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小泉純一郎内閣総理大臣挨拶要旨

印刷用ページを表示する 掲載日:2003年12月3日

 本日は、全国からたくさんの町村長の皆さんが参加して、こうして大会を開催されましたことをお喜び申し上げます。
 先程会長からお話がありましたように、三位一体の改革、これはなかなか難しい問題であります。補助金を削減したら税源はどうなるのか。税源を移譲されても、自分のところには税源すらない。交付税については、全国3,200ほどの自治体がありますが、財源のあるところから財源のないところに交付税を移そうと、しかし現実には、交付税をもらってないところは100前後であり、ほとんどの自治体は交付税なしではやってゆけません。どれ一つとっても、補助金も税財源も交付税も関連してくる問題で、一つ一つ解決しようとしても解決ができなかった問題であります。それならば全部難しいのだから全部一緒にやろうというのが、補助金、交付税、税財源、これが三位一体の改革として、今進めていかなければならない問題であります。

 お話のように地方の自治を確立するためには、自前の税財源を持たなくてはならない、しかしそれがないからこのように「地方交付税制度を堅持せよ」というスローガンが掲げてあるのだと思います。地方交付税制度というものをなくすことはできないとは思いますが、現在のままでよいかというとそうではない。やはり正すべきところは正して頂きたい。その際には、税財源と補助金、両方の問題が絡んできます。まず今回の三位一体の改革の大きな視点は、地方の裁量権を拡大してゆくことであります。地方のやる気、意欲を引き出してゆこうと、いうことが主眼であります。そういう点を考えますと、現状でよいというところもございますが、改革してゆかなければならないところがたくさんあると思います。

 国の行財政改革も当然重要であるとは思いますが、中央から地方へ、民間でできることは民間で、地方でできることは地方に、という改革を進めてゆくと、当然、地方の改革にもつながってゆくわけであります。これから3年間で、約3兆円の補助金を削減しようと、この年末に来年度の予算編成を控えておりますが、初年度に1兆円を目指して補助金を削減しようと、その際に税財源と交付税の問題が出てくるわけであります。まず、地方のやる気を、地方の自由度と裁量権をいかに拡大してゆくかという観点から、この問題に取り組んでゆきたいと思います。
 当然、今、地方にとってはこの三位一体の改革だけではございません。地域再生本部を立ち上げまして、今年は都市再生といっていますが、東京や大阪だけではありません、稚内から石垣まで、全国各地で都市再生、地域のやる気を引き出してゆかなくてはなりません。現に稚内におきましては、構造改革特区と地域再生を両方活かしてゆこうという取り組みが進んでおります。サハリン、ロシア等々とともに最も最先端の都市にある稚内で、港湾の規制改革を進めてゆこうと、そしてサハリンや利尻、礼文との島々との交流を進めてゆこうと、いわば地域再生、三位一体の改革だけではない、特区と地域再生の両方を活かして町おこしを進めてゆこうとしております。石垣もそうであります。島がたくさんある中で、島との交流をどのようにして図るか、こういった観光資源に目を向けようではないかという取り組みも進んでおります。

 私は、観光立国を目指してゆきたい思っております。日本にはたくさんの良いところがあります。豊富な観光資源が眠っています。日本から外国へ出てゆく旅行者は、去年1,600万人を超えました。ところが外国から日本に来るのはまだ500万人です。かつては500万人いた日本から海外への旅行者が、1,000万人を超えることを目標にしていましたが、それがいまや1,600万人の日本人が外国を旅行できるようになりました。パリだけで年間5,000万人の外国人が年間訪れています。日本はその10分の1の500万人であります。まだまだ眠っている観光資源が地方にはたくさんあります。観光というものは、老いも若きも、男性も女性も、万人が好きなことだと思っております。そういう眠っている観光資源を、日本人のみならず、外国人にもどんどん見てもらおうという取り組みは、地域の再生にもつながると私は思っております。

 3,200ほどある地方自治体の中で最も多い約2,500が町村であります。町村は、人口は日本全国の2割でありますけれども、面積は約7割を占めています。非常に重要な役割を町村は果たしているのであります。そういう中で全国の町村長さんは日頃から大変な努力をしておられる。一番身近に住民に接しているんです。どこが寂れて、何をしなくてはならないかを一番よく知っておられるのです。そういう現場を信用しなくてはなりません。現場の人をもっと信用することが、中央から地方への改革でなければならないと私は思います。こういうやる気を引き出すための改革を進めてゆこうというのが、今回の三位一体の改革であり、構造改革特区の問題であり、地域再生であり、観光立国の進行である、という点を是非ご理解を頂きまして、今後は皆さんのご協力を得ながら三位一体の改革に取り組んでゆきたいと思っております。

皆さん方は、このお忙しい時期に全国から東京においで頂き、これからともに改革を進めてゆこうという意欲を大事にしながら、小泉内閣としても改革の路線を軌道に乗せて、改革の芽も出てきた、この芽を大きな木に育ててゆくように皆さんとともに頑張ってゆきたいと思いますので、皆さんの一層のご活躍と、町村のご発展を祈念申し上げまして、ご挨拶とさせて頂きます。本日はご苦労様でございました。