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持続可能な人口構造への転換を目指して!

印刷用ページを表示する 掲載日:2022年3月21日

千葉県栄町長千葉県栄町長 岡田 正市​​

栄町は、千葉県の北部中央に位置し、都心まで45㎞圏、JR成田線「安食駅」から都内「日暮里駅」まで約60分、日本の空の表玄関である成田国際空港へは車で約20分という好立地です。

町域は、東西に約12㎞、南北に約5㎞と東西に長い地形で、北に利根川、南に印旛沼、町の中央には長門川が流れるなど、豊かな自然と水辺環境を擁する町です。

また、町の東部一帯は丘陵地で、およそ110余基の古墳からなる国指定史跡「岩屋古墳・龍角寺古墳群」があります。この「岩屋古墳」は、規模が明らかになっている方墳の中では、全国で最大規模となっています。

明治22年に周辺7か村が合併して境村となり、同25年に安食町と改称後、昭和29年に豊住村(現成田市)の一部であった興津区を編入、さらに同30年に安食町と布鎌村が合併して現在の栄町が誕生しました。

合併当時、約10、000人弱だった人口が、昭和50年代からの民間事業者による大規模宅地開発により、東京へのベッドタウンとして成長し、ピーク時の平成10年には26、000人を超えるまでになりましたが、その後は人口減少に転じ、令和2年の国勢調査では、20、127人まで減少しています。

このような中、平成26年に日本創成会議が試算した2040年の人口推計では、子どもを産み育てる女性が77%以上減少するとされ、自治体の消滅度が千葉県内で№1といった衝撃的な報道が発表されました。

そこで、町として地方創生に取り組むため、「栄町第1次総合戦略(平成27年度策定)」及び「栄町第2次総合戦略(令和2年度策定)」を策定し、その基本目標を「現在の人口構造を変える」こととし、若い世代の転入者の増加促進策として、定住・移住奨励金や子ども加算金、Uターン支援金などの若い世代の転入者支援に取り組んでいます。

また、妊娠から出産、育児といった一連の子育てを支援するため、「マタニティ・乳児タクシー利用助成」や出産後の母子の心身のケアや育児をサポートする「産後ケア事業」、妊娠中の家事や育児を支援する「妊産婦ヘルパー助成事業」など、子育てにやさしいまちづくりに取り組んでいるほか、赤ちゃん誕生の御祝として、「赤ちゃん出産支援金」を支給し、出産に係る経済支援の一助としています。

そのほかにも、地方創生交付金を活用し、子育て中の親同士の情報交換や、子育てに関する悩みや相談に答えるため、保育士の資格を持った「子育て支援コーディネーター」を配置した「キッズランド」を平成30年に整備しました。

これら、まち・ひと・しごと創生事業の取組の効果として、10年前まで社会動態が200人前後の転出超過となっていたものが、ここ数年では、2桁まで減少し、現在では、転出超過から転入超過に転じています。

現在、栄町では、第5次総合計画後期基本計画の策定作業に着手していますが、住民福祉の向上を図るためには、これまでの施策に関する住民の満足度や、将来に向けたまちづくりの方向性などを聞くだけでなく、時代に即した新たな課題への対応が必要になっています。

例えば、ウィズコロナ・アフターコロナへの対応をはじめ、脱炭素社会実現への取組、DXの推進、また、国土強靱化や持続可能な地域社会の実現に向けたSDGsの取組などが必要とされています。

後期基本計画は、これらの課題解決に向けた施策の方向性を明確にするとともに、時代の潮流を的確に捉えた計画とし、子育て世代などの若い世代から選ばれるまちづくりを進めることで、人口が減少している社会にあっても、持続可能なまちづくりに向けて人口構造の転換に取り組んでまいります。