全国町村会(会長・山本文男福岡県添田町長)は、5月10日常任理事会を開催し、「介護保険制度に関する緊急要望」を決定しました。
施行後3年目を迎えた介護保険制度に取り組む町村にとって、同制度を円滑に運営してゆくために解決すべき課題が山積しており、これらの解決に向けた国の適切な対応を訴えるものです。
全国町村会では同緊急要望の実現方を政府、国会に要請し、また山本会長が、13日に開催された厚生労働省社会保障審議会第9回介護給付費分科会(平成14年5月13日)に出席し、国における迅速かつ適切な対応を申し入れました。
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介護保険制度に関する緊急要望 町村は介護保険制度施行以来、高齢者に対する必要かつ十分な介護の提供に懸命の努力を傾注しているところである。 記 1.居宅介護の推進 (1)保険給付について施設サービスが中心となっているが、介護保険制度本来の主旨のとおり、被保険者が要介護状態になった場合においても可能な限り居宅サービスが提供できるよう制度化すること。 (2)高齢者が可能な限り自立可能となるよう、介護予防・生活支援事業等の推進をはかること。
2.介護報酬等について (1)次期介護報酬の改定に際しては施設を中心に介護報酬を引き下げるとともに、平成15年4月よりも可能な限り早期に実施すること。 (2)訪問介護の給付については身体介護、家事援助および両者の複合型の三類型設定されているが、給付上区分けが困難を極めている現状に鑑み、一本化するなど介護報酬について見直しをはかること。 (3)いわゆる「介護タクシー」の取扱いについては原則制度外とすること。 (4)介護支援専門員については要支援者及び要介護者からの相談等に応じるとともに、その心身の状況に対応した居宅又は施設サービスを適切に利用できるよう、市町村、居宅サービス事業者および介護保険施設等との連絡調整など、本来の業務を遂行できるよう介護報酬を引き上げること。 (5)おむつ代については従来同様に介護報酬に含めること。 (6)特別養護老人ホーム(新型特別養護老人ホーム)のホテルコストの徴収については、低所得者に十分な配慮を講じること。 (7)住宅改修理由書作成について介護報酬を設定すること。 (8)福祉用具貸与の対象種目についても、利用者が希望する場合は購入可能とすること。 (9)介護療養型医療施設の看護6:1、介護3:1の人員配置の報酬は、平成15年3月31日の経過期限後は廃止すること。
3.介護基盤の整備について (1)市町村介護保険事業計画に基づき介護サービスが適切に提供できるよう、介護基盤整備については人材の育成・確保等にかかる支援策を含め十分な財政措置を講じること。 (2)介護療養型医療施設の入所定員数が市町村の保険料水準に及ぼす影響が大きいことに鑑み、(療養型病床群は)全て医療保険の適用とすること。 (3)施設サービス対象者については要介護1から5までが対象とされているが、真に施設サービスが必要な者が入所可能となるよう要介護4・5のみを対象とし、要介護一から三については家族構成等考慮の上、特に必要と認められる場合のみ入所可能とすること。 (4)サービス事業者の指定については地元町村と十分協議し、同意を得た上で指定を行うこと。
4.事務費については要介護認定等に要する費用の2分の1を補填するよう制度化すること。
5.家族介護に対する評価について (1)町村においては家族介護に依存する度合いが高いという現状に鑑み、現金給付の制度化を含め支援策を充実すること。 (2)同居家族に対する訪問介護に係る基準について、時間規制の2分の1要件は削除すること。
6.保険料について (1)保険料六段階制の周知をはかること。 (2)第1号保険料にかかる特別徴収の対象範囲(遺族年金、障害年金等)を拡大すること。
7.国および都道府県による財政補填制度を創設した上で、低所得者に対する保険料および利用者負担については特別の措置を講じること。
8.財政調整について (1)平成12年度から平成14年度までの介護保険料については、制度発足前の予測により算定している状況に鑑み、予見不可能なやむを得ない事情により赤字を計上した市町村に対しては特別の財政補填を行うこと。 (2)国の負担25%のうち5%が調整財源とされているが、調整財源については25%の外枠とするとともに、算定基準に介護保険施設の病床数を加味すること。 (3)財政安定化基金にかかる財源は国および都道府県の負担とするとともに、貸付金の償還期間を延長すること。
9.養護老人ホームおよびグループホーム、特定施設等の施設入所者に対して住所地特例を適用すること
10.居宅介護サービス計画のチェック等、町村が給付の適正化のために行う取組みが促進されるよう、国は支援すること。
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