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「オンリーワンの村づくり」をめざして

印刷用ページを表示する 掲載日:2019年4月1日

山形県鮭川村長 元木 洋介山形県鮭川村長 元木 洋介

鮭川村は、山形県南北部にあり、奥羽山脈の支脈と出羽丘陵に囲まれ、東西に約20km、南北に約12kmにわたる総面積122.14㎢を有しています。また、村内の中央部を南北に鮭川が還流する山紫水明な農山村です。

更には、東北の豪雪地帯に位置し、冬には2mを超す積雪深もありながら、その雪解けとともにやってくる清々しい春の季節、そしてそこから始まる農作業風景、緑に広がる水田、秋の訪れとともに敷き詰められる黄金色の稲穂と、四季折々の風情を楽しむことができる自然豊かな美しい村です。

さて、私は、昨年4月に村長として4期目をスタートさせていただきました。この間、様々な施策を村民とともに実施してきました。農業振興、観光振興、子育て支援と時代のニーズを先行し住民が住みやすいと実感できる村づくりです。

鮭川村は、昭和25年の国勢調査で9,056人の人口規模でした。しかし、この年を境に減少に転じ、平成27年国勢調査では、4,317人と約半分の人口まで減少しています。ある調査では、消滅する市町村データの中で鮭川村は高い確率に位置づけられています。しかし、如何に人口減少を抑え、なおかつ如何に増加させていくか、どの自治体も同じ課題に取り組む中で、難題ではあるものの、鮭川村は子育て支援を基軸に移住・定住の施策が着々と実になっています。

子育て支援策としては、出産祝い金、保育の充実、小学校・中学校の給食費無償化や入学祝い金など、子育てしやすい環境整備を行っているところです。また、ICT社会やグローバル化に対応できる子ども達の育成にも力を入れています。中学校へのPC・タブレット等の導入や、中学生の英語検定合格率50%を目指して英語力の向上に取り組むなど、他市町村に負けていないと自負しています。


私は、若い頃に家業である旅館業に就き、数多くの出会いを通して「おもてなしの心」と「人と人との絆・信頼」を学びました。そんな中で、全国商工会青年部連合会副会長を務めさせていただいた時期には、全国各地での「人との出会い」を大切にし、多くの方の心の温かさに触れました。この頃出会った方々との交流は、今も続いております。市町村アカデミーにはできるだけ数多く参加するようにしていますが、そこでも懐かしい方と再会することがあります。首長という同じ立場として課題について話したり、当時の思い出話に没頭したりすることもあります。同じ時代に生き同じ課題を持つ同志との交流は、私にとって心地良いと思える時間でもあります。それは「仲間」であるからこそ感じられるのだと思います。そうして学んだことはすべて、今の村政運営に活かすことができていると感じています。

今年は平成最後の年であり、日本は新たな道へと進んでいきます。しかし、時代が変わっても鮭川村が目指すものは、私の最終目標でもあります「オンリーワンの村づくり」です。そのためには、地域資源を磨き上げ、観光・産業へと結び付けていくことが必要です。とりわけ当村には、鮭川歌舞伎が継承250年と古くからの文化を引き継ぐ活動が続いています。一時期衰退の危機もありましたが、4座が一つに組織され、現在の鮭川歌舞伎になりました。活動は若い世代に引き継がれ、定期公演を毎年行っているところです。また、鮭川には、その名の由来の通り鮭が遡上し、「鮭の新切り」作りなど食文化の歴史も続いています。これらの資源を更に磨き上げ、全国47都道府県1、718市町村の中で「唯一無二の村」と言ってもらえる、他に誇れる村をつくるために、これからも村民とともに進んでいきます。

当面、財政的に厳しい状況が続きますが、昨年発生した大規模な豪雨災害の復旧復興に全力を注ぎ、村の自然と活気を取り戻していく所存です。