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敬天愛人

印刷用ページを表示する 掲載日:2024年4月29日

鹿児島県瀬戸内町長 鎌田 愛人鹿児島県瀬戸内町長 鎌田 愛人​​

​ 「敬天愛人(けいてんあいじん)」。この言葉は、幕末から明治時代初期にかけて活躍した、薩摩藩(鹿児島県)の政治家、軍人の西郷隆盛の座右の銘です。

 「敬天愛人(天を敬い、人を愛する)」、「道というのは、この天地のおのずからなるものであり、人はこれにのっとって行うべきものであることから、何よりもまず、天を敬うことを目的とすべきである。天は他人も自分も平等に愛したもうから、自分を愛する心をもって人を愛することが肝要である」(南洲翁遺訓より)

 私の名前はこの言葉からとったもので、「なるひと」と読みます。

 ちなみに、令和の天皇陛下のお名前は「徳仁(なるひと)様」であります。天皇陛下は幼き頃は現在の上皇后・美智子様から「なるちゃん」と呼ばれていたそうでありますが、私も幼きころから、年上の方からは、「なるちゃん」と呼ばれ、町長になった今でも「なるちゃん」と呼ばれます。このことは私の喜びの1つでもあります。

 この「敬天愛人」という言葉は私の政治信条であり、選挙の際の旗印でもあります。政治家にとっての「愛」は、「愛国心」「郷土愛」「隣人愛」「家族愛」そして「人を愛する」ことが大事だと私は思います。

 他方で、首長ともなると「愛」だけでは行政運営はできません。「断る勇気」も必要です。住民や議員からのお願いごとに対し、できないものはできないとはっきり言わなければなりません。たとえ嫌われようが、「愛」がないと言われようが、情に流されず、「公正公平」に物事を判断することが持続可能な行政運営につながるものだと思います。

 「敬天愛人」と合わせて、私の政治信条とする言葉があります。それは

 「ドゥ(自分)のクゥトゥ(事)より、チュン(人)のためスリヨ(しなさいよ)」

 カタカナは私の町の方言です。この言葉は私の祖父の言葉です。

 私の父も祖父の言葉のごとく町議会議員として、また各種団体の責任者として、自分や家族のことより、人のために力を注ぐ政治家でした。私自身も祖父の言葉を胸に刻み、父の姿を目に焼き付け、PTA活動、スポーツ少年団の指導者、青年団活動、そして町議会議員として、人のため地域のために尽くしてまいりました。さらには、姉や親戚一同も祖父の言葉を実際の行動としてきたことが、私の町長就任につながったと思います。

 さて、行政について申し上げますが、我が町は鹿児島県の奄美群島に属し、人口約8,200人の町です。特徴として有人離島三島(加計呂麻島、請島、与路島)を有し、1つの町が海峡を有する、日本で唯一の町であります。

 有人三島の課題解決を図るべく、「時代の潮流と社会の変化への対応」として新たなことに取り組んでいます。

 その1つが「DXの推進」です。令和5年4月、総務課にDX推進室を新設し、推進体制の構築に注力してまいりましたが、本町の取組については総務省が全国から意欲的なフロントヤード等の改革に取り組む自治体をモデル地区として選定し、汎用性があり横展開が図られる事業を構築していく「フロントヤード改革モデルプロジェクト実施自治体(人口1万人以下)」として採択いただきました。より迅速に・確実にDX推進を図り、「町民サービス」「教育」「行政運営」における「デジタルファースト」で取り組んでまいります。

 もう1つがドローン運航事業であります。本町はJALやその他の企業とドローン運航に向けた社会実装に取り組んできましたが、この度瀬戸内町とJALの共同出資によるドローン運航会社「奄美アイランドドローン」を設立しました。災害時の活用として、被災状況把握のためのドローンによる空撮や救援物資等の輸送。平常時の活用として、本町が有する二次離島への医薬品、日用品、新聞の輸送、また学校給食用の食材の配送も定期的に輸送することとしております。離島におけるドローン運航のモデルとなるべく取り組んでまいります。

 そして、瀬戸内町の特徴である、1つの町が海峡を有している日本で唯一の町として、リアス式の天然の良港であるという地形的要件に加え、沖縄と九州のほぼ中間に位置しているという地理的要件等、国家安全保障上重要な拠点となる可能性があることから、防衛省による港湾施設等の整備計画に係る適地調査が行われております。我が国の安全保障上の抑止力、対処力強化につなげるためにも、本町として、積極的に協力してまいります。

 結びになりますが、私は初めての町長選挙の際に、町民・全国の郷友会・役場職員が一体となった、「チームせとうち」を旗印として掲げ当選いたしました。そして2期目、3期目においては、先ほど紹介した施策の一部としての「時代の潮流と社会の変化への対応」の施策と合わせて、時代が変化しても実行しなければならない施策も大事にし、「町民を愛し」「町民の声に耳を傾け」「町民の心に寄り添いながら」行政内部の問題としての「職員の意識改革・資質向上」「情報発信の強化」「強固な財政」を図りながら「より強固なチームせとうち」を目指し、これからも町政運営に全身全霊で取り組んでいきたいと考えております。​