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「令和元年」新たな気持ちで町の活性化と中南勢地域の観光拠点を目指して

印刷用ページを表示する 掲載日:2019年6月17日

三重県多気町長 久保 行央氏顔写真三重県多気町長 久保 行央

平成18年1月1日に旧多気町と旧勢和村が合併し早くも13年余りが経過し、この5月1日新元号「令和」がスタートしました。平成の大合併からさまざまな施策に取り組み、少しずつ前進してきたのではないかと思っているところです。私は“ええまちづくり”「つながる力、ふれあう心、共につくるええまち多気町」をキャッチフレーズに町政をスタートさせ、3期目の現在までこれらに関する事業の継続と改革を訴えて施策を展開してまいりました。

主な取組として、町では県内初となる福祉事務所を設置し福祉の充実を図ってきた中で、車の運転やバス利用ができない高齢者を対象にした病院やスーパー等への無料送迎ができるサービス制度を設けたり、子育て支援の一環として児童館を設置し放課後児童クラブの充実を図ってきております。

教育関係では中学生の国際感覚を高めるため、毎年、アメリカキャマス市・台湾と訪問・来町を繰り返すなどの国際交流を行ってきております。

そして町の振興策の取組の一つとして、特産の「ブランド松阪牛」や「次郎柿」、天皇に献上されたことのある「伊勢芋」などの6次産業化と食に繋げた健康づくりやふるさと納税制度を活用した農業振興、また江戸時代の本草学者が礎となった薬草薬膳を取り入れた医食同源の町づくりにも力を入れております。

また、テレビドラマ化された「高校生レストラン」モデルの相可高校はじめ三重大学や名古屋大学・昭和女子大学等と連携・協力しながら観光や地域振興に力を入れております。その一つとして世界かんがい施設遺産・国登録記念物となった「立梅用水」とその周辺に位置する弘法大師所縁の「丹生大師」周辺整備と、隣接して有名となっている〔農家レストラン〕があり田舎の良さを作り出してくれており、民間と連携したまちづくりに取り組んできております。

このような中で、平成26年1月に医食同源のまちづくりに賛同して頂いた複合型大型リゾート施設「アクアイグニス多気」の立地が決定いたしました。2020年の秋の開業を目指したこの事業は勢和多気JCT周辺約35万坪の内16万坪を開発整備するもので、食と健康をテーマにした施設内には薬草温浴施設や食品横丁、スイーツビレッジ、産直市場、木のホテル等を配置し、伊勢神宮やサミットが開催された志摩地域、世界遺産の熊野紀州路を訪れる観光客をターゲットにしております。

特に産直市場では伊勢湾や尾鷲・紀北など太平洋で獲れた「海の幸」、度会や大台山系の「山の幸」、多気町周辺特産の「松阪牛」を始めとする多くの食材を、一つの市場として楽しんで頂けると確信しています。また多気町と「美食を通じた友好の証」の連携協定を結んだ世界の美食の町スペイン・サンセバスティアンにある「三ツ星レストラン」の一つも入る予定となっており、こうした豊富な食材を活用した食を楽しむことで、インバウンド効果が期待されます。

さらに伊勢自動車道から直接乗り入れができる全国初の民間施設直結スマートインターである「多気スマートインター(仮)」が昨年国土交通省から認可を頂きこの事業の大きな弾みになりました。

こうした状況の中でも、全国多くの自治体が抱えている問題と同じように、少子化・人口減が課題となっております。多気町は20年ほど前から大型液晶工場が稼働しておりますが、近年の半導体を取り巻く状況が厳しくなったこともあり創業当時3千人程の従業員が現在半数以下になっております。

その対策として新しく働く場・雇用の場を確保するため工業団地の開発に取り組んでおります。これまでに間伐材を利活用した木質バイオマス発電所を立地して頂いており、そこから出る排熱・排ガス(CO2)を活用してミドリムシを培養し、陸上養殖などで高付加価値の商品を生み出すことができると、大きな期待が寄せられるコンソーシアムを設立することができました。また同じように排熱を空調活用した自動車部品工場も立地をして頂いております。

さらに非構造用合板生産では西日本最大級の企業立地があり、紀伊半島一円の森林資源の循環型利用・活用に貢献されており、人口減対策の効果に繋がればと期待をしているところであります。

「平成」から「令和」に元号が改元された中、さらなる三重県の中南勢地域の産業振興と観光の拠点となっていくようさまざまな事業に、近隣市町と連携・協力しながら取り組んでいきたいと考えております。

お近くにお越しの際にはぜひ緑豊かな活気あふれる多気町にお立ち寄り頂ければ幸いです。