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「まちづくり」:みんなでつくる輝きつづける“ちょうどいい”まち

印刷用ページを表示する 掲載日:2021年6月7日

静岡県長泉町長静岡県長泉町長 池田 修​​

長泉町は、静岡県の東部、伊豆半島の付け根に位置し、東西を三島市と沼津市、南北を清水町と裾野市に接しており、北に秀峰富士を仰ぎ、南に駿河湾を望み、豊かな自然と豊富な地下水に恵まれた気候温暖な町であります。地形は北部の愛鷹山地と南部の黄瀬川低地に大きく区分され、北部から南部に向かって傾斜しており、国道246号以南の平坦な地域(東西約3・5㎞×南北約5㎞)にコンパクトな市街地が形成されています。面積は26・63㎢であり、国有地を除くと市街化区域が全体の約35%となっています。

長泉町は、1960年の町制施行に伴い誕生し、2020年度に町制施行60周年を迎えました。2021年4月1日現在の住民基本台帳人口は43,524人であり、県内の町では一番人口が多く、現在も増加を続けています。また、生産年齢人口比率は62・1%を占める一方で高齢化率は22・2%と県内で最も低くなっています。

さて、町内及び町の近隣接地には、JR東海道新幹線三島駅や東名高速道路沼津IC、新東名高速道路長泉沼津ICが立地するとともに、国道1号、国道246号が横断するなど、交通の要衝となっていることからアクセスの利便性が高く、また豊富な地下水に恵まれたこともあり、農業を中心とする産業構造から、高度経済成長期に合わせ多くの工場が進出し、工業を中心とする町に変貌しました。現在、国内外の医薬品、医療機器、合成繊維など化学工業を中心とした日本を代表する優良企業が多数立地するとともに、3つの工業団地に多種多様な業種約50社が操業していることで、景気の変動に左右され難い産業構造となっていることは強みの1つであります。また、2002年に開設された、がん診療の実力や患者満足度で全国トップレベルの評価を受ける県立静岡がんセンターを核とする、「産学官金」が連携し、地域が一体化したネットワークで医療からウェルネスまで、世界トップレベルの研究開発を進める「ファルマバレープロジェクト」が医療健康関連企業集積の後押しとなり、安定した税収を確保することができています。このようなことから長泉町は1983年から連続して、普通交付税不交付団体となっています。

長泉町では、この安定した税収をいかに町民の皆さんに還元するか、その策として、未来を担う子どもたちを応援するため、他自治体に先駆け、教育や子育て支援に手厚く取り組み、特に今でこそ一般的に行われている医療費の無料化を段階的に実施してきました。

そして、「子育てするなら長泉」といった良いイメージが定着し、「住みたい町」として転入者も多くなるとともに、2010年3月、国土交通省が発表した公示価格で住宅地の地価が上昇した全国7地点のうちの2地点、翌年も上昇17地点のうち7地点が長泉町であったことから、全国的に注目いただき、その際の分析評価では、子育てなどの行政施策の充実が上昇要因とされました。その後も、恵まれた財政力を活かして、幅広い世代に対し、切れ目のないさまざまな施策を展開してきた結果、毎年実施している町民の皆さんの定住意識や住環境への評価、行政の取組に対しての満足度などについて問う意識調査において、直近の2020年度調査では、約86%の方が長泉町に対して良いイメージを持っています。特に20代、50代では92%を超えるとともに、長泉町での今の生活については、全体の約75%が満足していただいているなど、一定の評価をいただいていますが、今後もこのような評価に対しても決して満足することなく、町民の皆さんの更なる満足度の向上を目指していきたいと考えています。

2021年4月からは新たな長泉町総合計画がスタートしました。目指すまちの姿として「みんなでつくる 輝きつづける“ちょうどいい”まち」を掲げており、この実現に向け、長泉町というコンパクトな町だからこそできるまちづくりを、恵まれた環境などの強みを活かしながら、引き続き町民の皆さんとともに進めていきたいと考えています。