全国町村会の山本文男会長(福岡県添田町長)は、11月6日に開かれた地方分権推進委員会(諸共虜委員長)の市町村合併推進に関するヒアリングに出席し意見陳述を行った。
このヒアリングは、同委員会が合併推進方策の「意見」を11月中にまとめたいとして各方面の意見聴取を行っているもので、この日のヒアリングには経団連や日本青年会議所等の代表も出席した。
山本会長の発言要旨は次のとおり。
Q:町村の行政需要が増えても現状以上に交付税を増やすのは困難だと思うが、どうすれぼよいと思うか。
A:・交付税なしに自立するのは無理である。合併をやるなら県からやるべきである。これから手を着けないと地方の再編成などできるものではない。
・福岡県は人口が500万人あるが隣の県は70万人と福岡市の半分しかいない。
・そういう県が福岡県と同じことをできるはずがない。地方というのは千差万別であり格差が大きすぎる。したがって、県を含めた再編により税の偏在を解消しないかぎり自立は難しいと思う。
・市町村格差があるのは仕方が容いが、そこに住んでいる住民に大きな市と小さな村とで法的に受ける利益に格差あってはならない。介護保険の広域連合を作ったのもそういう考えによる。平等な負担をし利益を受けることが望ましい。
Q:国民の生活圏の拡がりと小さな町村の行政区画とのギャップをどう考えるか。
A:・小さなところは小さいなりに必要な面がある。そういうところは山間僻地が多い。山間を放棄すると、一番最初に災害が起こる。人が住んでいることによって守られている。
・したがってそういうところが自立できる範囲内での合併、あるいは出張所のようなものを設けてみるなど、どうしても合併ができないようなところについてはそういう考えを示してみてはどうかと思う。
Q:合併すると中心部だけが繁栄するというが、周辺部の過疎化は社会現象であり,必ずしも合併だけが要因とはいえないと思うがどう考えるか。
A:・周辺が悪くなるという話は、自分の町の実例を話した。これは大変である。30年間町長しているが最初から未だにインフラ整構を続けている。
・農業が廃れ耕作放棄が進む現状ではいかんともしがたい。
・観光地などは道路整儀が進んでいるが、そうでないところはどうしょうもない。こういうことが住民の合併への抵抗感となっている。
Q:住民投票の法制化は濫用の恐れがあるというが、市町村長や議員はある意味で利害関係者でありその点についてどう考えるか。
A:・住民投票はあってもいいと思うが,これは当事者がその時に判断すればよく、法制化すべきことではない。法制化されていない現在ですら様々に行われている。
・したがってこれを法制化すると、行政に反対の意見を持つ人が他の問題でもやろうとする。当事者の努力に対して反対の人がやろうとすることが多い。住民投票の法制化には断固として反対する。これだけは容認できない。