神奈川県大井町長 小田 眞一
「大井町は神奈川県の南西部にあり、東京都心から70km圏に位置しています。西は二宮尊徳ゆかりの酒匂川の松並木越しに箱根連山から日本一の山・霊峰富士を望み、南は相模湾を望む水平線、北東には丹沢山塊が眺望できる大変風光明媚なところです。
また、年間を通じ温暖で、大変住み心地の良い、人情味豊かな町でもあります。この良好な自然環境により、昭和40年代半ばより、近隣県や全国各地から転入された人々によって急速に人口が伸びてきた元気で健康な町です。
町の表玄関は、東名高速道路・大井松田インターチェンジ。そこから続く幹線道路沿いには大型スーパーマーケットや物販店・飲食店等が並び、足柄平野の玄関口としての機能を果たし、発展しております。また、この地は鎌倉時代頃から「大井の庄」と呼ばれ、町内には北条時頼の坐像等、鎌倉幕府に由来した歴史的遺産もあります。
町面積の6割を占める丘陵地からは縄文時代後期のものとされる国指定重要文化財の土偶や土器が発見されており、古代から人の営みがあったところでもあります。現在、この丘陵地には、株式会社ブルックスホールディングスの施設「BIOTOPIA(ビオトピア)」という神奈川県が推進している「未病改善」をテーマとした先進的な複合施設が稼働しており、観光・健康・産業の拠点となっています。また、周辺地域には企業の研究所等も進出しています。他にも地元で採れた新鮮な野菜や果物等の農産物を、消費者に直販できる施設もあり、早朝より町内外からの買い物客で賑わい新旧住民の交流の場としても親しまれており、地域に根ざした暮らしを支えています。
一方、4割を占める平坦地には、酒匂川沿いに肥沃な水田地帯があり、稲作を中心に梨・イチジク等の栽培が行われており、田園風景を残しながら、製薬・マルチメディア・自動車関連等の企業も操業していて、農業と産業が共存する町でもあります。社会資本の整備にも力を入れており、下水道の整備等は早くから着手するなど、住環境の向上により都市化が進んでおります。近年は、町役場庁舎の隣接地で大規模な区画整理事業を行ったことで、多くの住宅が建設され、また、同時に町民の希望だった大規模な公園も完成し、連日多くの老若男女で賑わっております。さらに隣接自治体を東西につなげる都市計画道路も3年後の開通をめざし現在建設中であります。こうした取組からか全国的な人口減少化の中でも本町の人口は現状を踏みとどまることができております。
ひょうたんで町おこし
昭和56年、町内にあるJR御殿場線上大井駅で日よけのために植えられたひょうたん棚の涼しげな風景が、JR(当時の国鉄)の時刻表8月号の表紙を飾ったことをきっかけに上大井駅は「ひょうたん駅」と言われるようになり、ここから「ひょうたんの町おおい」の歴史がスタートしました。これまでの間には「ひょうたん」による町おこしの一環として全日本愛瓢会の大井町展示総会が開催され、秋篠宮殿下が来町されておられます。また、ひょうたんの栽培が最盛期である夏には、町の一大イベント「大井よさこいひょうたん祭」が開催され、毎年“大い”に盛り上がっています。踊りコンテストの表彰に「神奈川県知事賞」「高知県知事賞」が設けられるなど、年を重ねるごとに盛り上がりを見せています。
町内の酒匂川散策路には「ひょうたん池」や「ひょうたん棚」が整備され、その周辺でのウォーキングが人気です。昨年の4月からは、今まで以上に「ひょうたんの町おおい」を内外に発信するため、お笑いタレントのあらぽんさんと、ひょうたんランプアーティストの向川康樹さんのお二人を「大井町ひょうたんアンバサダー」に任命し、「ひょうたんの町おおい」のPRに力を貸してもらっています。
これからも「みんなでつなぐ 大井の未来」をまちづくりの目標に掲げ、次の世代に誇れる町を築くために、町民の皆さんと手を携えながら、一歩一歩、堅実に取り組んでまいります。