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想うこと

印刷用ページを表示する 掲載日:2022年4月4日

愛媛県久万高原町長愛媛県久万高原町長  河野 忠康​​

世界中がコロナ禍に振り回され早2年が過ぎました。誰もが早期に収束すると思っていましたが、なかなか手強い相手です。デルタ株が落ち着けば今度はオミクロン。矢継ぎ早で社会生活や経済活動が大きく制限され閉塞感漂う社会となりました。マスクも常につける毎日。「マスク顔、みんなイケメン・べっぴんさん」こんな川柳までありました。

個人的には神が私たちに「文化的な生活を享受するあまり自然の摂理をないがしろにしていないか」と警鐘を鳴らし、人類に試練を課しているようにさえ思えてしまいます。

飲み薬の販売が待たれるところですが、三密回避など基本的な対策を徹底しながら三回目のワクチン接種を完遂する事が急務と心得、特にご高齢の方が罹患しないよう努めてまいります。

さて、そんな中1月9日に町主催の『成人式』を行いました。コロナ禍により開催できなかった昨年分と本年分を午前・午後に分け二部構成で開催しました。前日には抗原検査キットを参加者全員に配布し、当然のマスク着用など万全を期しての決行でした。

私は正直、今の時代、私たちとは少し違う感性や価値観を有する若い人たちだから、どこか冷めた気持ちで義務感で出席するのだろうと思っていました。

ところがさにあらず、式典は背すじの伸びた凛とした若者のかもし出す心地よい緊張感の中で行われ、代表より、「久万高原町に生を受け、かけがえのない自然の中で、両親はもちろん、周りの人々に支えられ無事二十歳を迎えることができた。感謝の心を忘れず、大人になった自覚を胸に社会の一員として頑張ります。」との力強い謝辞がありました。

出席者の輝くまなざしに頼もしさを覚えると同時に、若い人たちに魅力を感じてもらえる町づくりへの責務を一層強くしたところです。感慨深い一日となりました。

2月20日、17日間にわたって繰り広げられた北京冬季オリンピック、政治の影もちらりと感じさせながらも多くの感動を私たちにもたらし閉幕しました。

日本選手団の活躍も見事なものでしたが、特にスピードスケートの髙木美帆選手の活躍には誰もが拍手を送ったことと思います。得意の1500mではあと一歩頂点に届かず、結果に耐える姿は見ている私たちにもつらいものでした。

実は手前味噌で“親バカ”とお思いでしょうが、私の二女が髙木美帆選手と瓜二つで、私の妻などはテレビ画面に向かって「麻子頑張れ!」と娘の名前を叫んでいました。銀メダルに終わった時は、似ていることを自覚している娘から「ゴメン。」とのラインが届きました。

最後の1000mで金メダルに輝いた時の髙木選手の喜びと、責任を果たせホッとした笑顔は格別でした。

そしてインタビューに応えた彼女の「自分で限界を作らない。」「これからのことは、私が決めるのではなく、湧き上がってくるもの。」と、哲学者然とした受け答えに苦難を努力で乗り越えてきた誇りを感じ、スポーツの持つ無限の力をあらためて思ったことでした。

地方は今、早いスピードで進む人口減少にどう対峙すればよいかの悩ましい課題に直面していますが、一方で都市部の特に若い人たちの間で「コンクリートジャングルの中で、ストレスを感じながら生活するより自然豊かな田舎で頑張りたい」と、自然回帰の考え方が浸透し始めています。ここ数年、移住の皆さんが増えてまいりましたし、地域おこし協力隊の方にもさまざまな場面で活躍いただいています。また、『カーボンニュートラル』のことばに代表されるようにCO2の固定化に寄与する森林の持つ機能に大きな期待が寄せられています。

農林業が基幹産業の我が町の可能性を大いに感じています。全国の中山間地の皆さんと連携を取りながら「地方の時代」の実現に向けて頑張ってまいります。

ご一読いただきありがとうございました。