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地域の強みを活かしたまちづくり

印刷用ページを表示する 掲載日:2024年6月3日更新

群馬県神流町長 田村 利男群馬県神流町長 田村 利男
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 神流町は、群馬県の南西部に位置し、旧万場町と旧中里村が「自治の灯をともし続けるために」を合言葉に、平成の合併では県内第1号として平成15年4月1日に誕生し、今年で22年目を迎えました。総面積は114.60km²で、その約90%が森林に覆われています。東西に流れる神流川が深いV字谷を形成し急峻な地形のため、神流川及びその支流に沿うようにわずかな平坦地に住居を構えて集落を形成しています。

 地理的条件に恵まれていないものの、先輩方の知恵や工夫により、急峻な地形を巧みに利用し地域に適した産業の振興に取り組み、豊かで安定した生活を営んできました。

 しかしながら、高度経済成長以降、若年層を中心とした人口流出が加速し、急速に高齢化が進んだことで、地域の活力の低下を招いてきました。

 このような中、神流町の特徴であり最大の財産は恵まれた豊かな自然環境や地域資源でありますので、町長就任後この財産を活用した町づくりに取り組んできました。

 林業は町の発展に欠かすことのできない重要な基幹産業でありましたので、先人が植林した木を町づくりに活かすため、林業の再生に取り組み林業の復活を目標に掲げ林業を中心とする地域産業の活性化と持続可能な森林経営を目指しています。

 現在は、国家プロジェクトである大工志塾の実技研修を受入れ、町の「神流杉」や「神流檜」を活用した四阿、五重塔、町営住宅の建設など町産材の活用とPRに取り組み、林業・木材産業の成長産業化を進めています。


 また、地域の自然や資源等を活かした産業振興や観光誘客にも取り組んでいます。

 町内で伝統的に栽培されてきた地域在来種の大豆「あわばた大豆」による6次産業化を推進しています。この大豆は、甘みとコクが特徴で道の駅「万葉の里」で「豆腐」の開発、販売を行っています。また、標高600m以上の高地で栽培されるジャガイモ「インカのめざめ」を原料に焼酎やレトルトカレーを開発し、町で設立した神流振興合同会社を中心に地域の稼ぐ力の向上につながるよう特産品づくりを進めています。

 観光誘客については、自然体験型の充実を図るため、標高900mの大自然の中に「みかぼ高原オートキャンプ場」を整備しました。施設内には、44区画のテントサイトと受付用の管理棟、炊事棟やトイレ棟、シャワールーム、アーニングエリア(ワーケーションスペース施設等)が完備されており、現在もサイトエリアの拡充にむけ整備を進め、最終的には90区画を確保しさらなる誘客に取り組んでいきます。


 また、道の駅から対岸を結ぶ「万葉大吊橋」を整備しました。狭あいな地形を活かした道の駅と神流川と対岸の森林をつなぐ一体的なゾーンを形成し、新たなランドマーク施設と併せ、対岸のフォレストベース(森林エリア)での、木材のPRやエリア内での体験イベントの開催、神流川までの遊歩道の整備など、道の駅周辺の資源を最大限活かした観光誘客に取り組んでいます。


 昭和60年に日本で初めてとなる恐竜の足跡化石が発見され、それを契機に建設したのが「神流町恐竜センター」です。 館内には、恐竜の骨や歯、エビやカニなど町内で発見された貴重な化石を始め、格闘恐竜などモンゴル恐竜の化石標本なども展示しているほか、恐竜の時代を再現したライブシアターも用意していますので、小さなお子さんでも楽しむことができます。      

 群馬県は海なし県ですが、ここ神流町では貝類などの化石がよく見つかることから、1億年以上前には海があったことを教えてくれます。

 私は、町には、まだまだ活用できる資源が豊富に眠っていると考えております。美しい山と川、豊かな森林、農作物、古民家、恐竜など、地域の強みを活かした稼ぐ仕組みづくりを構築し、地域経済の活性化につながる発展的なまちづくりを今後も推進していきたいと考えております。