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ワクチン接種とコロナ後を見据えた町づくり

印刷用ページを表示する 掲載日:2021年11月29日

福井県若狭町長福井県若狭町長 渡辺 英朗​​

当町は、福井県の南西部に位置し、人口が約1万4千人、面積が約178㎢。平成17年3月31日に旧三方町と旧上中町が合併し、若狭町が誕生しました。

若狭湾国定公園の中心部に位置し、ラムサール条約に登録された「三方五湖」や全国名水百選の「瓜割の滝」、近畿一美しい川とされる一級河川「北川」など水資源が豊富な町です。

三方五湖を一望するレインボーライン山頂公園には、年間約40万人が訪れ、水月湖の湖底から採取された7万年の地層「年縞」は、考古学や地質学の世界標準として学術的に高い評価を受けています。

また、日本海と京の都を結ぶ若狭街道は鯖街道とも呼ばれ、多くの物資や文化が行き交いました。宿場町として栄えた「熊川宿」は、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されており、近年は住民や若者が主体となったまちづくりによって、多くの観光客が訪れるようになりました。

農業では、福井梅発祥の地として梅の栽培が盛んなほか、「かみなか農楽舎」を拠点とした農業研修による担い手育成と就農定住にも力を入れています。漁村には、80軒以上の民宿があり、定置網でとれる魚介類をはじめとした豊富な食材、自然や歴史を生かした観光振興に町を挙げて取り組んでいます。

私は、昭和55年に社家の長男として生まれ、大学卒業後は地元に戻り神職となりました。平成25年から7年間、町議と副議長の職を務め、本年5月から第三代の若狭町長に就任をさせていただきました。前任の森下裕町長から町政を引き継ぎ、まずは、新型コロナウイルスの感染対策と円滑なワクチン接種に重点を置き、町民の安全確保に努めてまいりました。

当町では、2月1日に新型コロナウイルスワクチン接種対策室を設置し、職員11人体制で準備を進め、高齢者施設でのクラスター発生を防止するため、4月15日から高齢者施設の入所者及び従事者の接種を優先して開始しました。

5月21日からは、町内2箇所に会場を設け、週4回(月・水・金・土)のペースで施設入所者以外の高齢者に対して集団接種を開始し、職員も全庁体制で対応にあたりました。接種予約の負担軽減や送迎バスの運行等の利便性を重視し、あらかじめ集落ごとに接種日を設定したことで混乱もなく、8月1日には2回目の接種が完了しました。

一般接種においては、接種券の発送と併せて接種対象者に①接種会場の選択(集団、個別)②優先接種者に該当(基礎疾患、60歳以上、高齢者施設等職員)の事前調査を行い、回答区分によって接種日時を設定し、再度案内を行いました。

7月14日から優先接種者への接種を先行して開始し、町内2会場で週4回(水・金・土・日)のペースで接種を進め、12歳以上の小中学生については、夏季休業中の2回接種を目指し、7月24日(2回目8月14日)、8月1日(2回目8月22日)に優先予約枠を設定し、接種を行いました。

町民の理解と医師会や看護師、職員の協力、県との連携により9月11日をもって集団接種を完了することができ、今後は12歳到達者や転入者などの新規接種希望者への接種を町内1会場で3週間ごとに行う予定です。

就任以来、町内の感染者は9月末時点で29名。ワクチン接種率では、町民全体の約87%の方が2回目の接種を完了しており、引き続き感染対策の徹底を図りながら、コロナ後を見据えた町づくりにも着手したいと考えています。

庁内には、SDGs推進室とDX推進室を設置し、新しい要素を取り入れながらチャレンジする体制を整えました。SDGsを組み合わせた「第2次若狭町総合計画」の中期計画の策定や令和6年春に迫った北陸新幹線敦賀開業の観光誘客など、町の魅力をさらに高め、町民が安心して暮らせる持続可能な町づくりの実現に向けて取り組んでまいります。