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日本一のりんごの町・日本一女性が住みたくなる町をめざして

印刷用ページを表示する 掲載日:2025年3月3日更新

長野県飯綱町長 峯村 勝盛長野県飯綱町長 峯村 勝盛​​

 飯綱町は、県都長野市の北部に隣接した人口1万人ほどの小さな町です。平成17年に2村が合併して、飯綱町になりました。

 主たる産業はりんごと水稲を中心とする農業であり、豊かな自然に囲まれた農村地帯であります。農地と住宅が点在する、これといった特徴のない町として誕生した飯綱町ですが、合併後10年を経た平成27年頃から、飯綱町らしい発展を望む声が大きくなってきました。

 時を同じくして「まち・ひと・しごと地方創生事業」が始まり、その基本的計画である総合戦略を策定し、町の第2次総合計画を絡めながら、特徴のあるまちづくりに着手することになりました。

 地方創生の柱には、主たる産業である農業振興と人口の減少・少子高齢化対策を位置づけ、この大きな課題に取り組む象徴的なスローガンとして「日本一のりんごの町」と「日本一女性が住みたくなる町」を掲げました。

 このスローガンは、第2次飯綱町総合計画のメインテーマとしても掲げました。計画策定にあたっては、10代から60代の幅広い年代層から選出した20人の皆さんで検討して頂きましたが、男女の比率も半数ずつと致しました。

 あれから8年が経過し、第2次総合計画は令和8年には最終年度を迎えます。

 「日本一のりんごの町」ですが、りんごは町内で古くから栽培されており合併前の旧三水村では、全国の生産量の約1%にあたる9.560tを生産し話題になったこともあります。長野県内でも有数の産地として知名度もあり、ゼロからのスタートという訳ではありませんでした。

 しかし、日本一をめざすとなれば、何をもって一番とするのか。

 試行錯誤の時期もありましたが、加工品の研究の中からシードルの製造が始まりました。フランスなどでは、サイダーとも呼ばれ食前酒として人気がありますが、今では町の特産品として定着しています。また、クラフトビールやりんご粉末を原料とするリンゴレザー等、次々と従来にはない、新しい加工品も誕生してきました。

 ふるさと納税においても、返礼品としてりんごが大きくクローズアップされてきました。りんごには、味は良いけど贈答品には向かない、通称「家庭用」と呼ばれる物が一定割合出てきます。このりんごを、光センサーで品質チェックをし、「感謝りんご」として返礼品に致しました。令和5年度には8万人の方にご支援いただきました。ふるさと納税大手サイトのりんご部門では日本一になりました。

 大胆な目標を掲げてどうなるかと心配しましたが、大きな目標に向かって進んだ成果だと思っています。

 「日本一女性が住みたくなる町」については、まだまだ道半ばの状況です。飯綱町は20~39歳の女性の人数と出生率が、県内でも最低レベルにあり、女性に魅力のある町づくりを進めることが、最終的には人口の増加につながるとの思いから、このスローガンを掲げて取り組んできました。

 長野市にも近く、通勤、通学などにも大きな不自由がなく、教育や医療、福祉などの生活環境も整備された飯綱町になんで定着していただけないのか。そんな疑問に立ち向かってきました。

 今、思うことは、子育てや教育、生活の支援等は、極めて重要なことであり、これらを一層充実していくことは、論を待ちません。

 しかし、それだけではないと感じます。女性一人ひとりが多様な価値観をもって生きている中、結婚したい人、したくない人、こどもを望む人、望まない人、家庭と仕事を両立したい人、バリバリ仕事をしたい人など、さまざまです。大切なことは、それぞれの生き方を普通に理解し、普通に応援してくれる、そんな社会を作ることです。大きな課題として、取り組んでいきたいと思っております。

 さて、本年は飯綱町にとって町制20周年を迎える節目の年です。この町の豊かさと輝きを未来に継いでいくとともに、「ここで暮らす幸せを実感できる」まちづくりを引き続き進めてまいります。