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山本会長挨拶

印刷用ページを表示する 掲載日:2003年12月3日

本日ここに、全国町村長大会を開催いたしましたところ、小泉内閣総理大臣、河野衆議院議長、倉田参議院議長、麻生総務大臣を始め関係大臣、全国町村議会議長会会長並びに国会議員の諸先生方におかれましては、政務極めてご多端の折、御臨席を賜り、誠にありがたく厚く御礼申し上げます。

また、全国の町村長各位には、本大会のため遠路ご参集をいただき、心から感謝を申し上げます。
本日の大会は、全国の町村長の総意のもと、真の町村自治の確立強化を目指す大会にしたいと考えております。
皆様方のご理解とご協力を切にお願いいたします。

小泉内閣総理大臣をはじめ政府におかれましては、国の内外に山積する諸問題の対応に、更なるご尽力を頂きますようお願い申し上げます。
私ども町村長といたしましても、惜しみない協力をいたす所存でございます。

さて、皆様、私達は今、スローガンを掲げた帽子を再び着用し、ここに参集しております。私達は、これまで、国が強力に推進している合併の問題に対しても、その是非の検討を含めて、真剣に取り組む一方、各地域ごとに異なる様々な課題解決のために、日夜懸命の努力を重ねてきております。
このような日常の町村行政の責を担うなかで感じることは、自治の基本である自己決定・自己責任の実現を困難にし、妨げている要因が、未だ、いかに数多く存在するかということであります。
しかしながら、関係各方面で行われてきた基礎自治体の在り方や地方分権改革を巡る論議等においては、小規模自治体や条件不利地域にある自治体にも十分配慮しつつ地方分権を着実に進めるという観点からの議論は極めて少なく、依然として人口規模等が大きければ大きい程よいという規模の論理の重視や経済効率・財政効率優先の考え方がその基調をなしているように思えてなりません。
このまま推移すれば、町村は人口規模が小さい、課税客体に乏しいというだけで、その自治を一層制約されることになりかねません。
私達は、これからも、地方分権を前進させ、町村自治を揺るぎないものにするため、各般にわたる取り組みをさらに粘り強くかつ強力に展開して参らなければならないと存じます。

政府の地方制度調査会は、先月13日に「今後の地方自治制度のあり方に関する答申」をまとめました。

私は、ここに至るまでの間、委員の一人として住民に最も身近な行政主体である市町村は、人口の大小にかかわらず、すべて基礎自治体として位置付けるべきであること、市町村合併については、誰に強制されることなく、関係市町村の自主的な判断により進められるべきであることを基軸として、機会あるごとに意見を申し述べてまいりました。
答申には、このような私どもの意見をある程度は反映していただいたと思っておりますが、新しい合併特例法のあり方に関しては、どうしても納得しかねる事項も残されております。
その第一は、都道府県が策定する合併構想において、合併が期待される小規模な市町村として「おおむね人口1万未満を目安とする」とされたことであります。
確かに地理的条件や人口密度等も考慮されることになっておりますが、具体的に1万未満と人口が明示されれば、そのような町村は、一人前の基礎自治体ではないとみなされるという思いを持つのではないでしょうか。 
第二は、知事が合併協議会の設置を勧告したときは、市町村長は、これを議会に付議するか住民投票を行うという制度の導入についてであります。
このような都道府県の関与の強化は、関係市町村の自己決定権を著しく制約するだけでなく、都道府県との対等・協力の関係を損なうものになりかねません。
私たちは、けっして市町村合併そのものに反対しているのではありません。現に多くの市町村が法定協議会等に参加し、真剣に検討・努力を重ねてきています。
しかしながら、合併は何よりもその地域に希望と喜びをもたらすようなものでなければなりません。人口要件を明示したり、知事の関与を強めたりすることが、このような合併の推進につながるとはとても思えません。 
私どもは、今後予想される法案の作成や審議の動向を十分注視し、いろいろな機会を通じて町村の立場を強く主張することが肝要であります。

また、折りしも、年末に向けて平成16年度予算編成作業が行われ、三位一体の改革が推進されようとしております。
私は、常々、三位一体の改革は、町村が基礎自治体としての役割をできる限り自立的に果たしていけるようにするという観点に立って進められるべきであると申し述べてまいりました。そのためには、町村の実態を十分理解していただき、改革に反映していただく必要があります。
即ち、町村は農山漁村地域の大半を占めており、税源や課税客体に乏しいということであり、その中で国土の保全や水源の涵養等の重要な役割を果たしつつ、基礎自治体として全国共通の行政責務を遂行してきているということであります。
まず、国庫補助負担金の廃止・縮減を行う場合には、単なる地方への負担転嫁にならぬよう、税源移譲等による明確な代替措置を講じるべきであります。
また、税源移譲の検討に当たっては、町村のおかれている実情から、税源移譲の波及効果が十分に及ばないことが懸念されますので、地方交付税の充実強化も併せて検討する必要があります。
その意味からも地方交付税の役割は今後とも一層重要になってくるものと存じます。
一部では「地方交付税の財源保障機能を廃止・縮小せよ」 といった議論が行われておりますが、まさに、町村の実情はもとより、地方行財政運営の基本的な仕組みを認識しない論外の議論であります。
地方交付税のもつ財源調整・財源保障機能を一体として堅持するとともに、必要な総額を是非とも確保していく必要があるものと存じます。

町村の繁栄なくしては、国土は維持できず、また、我が国の発展も有り得ないのであります。我々2,497の町村長は、その信念のもとに、行政運営に積極果敢に取り組むとともに今後とも一致団結して、山積する諸問題の解決に向け、国等に対し強力な要請活動を展開していかなければならないと考えております。
本大会が所期の成果を収めることができますよう、皆様方の格別のご協力をお願い申し上げまして私のご挨拶といたします。

平成15年12月3日

全国町村会長 山本 文男