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 支え合う心でまちづくり

印刷用ページを表示する 掲載日:2000年10月16日

山梨県町村会長 増穂町長 田中隼人

近年、急速な少子・高齢化の進展、核家族化の進行、さらに住民の価値観の変化などにより、住民ニーズが多様化してきており、地域社会を基盤とする更なる福祉の充実が求められてきております。

お年寄りには「我が家で家族に看取られながら最期を迎えたい」という願望があり、そのためには行政として、何ができるのかを考えさせられます。これからの高齢化社会への対応は、行政と地域社会が一体となって取り組むべき最優先課題だと痛感しています。

この現実を直視するなかで、町民誰もが健康で元気に暮らせる思いやりのある町づくりを目指して、平成元年に策定した「福祉エリア構想」に基づき、平成3年には「地域健康福祉センター」を建設し、町と社会福祉協議会との連携によるデイサービス事業の実施や、県内では先駆けの「在宅介護支援センター」の設置を手始めに、ホームヘルプ事業などが進められ、平成4年には温泉掘削に成功し、その温泉を利用した健康増進施設「まほらの湯」の開設。

また、これらの中核施設となる「国民健康保険高齢者福祉支援センター」を建設しました。この中では、痴呆性老人デイサービス事業や母子保健事業などを行ない、国民健康保険診療所、山梨県看護協会による訪問看護ステーションなどが併設されています。

これらの施設がそれぞれ機能し合い、町が目指している保健・医療・福祉が一体となった「ふれあいの郷」による福祉のまちづくりを進めています。更に、知的障害者の民間通所授産施設を誘致し、従来の小規模授産施設を移転充実させて、福祉エリア計画の施設面のすべてを完了することとなっています。

町民の要望に添った、総合的かつ効率的なサービスを提供することにより、動きはじめた介護保健事業はもとより、各種の保健・福祉事業の展開にも十分応えられるものと確信をしております。

また、「夢と安らぎと活力、そして知性あふれるまちづくり。」をモットーに、「夢」は町民みんなに未来への夢を持っていただく。「安らぎ」は、高齢者のみなさんが生まれ育った地で落ち着いて住んでいける安心感であり、安らぎを支えるのが地域の「活力」であります。

住民が相互理解と連携を深め合うなかでこそ、住民の連帯感が生まれ、そこに真の活力ある地域は生まれると思います。

この連帯感を醸成するのが教育に裏打ちされた知性です。本当の教育を積めば、お互いに支え合う心が育ち、高齢者や社会を大事にする考え方が生まれ、福祉も充実すると思います。この福祉に対する思い入れは、どの市町村より強い、そして誰にも負けないものを持っていると自負しています。

福祉サービスとは受ける側が負担に思わない「さりげなさ」です。おしつけがましいのではなく、何気なく、また気が付かないくらいで受けたほうがいい。

日本は基本的に「遠慮の文化」です。そこに福祉だボランティアだと乗り込んでいくのは福祉とは言わないと思います。町全体を「家族」と見ればいいんです。誰も家族に過剰サービスはしないでしょう。自然にさりげなくです。感謝されることを期待しないで当たり前のように動く。そうなった時、本当の福祉が根づいたといえると思います。

住民が明るい生活が送れ、「増穂に住んでみたい。」と思っていただけるようなまちづくりを展開していきたいと思っております。