会議の冒頭、安倍総理大臣は挨拶の中で、「地方の元気なくして国の元気はない。国と地方の役割分担を見直し、それを国全体の再生に繋げていくことが重要である。 地方に対する規制緩和や権限移譲など地方分権改革を着実にこれからも進めていく。また、安倍内閣の現下の最優先課題は経済の再生である。併せて、財政の健全化を 実現しなければならない。経済の再生と国地方を通じた財政健全化が、お互いの進展に寄与し合うような好循環が生まれるよう取り組んで行かなければならない。本日は、 地方の立場から忌憚のないご意見を頂き、実りある協議の場としたい。」と述べました。
新藤内閣府特命担当大臣(地方分権改革)から、政府の地方分権改革の取り組みについて、特命担当大臣の下に設置した「地方分権改革有識者会議」に、 「雇用対策部会」と「地域交通部会」を設置し、まず無料職業紹介と、自家用有償旅客運送の権限移譲について成果を出したい。また、国から地方への事務・権限の移譲に 関しては、各府省から、今後移譲等の見直しを行うとされた、約80項目を精査したうえで、総理を本部長とした「地方分権改革推進本部」で決定し、各府省に対し 指示・命令を出す形で必ず実行したいとの発言がありました。
これに対し、藤原会長から、地域の意見や実情をしっかり把握すること、また、スピード感のある権限移譲をしていただきたいと要請しました。
甘利経済財政政策担当大臣から、現在、経済財政諮問会議において、骨太方針の策定の議論をしているが、財政健全化のポイントは、3本の矢が、経済再生に向けて 持続的な効果を発揮するためにも極めて重要である。個別の論点として、地方側の行財政制度について、有識者議員から、地方交付税算定上、頑張る地方が報われる 仕組みを導入する、あるいは、広域連携や広域での機能分担が進むように自治体が柔軟に連携のあり方を決められる仕組みに係る法整備を検討するといった提案を いただいている。これらを踏まえ、骨太方針の取りまとめを進めていきたい等の発言がありました。
続いて、社会保障制度改革国民会議について、地方との関わりの深い医療・介護分野の現段階の議論においては、①国民健康保険の保険者について都道府県単位に 集約する方向で検討する、②高齢者医療支援金の総報酬割の導入により生じた財源については、国保の持続可能性を高めるために投入する方向で検討する、③医療提供体制の重点化・効率化については地域医療計画の中でどう具体化していくか検討していく-といった方向性が示されており、更に詰めた議論を行い 8月のとりまとめにつなげていきたいとの説明がありました。
これを受けて山田知事会長から、地方六団体が提出した意見「これからの国・地方を通じての課題について」に基づき、説明と要請を行いました。
その後、意見交換となり、藤原会長からは、今回、「骨太の方針」に、『国土強靱化』や第1次産業を底上げする『攻めの農林水産業』が取り上げられたことを 大変心強く思っている。今後、地域の特性に応じた政策が示され、成果があがることを期待するが、もともと産業基盤の脆弱な町村部では、地域資源を活用した事業が 軌道に乗るまでの間は、行政として支援していくことが欠かせない。
このため、財政的な裏付けとなる地方交付税については、地域経済を下支えしている「特別枠」を、当面維持し、必要な総額が安定的に確保されるよう、 配慮を願いたいと要請しました。
また、国民健康保険に関して、国民会議において、都道府県が運営し、全面総報酬割で浮いた財源は国保に投入するという方向で議論がなされていることを評価した 上で、国保の構造的な問題を抜本的に解決することが必要であり、「骨太の方針」等にこの点をしっかり明記してほしいと要請しました。
意見交換のまとめとして、新藤総務大臣から、皆さんの意見をしっかりと受け止め、今後策定する骨太の方針にできるだけ反映されるよう努力したい。
現下の最大の試練は、日本を再生するということ。国と地方を対立概念としてとらえるのではなく、互いの立場を尊重し、共に一致団結してこの問題の解決に 向かっていくという姿勢で取り組んでいきたい。今後ともご協力をお願いしたいとの発言がありました。
最後に、菅官房長官から、今後とも、皆さんと連携をとりながら骨太方針、地方分権改革を進めていきたいとの発言がありました。