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15.介護保険制度の円滑な実施

印刷用ページを表示する 掲載日:2002年7月4日更新

町村は介護保険制度施行以来、高齢者に対する必要かつ十分な介護の提供に懸命の努力を傾注しているところである。
制度も3年目を迎え、町村は第2期介護保険事業計画の策定等に取組んでおり、高齢化社会に対応した制度を構築するためにも町村の意見を十分尊重しつつ、今なお山積している課題の解決に向けて取組む必要がある。
よって、国は次の事項を実現されたい。
1.保険者について
(1)保険給付について施設サービスが中心となっているが、介護保険制度本来の主旨のとおり、被保険者が要介護状態になった場合においても可能な限り居宅サービスが提供できるよう制度化すること。
(2)市町村が保険者となっているが、市町村が希望する場合には公平、公正かつ、より効果的な制度運営のため、都道府県単位の広域連合組織等での運営を推進すること。
2.保険料について
(1)国および都道府県による財政補填制度を創設した上で、低所得者に対する保険料については特別の措置を講じること。
また、保険者の責に帰さない事由により高額な保険料となる場合については、実態に即した適切な措置を講じること。
(2)保険料6段階制の周知をはかること。
(3)第1号保険料にかかる特別徴収の対象範囲(遺族年金、障害年金等)を拡大すること。
(4)介護保険料の上乗せ賦課にともなう、国民健康保険料(税)の収納率低下により生じる歳入欠陥については、全額国費により補填すること。
3.財政調整について
(1)平成12年度から平成14年度までの介護保険料については、制度発足前の予測により算定している状況に鑑み、予見不可能なやむを得ない事情により赤字を計上した市町村に対しては特別の財政補填制度を創設すること。
(2)国の負担25%のうち5%が調整財源とされているが、調整財源については25%の外枠とするとともに、算定基準に介護保険施設の病床数を加味すること。
(3)財政安定化基金にかかる財源は国および都道府県の負担とするとともに貸付金の償還期間を延長すること。
4要介護認定について
(1)公平、公正かつ迅速な認定を確実なものとするため、都道府県の責任において審査基準や不服に対する統一見解の提示および連絡調整を行う本部ならびに生活圏域を単位として審査判定を行う支部を設置すること。
(2)認定審査会委員の研修および訪問調査員等の研修を充実すること。
(3)認定審査会委員報酬および調査業務委託料については、実勢に応じた基準額を設定すること。
(4)認定更新の際、状態に変化が生じていない者については要介護認定期間を現行の原則6ヶ月から原則1年に延長すること。
(5)主治医の意見書についてはコンピューターによる迅速化をはかるため、特記事項等を様式化すること。
5.介護報酬等について
(1)次期介護報酬の改定に際しては施設を中心に介護報酬を引き下げるとともに、平成15年4月よりも可能な限り早期に実施すること。
(2)訪問介護の給付については身体介護、家事援助および両者の複合型の3類型設定されているが、給付上区分けが困難を極めている現状に鑑み、一本化するなど介護報酬について見直しをはかること。
(3)いわゆる「介護タクシー」の取扱いについては原則制度外とすること。
(4)介護支援専門員については要支援者及び要介護者からの相談等に応じるとともに、その心身の状況に対応した居宅又は施設サービスを適切に利用できるよう、市町村、居宅サービス事業者および介護保険施設等との連絡調整など、本来の業務を遂行できるよう介護報酬を引き上げること。
(5)おむつ代については従来同様に介護報酬に含めること。
(6)特別養護老人ホーム(新型特別養護老人ホーム)のホテルコストの徴収については、低所得者に十分な配慮を講じること。
(7)住宅改修理由書作成について介護報酬を設定すること。
(8)福祉用具貸与の対象品目についても、利用者が希望する場合は購入可能とすること。
(9)介護療養型医療施設の看護6:1、介護3:1の人員配置の報酬は、平成15年3月31日の経過期限後は廃止すること。
(10)介護報酬の特別地域加算に係る影響額については、利用者負担を含め財政措置を講じること。
6.利用者負担について
国および都道府県による財政補填制度を創設した上で、低所得者に対する利用料負担については特別の措置を講じること。
7.家族介護に対する評価について
(1)町村においては家族介護に依存する度合いが高いという現状に鑑み、現金給付の制度化を含め支援策を充実すること。
(2)同居家族に対する訪問介護に係る基準について、時間規制の2分の1要件は削除すること。
8.サービス提供事業体等について
(1)市町村において行う苦情処理事務については、円滑に処理できるよう支援体制を強化するとともに、十分な財政措置を講じること。
(2)市町村特別給付については法律、政省令等によって関与しないこと。
9.介護基盤の整備について
(1)市町村介護保険事業計画に基づき介護サービスが適切に提供できるよう、介護基盤整備については人材の育成・確保等にかかる支援策を含め十分な財政措置を講じること。
(2)介護療養型医療施設の入所定員数が町村の保険料水準に及ぼす影響が大きいことに鑑み、(療養型病床群は)全て医療保険の適用とすること。
また、当面、介護保険制度で対応するとしても、介護療養型医療施設の新規指定にあたっては町村の意見を踏まえて行うとともに、転換型介護老人保健施設で対応すること。
なお、療養型医療施設の診療報酬引き下げに対応して、介護報酬も早期に引き下げること。
(3)施設サービス対象者については要介護1から5までが対象とされているが、真に施設サービスが必要な者が入所可能となるよう、要介護4・5のみを対象とし、要介護1から3については家族構成等考慮の上、特に必要と認められる場合のみ入所可能とすること。
(4)介護支援専門員の地域的偏在等についての対応策を講じるとともに、研修を充実すること。
(5)サービス事業者の指定については地元町村と十分協議し、同意を得た上で指定を行うこと。
(6)介護老人保健施設については、町村が必要とする事業量を確保するとともに財政措置を充実すること。
10.事務費について
事務費については、要介護認定等に要する費用の二分の一を補填するよう制度化すること。
また、制度化されるまでの間、従来の事務費交付金の必要額を全額確保すること。
11.居宅介護サービス計画のチェック等、町村が給付の適正化のために行う取組みが促進されるよう、国は支援すること。
12.その他
(1)養護老人ホームおよびグループホーム、特定施設等の施設入所者に対して、住所地特例を適用すること。
(2)介護保険制度に関する国民の理解と協力を得るため、的確な広報を行うこと。
(3)高齢者が可能な限り自立可能となるよう、介護予防・生活支援事業等の推進をはかること。