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カラダを癒し、こころ清める

印刷用ページを表示する 掲載日:2025年1月13日更新

鳥取県三朝町長 松浦 弘幸鳥取県三朝町長 松浦 弘幸 ​​

 ~六根清浄と六感治癒の地~日本一危ない国宝鑑賞と世界屈指のラドン泉で認定された日本遺産。三徳山は国の名勝・史跡に指定され、その歴史は1300年を超える昔、修験道の開祖役行者が「神仏のゆかりのあるところへ落としてください」と3枚の蓮の花びらを空に投げました。そのうちの1枚が伯耆国三徳山に舞い降り、この地に修験道の行場が開かれたと伝えられています。指定文化財のうち国宝に指定されている三仏寺奥の院投入堂は、断崖絶壁に築かれており、役行者が投げ入れたといった説がありますが、未だに解明されていない不思議なお堂です。また、参拝には木の根を伝い、岩場をよじ登って行者道を進む必要があることもあってか、国内はもとより、訪日外国人観光客の関心も高まっています。

 ストーリーを構成するもう一つ、三朝温泉は「三つ目の朝には病が消える不老長寿の湯」と言われてきました。860年前に三徳山参拝者の湯治場として栄え、その後、国民保養温泉地を経て賑わいのある温泉観光地として年間340万人(コロナ前)の観光客が訪れています。三朝温泉は、世界屈指のラドン温泉で、体内の新陳代謝を促進し、体の免疫力や自然治癒力が高まることが長年の研究でわかっています。特徴的と言われる、飲む温泉、天然ラドン熱気浴、鉱泥湿布といった温泉療法は、医療機関や地域のもとで受け継がれるほか、岡山大学では、ラドン温泉の効果研究が行われています。また、町内にある岡山大学惑星物質研究所では、はやぶさ2が持ち帰った小惑星「りゅうぐう」の試料の解析など、地球・惑星物質科学の研究が進められています。

 本町は、鳥取県のほぼ中央、南は岡山県との県境に位置し、東西24km、南北19kmで総面積233.52kmの広大な地域を有しています。周辺は山地に囲まれ、約9割が森林原野で、狭隘な谷間に沿って集落が点在しています。

 町の産業は観光業のほかに農業が主力です。山間地域の小規模農家が多く、鳥取県の名産「二十世紀梨」をはじめ、全国食味ランキングで特Aに評価されたブランド米「きぬむすめ」、イソフラボンの含有量が多い地大豆「三朝神倉」等の地域農産物があり旅館や学校給食の食材に活用しています。私の家は、田んぼが60aと畑が6aあります。この職に就いてからも、コシヒカリと野菜づくりを続けています。多忙な中にあっても、楽しく汗を流し、いい気分転換になっています。田んぼ仕事は、日の出早朝と夕方日没、そして週末の公務の合間を使っていて、それでも何とか継続できています。田植えなどで一時的に作業が集中するときは、近くに住むこどもや孫たちの応援があってのことですが。畑では、ほうれんそう、とまと、なす、きゅうり、じゃがいも、玉ねぎなど一年を通じて想定外の事態が起こっても食べていける環境にはあります。なかでも自慢はスイートコーンづくりで、毎年400本から500本ほど栽培しており、町内のおひさま市という直売所に、賑やかし程度に出荷しています。「町長のトウモロコシ」というポップをつけていただいたこともありました。また、ここ数年は、縁のある東京のフランス大使館にも届けています。野菜作りの楽しさは、種を蒔いて収穫までの時間と作業でしょうか?野菜って毎日見てあげなければうまく育ってくれません。害虫や病気の観察をしたり、肥料を与えたり、除草したりして。とにかく、一人で思いのままにできる貴重な時間となっています。野菜作りを新人研修等のプログラムに加えてもいいかなと思ったりします。

 今、人口減少社会がさまざまな課題を生んでいます。町の人口は、令和5年度末で6,000人を割り、まち・ひと・しごと創生総合戦略では、2040年に5,000人規模の目標を掲げてまちづくりを進めています。私たちの町は、人の交流を機軸に、デジタル社会にあって田舎のくらしが豊かである町でありたいと思い頑張っています。