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良好な組織運営をめざして

印刷用ページを表示する 掲載日:2024年10月28日更新

富山県舟橋村長 渡辺 光富山県舟橋村長 渡辺 光​​

​ 富山県中央部に位置する『日本一小さな村』が舟橋村でございます。舟橋村は即ち日本一小さな自治体でありまして、南北の長さは2kmに満たない大きさであり、総面積はたったの3.47km²しかございません。しかしながら、全国で初めて市街化調整区域の解除を達成し宅地の造成を進めたことと、県庁所在地かつ中核都市である富山市に隣接するという地理的要因とベッドタウンとしての魅力、そして『子育て共助』と銘打ち取り組んできた子育て環境整備の3つの要素が相まって、平成以降継続して人口増加を遂げてまいりました。そのような経緯をもつ舟橋村の環境は、適度な自然も残り、過疎でも過密でもなく、大きな不便さもないという環境であり、『ちょうど良い適度な田舎感』が舟橋村の最大の魅力であると認識しております。

 私は、そんな舟橋村に生まれ20歳まで住み暮らし、一度村外へ移住したもののこどもを授かったことをきっかけに、38歳の時に舟橋村へ戻りました。自身として、こどもたちをどこで育てるかを考えた結果舟橋村に戻った訳ですが、こどもたちにとっては自身で舟橋村を選んだ訳ではありません。こどもの育つ場所は親の一存で決められているわけで、この考えにおいては、舟橋村で育つことを決められたこどもたちのためには、私が舟橋村の未来に責任を持つべきだという想いに至った結果が現在へとつながるわけであります。

 さて、私の背景について簡単に触れましたが、現在はようやく一つの任期の折り返しを迎えるところであります。行政経験全くゼロで飛び込んだもので、今でも日々職員さんに勉強させてもらいながら、首長の職を預からせていただいております。そんな私ですが就任以降取り入れたことや、積極的に取り組んでいることがございます。

 まずは既存の人事評価制度に加え『360度評価』を取り入れました。既存の評価方法は、上司から部下という一方向の評価であるため、業務の遂行状況に基づいた評価や、各職員が個々に設けた目標の到達具合の評価になりがちであります。言うならば職員さんの人間性は既存の評価では非常に汲み取りにくいと感じております。その点において360度評価は、職員間同士の双方向の評価はもとより、部下から上司の評価等によって、より繊細な人間性が評価できていると感じております。日々顔を合わす者同士、言いにくいことも評価内容として出てきますが、一貫して批判や否定にならないよう、より良く改善に向かう意見を心がけてもらっております。その結果、今では職員間で問題は大幅に減り、働きやすい職場環境の実現が進んでおります。

 そして2点目になりますが、先にも述べました360度評価と合わせ個別面談を実施しております。行政サービスを担当している職員数は約30名になりますが、一人あたり1時間半程度の時間をかけ、現在の悩みや感じること、想うこと等を面談(といっても雑談形式)しております。中にはプライベートな相談を受けることもあります。そういったさまざまなことを共有することで、職員さんとの人間関係の構築ができていると強く感じます。やはり、行政サービスも最終的には人が行うものです。そして首長と職員さんは雇用関係で結ばれているわけではありません。何かをお願いするときに最終的にモノをいうのは『人間関係』でしかないと感じております。現在、舟橋村では来庁者の居心地を考え、BGMを庁内に流しております。これも面談の機会において職員さんからの提案で実現しました。こういった、提案をできる環境も上で述べました人間関係があってこそのモノだと感じております。

 今回は僭越ながら、私の取組を述べましたが、全ては村のため、村民のための発想から実施しております。ご覧いただいている皆さまの各地で同様な想いのもと、日々従事されておられると思います。ぜひとも軽率かもしれませんが私の取組も組織運営の一つの手法と受け止めていただけますと幸いです。最後までご清覧いただきありがとうございました。