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町民一人ひとりが主役の町づくり

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年3月9日

宮崎県門川町長 安田 修宮崎県門川​町長 安田 修

宮崎県門川町は、県北部に位置し、東に雄大な日向灘を望み白波を立てるリアス式の海岸線、西には緑鮮やかな山々と門川湾に注ぎ込む清流五十鈴川と鳴子川、そのような自然に恵まれた人口1万7,500人(2020年1月1日現在)の美しい町です。

太平洋に面しているため、気候は温暖で、年平均気温はおよそ17度、日照時間も2,000時間を超えています。湾内に浮かぶ無人島「乙島」をはじめ、日本固有種の海鳥で国の天然記念物「カンムリウミスズメ」の最大繁殖地として知られる「枇榔島」などの島々を擁する美しい海岸線は、日豊海岸国定公園にも指定され、県内外に広く知られています。

町の鳥で、国の天然記念物に指定されているカンムリウミスズメは、体長20数センチ、小太りな体、比較的短い翼と足のため、飛ぶのが苦手と言われています。その代わり、足は少し後方にあり、泳ぐのに適していることから、1年の大半を海上で過ごします。首から頭部にかけては黒色で、頭頂部は円形に白く、その上に冠のように見える長い羽根が生えているのが特徴で、これが名前の由来ともなっています。日本近海に約5,000~6,000羽生息していると推定されていますが、日本近海にしかいないため、世界中でもこの数だけということになります。繁殖期には、枇榔島周辺の海上に約3,000羽が生息しており、これは世界の約半数にあたる数です。カンムリウミスズメをモチーフとした町のマスコットキャラクター「かどっぴー」は、その愛らしい姿から町民に広く親しまれています。

本町の産業については、地形や気候条件を活かした農林水産業が基幹産業です。

宮崎県北部の日向灘沿岸に位置し屈曲した海岸線と湾を有しており、また外海では黒潮分支流と豊後水道流との合流海域であることから、古くから水産業が盛んで、種々の漁業が営まれています。魚の町「かどがわ」としての水産加工品、海産物(干物)は知名度も高く、県内はもとより県外からも多くの人気を集め、高い評価を受けています。

また、温暖で多照な気候と豊富な水源に恵まれた本町では、水稲をはじめ畜産・施設野菜・果樹を主体とした農業経営が行われています。

しかしながら、近年では第一次産業の高齢化が進み、後継者不足が問題となっています。今後、人口流出に歯止めをかけるためには、町内の産業推進を行い、担い手確保のためにも、郷土教育を推進し、近隣市町村と連携を図りながら、よりよい雇用環境の創出と居住環境の整備が必要と考えています。

昨年は全国各地で大災害が発生しました。それに備えた対策と自主防災組織の充実の必要性を強く感じます。昔から「向こう三軒両隣」と言われていますが、このような時代だからこそ益々助け合いの精神を養い、地域コミュニティの充実を図らねばなりません。

災害は、いつどこで何が発生するか分かりません。その対策を、行政はもちろん、町民が一体となって備えなければなりません。そのような中、「行政機能・災害対策本部機能を十分に発揮できる施設」であり「まちづくりの中心施設として、町民と行政のコミュニケーションが円滑に図れる」拠点として「新庁舎建設」が着々と進捗しています。来春3月末には竣工の運びとなります。

私たちが願う門川町は、野や山や川に子ども達のはしゃぐ声が聞こえ、人々は毎日の仕事に汗を流し、灯りのついた家からは家族団らんの笑い声が聞こえるような門川でありたいと思っております。先人が築いてきた町づくりの理念や土台をしっかりと踏まえて更なる飛躍を図るため前進してまいります。