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全国町村会長あいさつ

印刷用ページを表示する 掲載日:2002年11月27日

                                                      
 去る11月21日、高円宮憲仁親王殿下におかれましては、お亡くなりになられました。
 挨拶に先立ち、謹んで心から哀悼の意を表します。

 本日ここに、全国町村長大会を開催いたしましたところ、小泉内閣総理大臣、綿貫衆議院議長、倉田参議院議長、片山総務大臣を始め関係大臣、全国町村議会議長会会長並びに国会議員の諸先生におかれましては、政務極めてご多端の折にもかかわりませず御臨席を賜り、誠にありがたく厚く御礼申し上げます。
また、全国の町村長各位におかれましては、本大会のため遠路ご参集をいただきましたことに、心から感謝を申し上げる次第であります。
 
 小泉内閣総理大臣をはじめ政府におかれましては、国際平和の実現や北朝鮮による拉致事件の早期解決といった国際問題と国内に山積する諸問題の対応に、更なるご尽力を頂きますようお願い申し上げます。 
 私ども町村長といたしましても、町村の立場から協力できるところについては、惜しみない協力をいたす所存でございます。 

 さて、皆様、私達は今、スローガンを掲げた帽子を着用し、一同ここに参集しております。
 町村行政の責を担う私達に、日々、去来する思いは、合併がこのままの形で強行されていけば、また、人口が少ないということのみをもって町村の権限が制限・縮小されるようなことになれば、一体、地域社会はどうなってしまうのか、本当に地域住民の福祉が守れるのか、自然環境や国土の保全ができるのか、といった言い知れぬ不安であり、憤りではないでしょうか。
 まさに、今、町村自治は存亡の危機にあると言えます。
 本日の大会は、全国の町村長の総意のもと一致団結して、この難局に立ち向かっていく大会にしたいと考えております。
 皆様方のご理解とご協力を切にお願いいたします。
 
 まず、合併の進め方と小規模市町村論についてであります。
 最近の国の政策は、あまりにも市場原理や財政効率の追求、さらに規模の拡大に重きを置き過ぎているように感じてなりません。
 合併問題は、地方自治の根幹に関わり、将来にわたる地域のあり方や住民生活にとって大きな影響を及ぼす最重要事項であります。
 全国の町村は、歴史的な経緯や文化、風土がそれぞれ異なっており、合併の是否は何よりも関係町村の自主的な判断によって決定すべきであります。
 分権型社会の理念は自己責任・自己決定ということであり、また、合併特例法自体も自主的合併を標榜しているではありませんか。
 合併を強制するようなことは絶対あってはならないと考えます。
 
 また、関係各方面で、一定の人口規模に満たない市町村の権限を制限・縮小したり、他の基礎的自治体へ自動編入する等町村の存立さえも否定する議論がなされております。
 このことは、地方自治の本旨、地方分権の理念に照らしても相反するものであり、今日まで町村が果たしてきた役割を全く評価せず、また明確な根拠も示さないまま、町村が小規模なるがゆえに能力がないと一方的に決めつけ、人口規模の小さい町村を切り捨てるといった横暴極まりなきもので、絶対に容認することはできません。
 
 一方、停滞を続ける経済による税収の落ち込み、累次の経済対策の実施等によって、町村の財政事情は一段と厳しさを増しております。
 しかも、過日提出された地方分権改革推進会議の意見では、三位一体で進められるべき改革が国庫補助負担金の廃止・縮減に言及しつつも、税源移譲による財源措置が明確に示されておらず、これでは単なる地方への負担転嫁であると言わざるをえません。
 税源移譲の実現や町村の基幹税目である固定資産税の安定的確保等によって地方税財源の拡充強化をはかることは申すまでもありませんが、とりわけ地方交付税は、税源の偏在による財政力の格差の是正や一定水準の行政サービスの確保をはかるために、必要不可欠であります。
 最近における地方交付税の財源保障機能の見直し論など地方行財政運営の基本的な仕組みを認識しない論外な議論であり、地方交付税制度の持つ財政調整機能、財源保障機能を堅持し、必要な総額を確保することが、町村財政の今後の運営に最も重要であると考えます。
 
 町村が、その役割を十分に果たせなくなるようになれば、地域の発展はなく、国の発展もありません。
 我々2,542の町村長は、その信念のもとに、行政運営に積極果敢に取り組むとともに今後とも一致団結して、山積する諸問題の解決に向け、国等に対し強力な要請活動を展開していかなければならないと考えております。
 本大会が所期の成果を収めることができますよう、皆様方の格別のご協力をお願い申し上げまして私のご挨拶といたします。

平成14年11月27日

全国町村会長 山本 文男