支援プランを熟読すれば、合併した方が良しとなるでしょう。そうしたらお隣りの市町村へ自ら投げかけてお願いしてみましょう。

身を捨ててこそ、浮かぶ瀬もある、浮世であります。首長自らの身を捨てて、閉塞した夢のない今こそ、10年先、20年先いや100年の大計を描いて地域住民に夢を…。

母なる日本海へ通ずる北信濃の千曲川沿いに、更埴市、戸倉町と我が上山田町はあります。

あんずの花、チューリップ、月見草、リンゴの花、トルコギキョウ、カーネーションと、花のロードが続き、冬季オリンピック・パラリンピックの舞台となった長野市の隣り、北信濃観光の入り口に、戸倉上山田温泉、姨捨山(冠着山)伝説、森将軍塚古墳、聖山高原、棚田、すばらしい自然に恵まれたこの1市2町が合併し、21世紀の新しいまちづくりを目指しています。

そして、姨捨山伝説、この伝説のようにお年寄りを大事にする親孝行のまちづくりをテーマに…。

また、戸倉上山田温泉を現代の湯治場として、元気回復のまちづくりを考えています。

一方、今ある地域の小さな輪(自治会・区会・常会)、コミュニティーを一層大切にし、この「小さな輪」で相互扶助の仕組みを再構築して、住民と行政による協働のまちづくりへと発展させて行きたいと考えています。合併による「大きな輪」とコミュニティーごとの「小さな輪」による“人の輪(和)”を大切にし、地域が発展することを望んでいます。

このようなことを考えて筆を置くと、町長室から眺める戸倉上山田温泉の赤い灯・青い灯、芸よし・気立て良しの芸妓さん(総勢150名)とスナックのママさん(150人)が私を呼んでいる様です。

四苦八苦の人生、共に今宵は飲み・語り合いましょう。

二度とない人生、メリハリをつけて、「明日という字は明るい日と書くのね」という詩の文句を信じて…。