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山本会長が医療制度改革で意見陳述 ―自民党医療基本問題調査会・厚生労働部会合同会議―

印刷用ページを表示する 掲載日:2001年10月31日

 自由民主党の「医療基本問題調査会・厚生労働部会合同会議」が10月31日に党本部で開催され、現在政府・与党で検討が進められている医療制度改革について全国町村会、全国市長会など関係団体からヒアリングが行われました。
 全国町村会の山本会長(福岡県添田町長)は、本会がかねてから提言している医療制度の一本化、医療費の適正化に向けての方策などについて意見陳述を行いました。
 また山本会長は、齋藤副会長(茨城県関城町長)、藤本副会長(岡山県和気町長)とともに同日合同会議終了後、片山総務大臣と、翌11月1日坂口厚生労働大臣などと面談し、医療制度改革についての本会の要望事項の実現を要請しました。


山本会長発言要旨 

 この機会に私どもの要望事項を申し上げます。まず国民健康保険についてでございますが、昨年度は全体で概ね4,500億円の赤字収支になっております。調整交付金等を頂いておりますが、3,305億円余を一般財源から繰り入れているという状況です。 
 各保険加入者の所得では、組合健保の方たちの所得は383万円程度であるのに対し、国保の方たちの所得は179万円、政管健保では246万円程度となっております。保険料については同額を負担しているけれども所得は違うということになりますので、組合健保と比較すると2倍以上の保険料を払っているという計算になる訳です。
 加入者の平均年齢では、組合健保は33.6歳であるのに対し、国保の方は51.3歳となっており、今問題となっている老人医療にかかる予備軍が国民健康保険の加入者に一番多いということなのです。
 このようなことから国保の財政は、来年度は破綻するのではないかという状況下であるということをご認識いただきたいと思います。
 しかも加入者の数は、国民健康保険の被保険者の数が4,224万人で一番多いのです。そのうち無職の人が46.7%を占めています。保険料の負担には耐えられない、しかも組合健保の倍額を払うような状態でございますので、私は国民健康保険の改正なくして医療改革はあり得ないと思うのです。
 これからは医療保険は一本化するべきであると思います。いくつかの保険に分けるのは20世紀で終わりであり、21世紀は被保険者及び給付と負担を一つにすることが一番大事なのではないでしょうか。この点について格別のご配慮を頂きますようお願い申し上げます。何故そこまで申し上げるかと言いますと、私どもには国民健康保険を維持していくだけの体力が残っておりません。全国の市町村の大多数がすでに国保を維持できないという状況でございます。
 しかし国保も組合健保も政管健保もそれぞれ長い歴史をもっておりますから一挙に一本化をすることは難しいと思われますので、たとえば6年かけて一本化するとした場合、最初の3年間は財政だけを一本化し、後3年間かけていろいろ整理を行いながら医療保険の一本化を行えばよいのではないでしょうか。そういうやり方をしないと今後も毎年医療費をどうするんだといった議論が絶えないと思います。
 次に保険者のことですが、本来全国で保険者は一本がよいのですが、段階的に県単位で保険者になっていただく、それをまとめた連合会を国でもっていただくというやり方が考えられます。
 また給付については、老人医療の給付は、出来高払い制は廃止して包括支払方式にするべきだと思います。そうすることによって老人医療費の伸びを抑えることができます。包括方式の基準をどう決めるかが問題ですが、決め方が良ければ包括方式は大きな効果を発揮することが可能であると思います。 
 次に現在薬の値段が大変高いのです。この薬を開発するのにはいくらかかる、だから200億売ればだいたいペイすることができる、という考えかたをしているのが日本の製剤界です。ですから、200億でペイできるものを・00億、400億売っている訳ですが、それでも値段が最初の頃と変わらない。端的な例は医療機械器具です。CTスキャンは定価が1台1億5,000万円程度ですが、実際は2,000万円くらいです。つまり1億3,000万円は値引きなのです。このような医療機械器具はすでにペイしているのに価格を変えていません。ですから治療費もさることながら薬剤の値段、医療機械器具の価格をもう一度見直すことが必要だと思われます。老人医療費が高いという議論の前にこれらを見直すべきであると思います。
 それから老人の外来は1日に4件も5件もはしごをする場合があり、行くたびごとにそれだけの医療費を重ねてゆきます。今医療費が上がっている一番大きな原因はこうした老人の外来費なのです。これを抑えるために、不必要な重複受診は避けるようにすればよいのではないでしょうか。 
 これらの改正、①診療報酬包括支払方式の実施②薬価、医療用具・保険医療材料価格の適正化―等を行うことによって、私は31兆円をより低く押さえることは可能だと思います。先生方にも今申し上げました点を考慮していただければ、医療費も下がり、それほど心配をしなくても良い状況になると思います。
 公費負担につきましても適正な負担は当然するべきだと思います。
 私ども町村が負担する分について、国側も原則はきちんと負担をするべきだと思います。
 また特殊な疾病や難病は保険からはずすべきであります。これらは、公費で負担をするということが望ましいと思います。自己負担を多くして医療費を抑えるという考え方はやめるべきだと思います。
 以上①一本化の問題②医療費の適正化に向けての方策③適正なものについては公費で負担するべきであること―の3点を申し上げましたのでよろしくお願いいたします。