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山本会長が地方分権推進委員会ヒヤリングで意見陳述

印刷用ページを表示する 掲載日:2000年11月6日

 全国町村会の山本文男会長(福岡県添田町長)は、11月6日に開かれた地方分権推進委員会(諸共虜委員長)の市町村合併推進に関するヒアリングに出席し意見陳述を行った。
 このヒアリングは、同委員会が合併推進方策の「意見」を11月中にまとめたいとして各方面の意見聴取を行っているもので、この日のヒアリングには経団連や日本青年会議所等の代表も出席した。
 山本会長の発言要旨は次のとおり。


山本会長発言要旨

1、原則論について

  • 現在進められている施策は、何のための合併なのかビジョンが見えない。ビジョン(目標)を明確に掲げるべき。
  • 合併というのは、外部から強要するものでなくあくまでも自主的なものであることが大前提。
  • 合併が自治体にとって有利な選択ならば、既に合併しているはず。

2、合併の障害について

  • 過去の合併は、良い結果をもたらしていない。合併した旧村のインフラ整備は未だに継続中である。
  • 合併により繁栄するのは中心部だけで、周りは疲弊が進行し手が着けられないという状滉は全国的な傾向であり、30年代の合併の弊害ではないか。
  • 法的な措置の点にも障害がある。合併特例法の定める10年間の交付税措置は、11年目以降の減額を意味するものである。

3、地方分権との関係について

  • 今回の地方分権改革にも大きな期待をかけていたが、実務において大きな隔たりがあることが分かった。
  • 出発点としてはあまりにも小さな分権ではなかったか。合併をしても明るくなるという期待が持てない気がする。
  • 分権委員会に対しては、町村への更なる分権をお願いしたい。それが、町村合併のインセンティブにもなると思う。
  • 中央省庁再編など、新しいことへの対応が必要だが、地方の国の出先機関については、分権に逆行した複雑化の傾向を感じる。
  • 許認可などについて、出先機関に求めるものと中央に求めるものと分けた考え方で準備が進められているようだ。戸惑うこともありうるので、事務が煩雑にならないよう是非ともお願いしたい。
  • 税財源闇題については、分権に対して熱意に燃えている我々の期待に応えていただくためにも、早く方向を示してもらいたい。
  • 交付税の機能も重要であり、これらの姿がはっきりしないと合併の障害にもなる。

4、住民投票制度について

  • 合併の一つの手段としての住民投票は考えられるかと思うが、これを法制化することには賛成できない。
  • その理由は、事の善悪とは別に行政に反感を持つ人による、住民投票の濫用・悪用の弊害が懸念されるからである。

5、市制要件の緩和について

  • まず、市に「昇格」するという言葉と、3万人の人口要件だけで市制を施行するという点に疑問を持つ。
  • 3万人を超える町村は27団体あり、中には5万人を超える村もある。
  • 3万人で市になるところと、現在3万人以下で市なっているところをどう考えるのか、矛盾を感じる。

6、数値目標について

  • 現在、言われている1,000などというような数値の根拠は何なのか。
  • 1,000になるとどういう地方自治体が出来上がるのか、ビジョンが示されていない。
  • 我々は合併に反対しているわけではないが、町村がゼロになってはいけない。
  • 国土の7割を占める町村は、山を維持し、緑を守り食料を作っている。
  • 市町村の適正な数はいくつなのか考える必要がある。
  • ただ単に合併だけを推進してもうまくいかない。

7.質疑応答

Q:町村の行政需要が増えても現状以上に交付税を増やすのは困難だと思うが、どうすれぼよいと思うか。
A:・交付税なしに自立するのは無理である。合併をやるなら県からやるべきである。これから手を着けないと地方の再編成などできるものではない。
・福岡県は人口が500万人あるが隣の県は70万人と福岡市の半分しかいない。
・そういう県が福岡県と同じことをできるはずがない。地方というのは千差万別であり格差が大きすぎる。したがって、県を含めた再編により税の偏在を解消しないかぎり自立は難しいと思う。
・市町村格差があるのは仕方が容いが、そこに住んでいる住民に大きな市と小さな村とで法的に受ける利益に格差あってはならない。介護保険の広域連合を作ったのもそういう考えによる。平等な負担をし利益を受けることが望ましい。

Q:国民の生活圏の拡がりと小さな町村の行政区画とのギャップをどう考えるか。
A:・小さなところは小さいなりに必要な面がある。そういうところは山間僻地が多い。山間を放棄すると、一番最初に災害が起こる。人が住んでいることによって守られている。
・したがってそういうところが自立できる範囲内での合併、あるいは出張所のようなものを設けてみるなど、どうしても合併ができないようなところについてはそういう考えを示してみてはどうかと思う。

Q:合併すると中心部だけが繁栄するというが、周辺部の過疎化は社会現象であり,必ずしも合併だけが要因とはいえないと思うがどう考えるか。
A:・周辺が悪くなるという話は、自分の町の実例を話した。これは大変である。30年間町長しているが最初から未だにインフラ整構を続けている。
・農業が廃れ耕作放棄が進む現状ではいかんともしがたい。
・観光地などは道路整儀が進んでいるが、そうでないところはどうしょうもない。こういうことが住民の合併への抵抗感となっている。

Q:住民投票の法制化は濫用の恐れがあるというが、市町村長や議員はある意味で利害関係者でありその点についてどう考えるか。
A:・住民投票はあってもいいと思うが,これは当事者がその時に判断すればよく、法制化すべきことではない。法制化されていない現在ですら様々に行われている。
・したがってこれを法制化すると、行政に反対の意見を持つ人が他の問題でもやろうとする。当事者の努力に対して反対の人がやろうとすることが多い。住民投票の法制化には断固として反対する。これだけは容認できない。