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片山総務大臣あいさつ

印刷用ページを表示する 掲載日:2002年11月27日

 本日お集まり頂いた全国の町村長さんは、地方自治の第一線で大変なご奮闘をされております。謹んで敬意を表したいと思います。
 現在、臨時国会では来年度の予算編成、税制改正についての大議論が行われております。先だって本年度の補正予算が決まりました。本年度は国と地方合わせて3兆を超える税収が不足します。今、予算を組んでいるよりも、あるいは地方では地方財政計画で計上しているよりも、4兆円に近い穴があくわけです。また地方税の減収が試算によると、1兆2、3千億から1兆四4、5千億になる。さらに国税が減ります。地方交付税は国税五税の一定割合という規定ですから、これが8~9千億円と大変な減収になります。
 このような税収減と交付税の減額のなかで公共事業をやっていかなければなりません。私は、閣議でも経済財政諮問会議でも、年度途中であり、公共事業の大半は地方がやるのだから、国が責任を持たなければならないと、また地方交付税や地方税も従来からの補填のルールがあるのだから、これを基礎に十分なことをしなければならないということを言っております。是非そういう努力をしていきたいと思っております。
 来年度の当初予算では、税源を国から地方に移してもらい、その流れで国の補助金や負担金を整理し、地方交付税の見直しをする三位一体の改革をやることにより、地方の自主財源を増やすことがどうしても必要です。国の補助金を頼みにして、交付税については一生懸命陳情するということでは、いつまで経っても本当の地方の自立、自治ということにはならないのではないかと思います。国税と地方税の税収の割合は国六対地方四です。しかし、実際には地方が60%以上使っているのです。20数%は国からの補助金、負担金、交付税ですから、せめてこの税の配分を5対5にしたい。そして国の補助金、負担金も、必要度の低いものは廃止し、交付税も見直していく。不交付団体が3,300団体のうち105団体しかないという税源の在り方でいいのか。
 経済力のある地域は税収で、ないところは交付税でやるんだと、私はいま言っているわけですが、これにはなかなか抵抗があります。税源移譲については、財務省が死にものぐるいで国の税を守ろうとし、また補助金、負担金の整理合理化については、各省が今までの権益や、予算を減らさないために絶対守ろうとします。しかしこれを実行しないといつまでたっても新しい段階の地方自治、地方分権には進まないと思っておりますので、このことは国の骨太の方針の中にも書いております。1年かかって計画を作り、それを3、4年でやっていく。来年度の予算から芽を出して、緒につけるということです。なかなか大変ですが、ぜひ頑張って参りたいと思っているわけであります。
 市町村合併ですが、総理から話もありましたように、我々は自主的な合併だと言っているわけです。自主的な合併であり、強制するつもりは全くない。ただ、自主的と言えば、自分が中心になるということですが、自分のことだけ考えたり、狭い自分の市町村だけ考えずに、広い地域の将来を考えてもらいたい。自主的の自主はそういう意味なんです。自分の町村のことを考えながらも、将来のより大きな地域社会のあり方を考え、いろいろ検討賜り、ご決定賜りたいと思っているわけです。
 合併特例法の期限まであと二年半になりました。我々は合併特例法が切れても合併はずっと続くと思っております。ただ、合併特例法の優遇措置をエンドレスで続けていくわけにはいきませんから、平成17年の3月までの措置ですが、合併は今後も続くものと考えています。市町村が自らの規模を決めていく、拡大していくということは、引き続きやってもらいたいと思っております。
 こうした合併が進む中で、地方制度調査会や自民党のプロジェクトチームでは、合併が進んだ後の、基礎的な自治体である市町村のあり方についての議論が始まっております。小規模な町村を切り捨てるなどということは全く考えていません。いろいろな提案がありますが、最終的にどのように決めるのかは、当事者である皆さんの意見を無視して決める訳がないのです。全国町村会の意見をしっかりと聞いて、その上でどういう制度をつくってゆくかを決めてゆくつもりです。しかし、現在4百万の市から数百人の村まであるのですから、一律の市町村制度がいいのかどうかは考えなければなりません。諸外国の多様な市町村制度を視野に入れながら考えてゆくべきです。しかし、責任を持って毎日奮闘している皆さんの意見を聞かずに決めることはありません。
 また現在はIT化が急速に進んでおります。是非、電子自治体というものを考えていただき、各種手続の情報化を進め、IT化、電子化を実現していただきたい。例えば、市町村や都道府県、国の役所に対する届出を全部オンラインで自宅や職場からできるようにしてゆきたい。役所に行き手続をとったり、添付書類が必要であったり、そういうことをなくしてゆきたいと考えております。しかし実施するには、市町村が単独でやるには、コストや時間がかかり、専門家もいないため、できるだけ共同で、セキュリティやプライバシー保護を考えながら、進めることが必要であると考えます。
 これによって行政の仕組みを簡素化し、業務改革、行政改革をやっていただく。それとともに住民サービスを向上させ、できればITの関連企業を地方にも根付かせていきたい。今は全部東京に一極集中していますが、今後IT化が進めば地方からも情報を発信できますから、地方にもIT関連企業を興して育成していくということが必要です。私はその一つの突破口として電子自治体をぜひ実現したいと思っています。その他税制については、固定資産税をしっかり守っていきます。
 どうか今後とも全国町村会とタイアップして、皆さんの意向を体しながら物事を進めていきたい。地方が元気にならなければ国の元気はないのです。地方が変わらなければ国が変わるわけがない。私はそういう精神で今後とも皆さんとともに頑張ってまいりますので、どうか全国町村会も一層のご奮闘をされますように心からお祈り申し上げましてご挨拶といたします。