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麻生太郎総務大臣挨拶

印刷用ページを表示する 掲載日:2003年12月3日

 いま握手をさせていただいた山本会長と同じ筑豊から出て参りましたので、今日は喜んでここに参上いたしました。
 まずもって全国2,500にわたります町村から大勢の方々がNHKホールにお集まりいただき大きな会議をされるということは誠に心強いことであり、過日の総選挙また参議院選挙にてお世話になりました国会議員もここに大勢参上しております。皆様方の普段からの地方自治に関する並々ならぬご努力により、皆様方の声を国政に集約する立場の国会議員にとりまして、このような形でお集まりいただくことは大変心強く、代表いたしまして厚く御礼申し上げる次第です。

 いま、小泉総理からも三位一体等々いろいろお話がありましたが、明らかに時代は大きな政府から小さな政府に、中央集権から地域主権へと流れが大きく動いているのは皆様方感じておられると思います。地域に主権が移る権限が移るということは、イコール地域にそれだけの権限ができた分だけ地域間が競争することを意味します。

 地域が地域どうしで自分の行政サービスの方が他の町より良い、あの町よりうちの町の方が経営内容が良いということを競争する時代になっていくであろうと思います。地域主権の進んでいる諸外国をみましても、その地域に大きな企業や工場が進出することが、雇用の促進につながる、もちろん税収も上がるでしょう。そういった意味では是非出てきてもらいたい。そのため地方行政に関しまして、いろいろな恩恵を与え、また手続き等手間のかかることについても担当を置く。

 例えば、アメリカのケンタッキー州ではトヨタ担当の職員がいる。また、ミシシッピに行けば日産担当の職員がいる。いずれも担当させています。その人たちは、全部の窓口となっていますから、企業は誠に便利であり、外国に行ってもこれだけ歓迎されればさらに投資する、といった担当者を置ける町村がどれだけあるでしょうか。

 私どもはそういった現実を見聞するにつけ、今までと違って地域に主権が移るということは、それだけ大きな責任と同時に自由度が上がる、自由裁量権が増えるということを意味しています。その意味ではこの大きな流れというのは、いま地方自治にとって転換点にきていると思います。

 いま、町村合併をはじめ行政手続きがオンライン化されることによって、書類を提出しなくてもよくなってみたり、その内容が大幅に変わろうとしています。それに対応できるような人員を各地方自治体は持っていなければ対応できないことになります。その意味では地方自治の強化も避けて通れません。しかし同時に、いま予算編成にあたって色々な話がなされていますが、総務省の立場としてはいくら合併が進んでも税源移譲が進んでも、権限が移譲されても税源の対象となる人がいない、対象となる企業のないといった地域が出ることも避けて通れないと思います。

 みんながみんな一律に同じことをやるのはあり得ないのであって、地域というのは金太郎飴ではありませんので、今後地域は特色ある発展というのが期待されるという状況の中にあって、ある程度差が出てきた分は限度を超えれば交付税の持っております本来の理由によりまして、その差を何らかの形で補てんするという交付税というものは、いまそのままいうわけではありませんが何らかの形で交付税は維持されるべきであると思っています。

 そういう問題は、皆様の意見にも「堅持せよ」と出ておりますので、その点は十分配慮してやっていくつもりでありますが、いずれにいたしましても今後、有事法制や国民保護法等色々な形で都道府県や市町村に期待されている所は極めて大きく、そういったものを含めまして、昨日開かれました全国知事会におきましても、色々ご意見が出されており私どもも拝聴させていただいた次第です。

今後とも皆様方に色々な意味で新しい時代にあって、手続の問題、税の問題、また権限の問題などが今までと違った形で皆様方の前に出てくると思います。是非、新しい時代に合った新しい行政に皆様方が取り組んでいただき、そして結果として今回の町村合併や三位一体の改革が結果として改良であったという結果を生まなければ、今回の大きな取り組みは失敗するということになるのであって、私どもは改革の結果が改良であったと、皆様方や町村民の方、ひいては国民の方々から評価を受けるものに結びつけるため全力を挙げて参りますので、皆様方の率直なご理解と、そしてお力添えやご教示をお願い申し上げて今大会の祝辞に代えさせていただきます。