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笑顔と努力と発想力

印刷用ページを表示する 掲載日:2022年3月28日

広島県世羅町長広島県世羅町長 奥田 正和​​

世羅といえば駅伝の町、全国に名の知れた世羅高校陸上競技部の活躍は、町の誇りであり自慢です。歴史ある全国高校駅伝での活躍は素晴らしく、男子11回・女子2回の優勝はもとより男女W優勝2回と男子連覇3回は応援する町民の励みになっています。留学生や生徒の遠征費支援などは昔から皆さんの寄付で賄われ、生徒は感謝の心を持ち、早朝練習や地域の奉仕活動、学業との両立で自己を鍛えている姿に頭が下がります。また世羅は農業が基幹産業であることから、授業で高度な研究もされています。

昔から穀倉地帯として栄えた本町は、物流の要衝であり石見銀山から瀬戸内海・尾道への街道で米の配送もありました。今から1200年前、弘法大師が和歌山の高野山開基から約6年後に大田庄という我が町に、今高野山と称する新たな拠点を築かれました。神社等も紀州同様に配置され、現在は景勝地として多くの観光客に訪れていただいています。

全国からの視察の多くは、6次産業発祥の地として知られたことにあります。このネーミングを考え、東京大学名誉教授でもあった故今村奈良臣先生との出会いが町の活性化につながりました。大型機械の導入で仕事を如何に創るかと、女性パワー活躍の場に加工を導入し、町のブランド化と併せて売り込みをネットワーク事業で進めてきました。前述の世羅高校の授業でも、昔盛んだったお茶や蜂蜜の研究、マスクが欠かせない今にぴったりのスプレー式香料の開発などを進めていただいています。これらは先輩が築いた農産物の価値向上と新たなアイデアを結集し、自らの知識と経験を深めるため頑張ってくれています。今後も世羅らしい商品開発が若い発想から生まれることを期待しています。

第2次長期総合計画に掲げる将来像「いつまでも住み続けたい日本一のふるさと」の実現に向け定めた5つの柱があります。一番に掲げるのが「健幸づくり」です。町では健康と幸せをミックスした健幸づくり事業を展開しています。身近な方を癌で若くして亡くし、透析を受けられる方が増え危惧していました。中山間地域で医療機関の受診機会が少ない割に一人当たりの医療費が高いため、特定健診受診率を上げ、地域での健康体操や筋力トレーニング、自治サロンによる閉じこもり予防に取り組んできました。スポーツ振興にも努め幅広い世代で体力向上に関心を持って活動されています。今はコロナ禍で室内競技の制限もありますが、野外で行うグラウンドゴルフは各地に普及し、身近な場所に練習場が作られ個々の練習に事欠かない田舎ならではのメリットもあります。

産業の振興策「ものづくり」では近年、農外企業の進出で雇用も生まれ観光産業と共に進化しています。観光農園は四季折々の花々や果樹観光で毎年200万人以上の観光客に喜んでいただいています。尾道~松江を結ぶ無料高速道路そばに開設した道の駅世羅はお陰様で大変賑わい、本年は隣に外資系民間ホテルの建設も完了します。町としては地元の飲食店や交通事業者そして観光施設を結び付け、広島空港から近いこともあり将来はインバウンド客の誘致を進めたいと考えています。

デジタル化の時代にあっても人づくりが大切です。人と人の心が通じ合い、社会が創られ事業が進むと考えます。何事も挑戦するには豊かな知識と経験が必要で、世羅高陸上競技部の歴代監督はそろって『早い選手より強い選手になろう』と述べられています。

安全・安心と地域づくりは一体と捉え、頻発する自然災害や高齢者の交通安全と移動支援、防犯対策や見守りなど地域と協働して行い、約1万5500人の住民がどこに住んでも心豊かに暮らしていけるまちづくりに努めてまいります。

最後に町の名誉町民のひとり、東京都にある大妻学院創立者、大妻コタカ先生の言葉から一文ご紹介させていただきます。


強い意志と正しい判断とにこやかな表情が人として最も大切です。(中略)家族の幸せも店の繁盛も近所や社会の円満な交際も皆、このニコニコ顔から生まれてくるのです。