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マイナスの出来事にもプラスの意味を見出す道の駅を核とした「アウトドア観光のまちづくり」

印刷用ページを表示する 掲載日:2021年6月21日

北海道南富良野町長北海道南富良野町長 池部 彰​​

南富良野町は、北海道のほぼ中央に位置し、町総面積665㎢の約9割を森林が占め、まちの中央には金山ダムによる人造湖「かなやま湖」を有しています。農業と林業を基幹産業としており、映画「鉄道員(ぽっぽや)」のロケ地になった人口2、400人のまちです。

平成12年から約21年、住民の負託を受け、町政運営を担わせていただき、現在は6期目を迎え、振り返ると、この間、地方自治は大きな転換期でした。

地方分権や三位一体改革、平成の大合併、少子高齢化と人口減少時代の到来による社会構造の転換など、地方自治体のあり方も大きく変革されてきました。

本町も時代の潮流に合わせて、行財政改革に取り組むとともに合併協議など南富良野町の将来像を模索してきました。小規模な自治体として、「小さな町だからこそできるまちづくり」をモットーに全国初の二十二歳までの医療費の無料化など独自施策を実施してきました。


平成28年8月の豪雨災害

近年、毎年各地で自然災害が発生し、防災・減災対策が重要となっています。

本町においても、平成28年8月大雨により町の歴史において記録にない災害が発生しました。

8月中旬から台風7号、11号、9号、10号が相次いで北海道に上陸・接近し、かつてない雨量によって、空知川の堤防が決壊し、町の中心市街地が広範囲で浸水、当時の状況は、今でも私の記憶に鮮明に刻まれています。

早めの避難指示や自衛隊や警察、消防の方々の懸命な救助活動により、奇跡的に一人の死傷者や行方不明者も出すことはありませんでしたが、住宅、道路、橋、鉄路など生活インフラは甚大な被害を受け、住民生活をはじめ、農業、商業など地域経済に大きな打撃を受けました。

被災後は、国や北海道、市町村をはじめ、全国の方々の支援をいただき、一歩一歩着実に復旧復興が進み、感謝の念に堪えません。


「道の駅」を核とした観光と

防災拠点整備

北海道で3番目に登録された本町の「道の駅」は、国土交通省の地方創生拠点となる重点「道の駅」に認定されており、北海道の有数のリゾートエリアである富良野・トマム・サホロのトライアングルに囲まれている地理的条件を大きな強みとして、道の駅再編に取り組んでいます。

令和3年3月から、道の駅に隣接するエリアに、積水ハウスと米大手ホテルチェーンのマリオット・インターナショナルで進められているTripBase(トリップベース)道の駅プロジェクトによる客室78室のホテル「フェアフィールド・バイ・マリオット・北海道南富良野」の建設が始まり、令和4年6月にオープン予定です。

町では、国内屈指のアウトドアメーカー、㈱モンベルと包括協定を結び、ホテルの開業に合わせて、道内最大級のスペースのモンベルアウトドアショップやクライミングピナクルを道の駅複合施設内にオープンします。ショップと併せて、レストランとフードコートを設けるとともに、今後、カヌー体験、サイクルステーション、RVパークエリアも計画的に整備していきます。アウトドアを満喫できる自然と人(アウトドアガイド)に恵まれており、道の駅と長期滞在型ホテルとアウトドアを融合させ、更に、南富良野町の観光に磨きをかけていく考えです。

平成28年の災害により、国土交通省北海道開発局で河川防災ステーションの整備が予定されており、また、近年、暴風雪による交通障害が発生しており、道央・道東を結ぶ交通の要所として、道の駅に防災機能を付加することで、防災拠点としての役割も担うこととしています。

ぜひ来年6月以降、南富良野町にお越しの際はリニューアルした「道の駅」をご覧いただければ幸いです。

新型コロナウイルスのパンデミックで暮らしは一変し、未だ終息が見えない状況で、多くの方々が苦難を強いられています。ワクチン接種も始まり、これを機に、終息することを祈るばかりです。災害、コロナ禍など、厳しい情勢が続いていますが、この状況の中においても、マイナスの出来事にもプラスの意味を見出し、更なるまちの飛躍と住民の幸せを追求しながら、まちづくりに尽力していきたいと考えています。