ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 町村長随想 > 自然を活かした住民参加のまちづくり

自然を活かした住民参加のまちづくり

印刷用ページを表示する 掲載日:2023年8月28日

前川 光 町長京都府大山崎町長 前川 光​​​

  大山崎町は、面積5.97km²と京都府内で一番面積の小さな町で、京都府の西南端、大阪府と京都府の府境に位置しています。西には緑と歴史豊かな天王山が、東には桂川、宇治川、木津川の三川が合流する雄大な淀川の流れが私たちを見守っています。

 人口はおよそ1万6千人、小さいながらも文化施設などが点在しています。天王山のふもとには、「アサヒグループ大山崎山荘美術館」があります。大正から昭和初期に建てられた洋館(本館)と、建築家・安藤忠雄氏設計の新館の周りに美しい庭園が広がっており、まさに新館に展示されているクロード・モネの絵画「睡蓮」の景色を楽しむことができます。また、羽柴(豊臣)秀吉が一夜で建てたとされる三重塔が重要文化財に指定されている「宝積寺」や、秀吉が千利休に建てさせた国宝の茶室「待庵」など、見どころは枚挙にいとまがありません。

 いにしえから京の玄関口として栄えたこのまちは、現在も京都、大阪の大都市に近接しており、交通の要衝として広く知られています。町内やその付近にはJRと阪急電車の駅があり、通勤・通学にも便利です。また、国道171号線や名神高速道路の大山崎JCTが通っており、名神高速道路で天王山を貫く「天王山トンネル」は、京都府外の方にもその名が認知されているところです。

 おそらく一度は耳にしたことのあるフレーズ、大一番の勝負を表す「天下分け目の天王山」の語源は、天正10年(1582年)に起こった「山崎の合戦」です。本能寺の変を受け、羽柴(豊臣)秀吉と明智光秀の軍がこの大山崎の地で激突した戦いで、大山崎の名を全国に知らしめるきっかけとなりました。現在は天王山に年間約15万人がハイキングに訪れ、四季折々の美しい姿を楽しんでいます。電車で訪れることができ、また、1時間程度で頂上に到達するため、気軽に登れる山として、老若男女に親しまれています。

 本町では「自然豊かな子育てのまち」をスローガンに掲げ、子どもたちが自然の中ですくすく成長できるよう、天王山をはじめとする豊かな緑の保全に、ボランティア団体、企業などの協力を得ながら取り組んでいます。また、子どもたちの受け皿の整備に力を入れており、保育所はこれまで待機児童ゼロを達成し続けています。さらに、今年4月からは中学校給食をスタートさせ、生徒はもちろん保護者からも好評を博しているところです。

 余談ですが、私の趣味は家庭菜園や花を育てることで、自宅の庭にとどまらず、町役場周辺にも花を植え、緑豊かで気分が明るくなる空間づくりに日々勤しんでいます。この活動を住民の皆さんにも広げたいと思い、「花と緑のまちづくりサポーター制度」を創設し、住民が主体となって緑豊かなまちづくりに取り組んでいただけるよう支援しているところです。

 環境問題にも積極的に取り組みたいと考えており、まちの豊かな自然を子どもたちやその先の世代へと引き継ぐため、令和2年度には、2050年までに二酸化炭素排出量の実質ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ」宣言を表明しました。また、令和3年度には「大山崎町地球温暖化対策実行計画」を策定しており、「住民参加で脱炭素」を基本理念に、住民一人ひとりが「脱炭素」を意識するよう啓発活動などを行っています。

 さらに、今年度は「アート&テクノロジー・ヴィレッジ京都(ATVK)」が町内の事業所、マクセル株式会社の敷地内に開設されます。文化・芸術の力を生かし、アートとテクノロジーを融合させた新たな産業を創造し、起業を促すとともに、次世代を担う起業家や企業の中核を担う人材育成を行うオープンイノベーション施設で、さまざまな企業やアーティストなどが持つ力が交差し、面白い化学反応が起きるのではないかと期待しています。

 また、ATVKはイベント会場や交流の場としての機能も有しており、地域の方たちを巻き込んで、大山崎町をより一層盛り上げていきたいと考えております。

 全国的に人口減少が叫ばれるなか、本町の人口増減率は平成27年から令和2年にかけて5.1%増加と高い数値にあります。自然豊かで、活気のあるまちづくりに引き続きまい進していく所存です。​