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大きな可能性とともに、持続させるまちづくり

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年4月6日

北海道南幌町長  三好 富士夫北海道南幌町長 三好 富士夫​

南幌町は、明治26年に旧角田藩主石川邦光氏が率いる集団が入植して以来、幾多の水害と戦いながらも先人たちの不撓不屈の精神と努力により、千歳川・夕張川・旧夕張川によってもたらされた肥沃で広大な田園風景のまちへと変革し、基幹産業である農業を中心に発展してきました。

農業については、水稲を中心に小麦や豆類などの畑作や野菜の生産が行われています。農家人口は減少傾向にありますが、先進的な大規模集約化や法人化への移行、新規就農や担い手の育成・確保対策、スマート農業導入の推進など、効率的で持続可能な農業への取組が行われています。

本町は札幌近郊に位置することから、札幌市のベッドタウンとして南幌ニュータウンみどり野の開発が進み、平成2年に5,665人であった人口が平成10年には10,000人に達しました。

その後は人口減少に転じたことから、移住・定住の施策に取り組み、平成30年度に公民連携の手法で実施した、北海道で活躍する建築家と、地域工務店の技術が創る「南幌らしいクオリティー・ファーストの暮らし」というコンセプトに加え、一定のルールをクリアした高い性能を備えた住宅を提案する、新しいタイプの住宅展示場「みどり野きた住まいるヴィレッジ」の第1期分がオープンしました。これは全国的にも事例のない取組ということもあり、札幌近郊で移住を希望される方の選択肢として注目され多くの来場者が訪れ、平成30年度において同展示場のある地区へ町外から16世帯が移住していただいています。第1期分が好評であったことから、コンセプトはそのままに、本年より第2期分の分譲もスタートしています。

子育て支援策では、中学生以下の子どもがいる世帯、または夫婦ともに40歳未満の世帯を対象とした住宅建築費助成、小学生の医療費無料化、学校給食の主食費用補助、中学生までの子育て支援米の支給、高校生への通学費助成などの子育て支援施策を実施しています。

これらの移住・定住施策や子育て支援策が実を結び、子育て世代の転入や住宅建築が増加し人口減少も鈍化傾向にあります。

また、南幌町は札幌市中心部から40分程度、新千歳空港から1時間ほどと、自動車で人が来やすい環境に位置していますが、今後本町に大きな影響を与えることが見込まれる状況変化として、二つの事象があります。

一つ目は、現在整備中の新千歳空港と石狩湾新港を結ぶ高規格道路である道央圏連絡道路の工事が本町の区域内においても進められており、その完成が近づいていること。二つ目は、北海道日本ハムファイターズのボールパーク建設が本町に隣接する北広島市に決定し、2023年のオープンを予定していることです。この2つの事象により、本町における人と物の流れが大きく変化することが見込まれます。

このような南幌町を取り巻く将来における大きな状況変化を見越してのことか、これまで停滞していた企業誘致は、令和元年度に入り多くの企業の進出が決まり、工業用地の分譲に至っています。

今後、道央圏連絡道路の開通により南幌ランプから当該道路を利用した場合、新千歳空港まで所要時間が25分程度まで短縮されるため、本町の地理的な価値はさらに高まることが予想されます。

この大きな時代の流れをしっかりと受けとめるとともに、これまでの施策を着実に進行していき、30年後も今と変わらず子ども達の笑顔が地域にあり、農業を中心とした自然豊かな環境と暮らしやすさを持続できる「緑豊かな田園文化のまち」として、まちづくりを進めてまいります。