ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 全国町村会の活動状況 > 山本会長が自民党・市町村合併推進小委員会で意見陳述

山本会長が自民党・市町村合併推進小委員会で意見陳述

印刷用ページを表示する 掲載日:2000年10月11日

全国町村会の山本文男会長(福岡県添田町長)は、平成12年10月11日に開かれた自由民主党の地方行政部会・市町村合併推進小委員会(大野松茂委員長)に出席し、市町村合併問題に関しての意見陳述を行いました。
 この小委員会は、市町村合併の推進にあたって市制施行の適用条件緩和など合併特例法の改正を検討するもので、全国町村会はこのことに関し、去る7月28日と9月22日に「市町村合併に関する緊急要望」を関係方面に提出していたところですが、同小委員会はこれの改正に向けて全国町村会と市制要件の緩和を要望している地方自治体の出席を求めヒヤリングを行ったものです。
 山本会長の意見要旨は次のとおりです。


会長意見

一、市町村合併の原則について

(1)地方自治法の根幹に関わることは、地方自治体自ら判断すべきである。
 国、都道府県が主導のもと、強制的な手法により合併を推進すべきでない。
 合併が当該町村にとって有利であれば、自己決定により既に合併している。また他からの刺激がなくても自主的に判断して条件整備が出来れば町村は合併推進する。
(2)理念だけで合併を推進しようとすることは現実無視である。
 具体的な姿や将来の地方自治体の在り方を明確にして、長期的視野での論議こそ重要である。即ち合併推進理念が不明瞭である。
(3)過去の合併実態は決して良結果をもたらしていない。
 過疎の町村はますます疲弊し、住民福祉は後退するばかりである。
 添田町と津野村は昭和30年、町村合併促進法により合併したが、現状は、
イ、合併時の津野村は人口約3,000人であったが、現在は約800人で、少子高齢化の顕著な地域となった。
ロ、その理由を大別すると、二つあるが、その一つは県営ダムを旧村の中心部に建設した為、その二は離農と僻地の為である。
ハ、合併後30数年を経過したが、疲弊進行は止まず未だに基盤整備事業が続いている。

二、合併障害について

(1)地方分権に町村側は大きな期待をかけていたが、移譲事務の少なさと町村特有の農林事務移譲が見送られ大きく期待はずれとなった。
 そのうえ、補助金や地方自治体運用の最重要な地方交付税については、厳しい論議が行われ、将来展望のない状況である。
(2)現行の合併特例法では、合併後10カ年は合併時の交付税を保証するとなっている。即ち10年後は減額となる意味である。
 これは、先に述べた合併後の中心地域以外は疲弊が進行すると言う意味にとれる。
(3)合併対象町村の中で、赤字を大幅に抱えている町村は特別起債を認めると言われているが、結局は合併する他の自治体が負担することになり住民の反感を買うことになる。真面目に努力した町村が負担だけ強いられるということになる。

三、町村合併の市制要件緩和について

(1)地方自治法の趣旨との整合性がない。
 地方自治法は5万人以上、合併特例法は4万人以上となっている。
(2)現に、3万人を越えている町村が117団体あり、中には5万人近い村もある。
 市町村を区別している意義をどう説明するのか。
(3)市と町村では組織的権威面において異なる扱いがされ、ふさわしい規模、都市形態が求められているはずである。連たん戸数の要件などをはずし、人口要件のみにするのは如何なものか。
(4)結果として実質的な中身のない名ばかりの市が乱立し、将来にわたる健全な行政運営の確保が出来なくなり、現在の町村実態より行政上、落ち込むと思われる。
(5)来年4月に間に合わせると言われているが、ムード先行、拙速な合併促進とならないか、また、イメージアップと言われているが、町村のままではイメージが悪いと言うことにとれる。

四、住民投票について

 合併促進の手段として住民投票を制度化するのは、根本から間違っている。しかもこの制度を設定すると悪用することが予想され、地方自治は崩れる。
 住民は、首長、議員を自分たちが選んで負託していると言う概念が強い。
 若しこの制度を設定すれば混乱と自治権の侵害となると考える。

五、交付税

 財政上、交付税を見直しすることは必要かもしれないが、昨今の論議は現実無視である。住民はどこに住もうが法的利益や福祉享受に格差があってはならない。