会議に出席した藤原会長
第30次地方制度調査会(会長・西尾勝東京市政調査会理事長)は、12月15日第2回総会を開催し、「地方自治法改正案に関する意見」を決定、同日、野田総理大臣に提出しました。本会からは藤原会長が出席し、「直接請求制度にかかる条例の制定・改廃の請求対象」などについて意見を述べました。
同調査会は、本年8月24日に開催された第1回総会において菅総理大臣(当時)から諮問を受け、まず地方自治法の改正案について審議することとされていたものであり、これまで専門小委員会(委員長・碓井光明明治大学教授)を5回開催し、「地方自治法改正案に関する意見(案)」をとりまとめ、総会に諮られたものです。
意見案は、本会等が問題点を指摘していた①「直接請求制度、条例の制定・改廃の請求対象の拡大」について、対象とする地方税の内容、署名数要件のあり方等について更に検討を加えた上で制度化を図るべきであり、制度化の時期については、今後の経済状況の推移や社会保障・税一体改革の実施状況等を十分見極めて検討する必要があるとされました。また、②「大規模な公の施設の設置に係る住民投票制度」については、住民自治の充実の観点から意義を有すると考えられるものの、住民投票を実施する場合の対象のあり方や要件等について更に詰めるべき論点があることから引き続き検討すべきであるとされました。
藤原会長は、「直接請求制度にかかる条例の制定・改廃の請求対象に地方税等を加える問題については、自然人たる住民のサイドからのみ議論されているが、納税者である法人をどう位置づけるかという課題があることも、今後の議論に際して留意すべき事柄である」ことを指摘し、さらに「一部事務組合等の脱退手続の簡素化については、制度化をはかることに異論をはさむものではないが、合併の是非をめぐる局面で、合併を選択しなかった町村など小規模な団体においても、安定的に組合運営を続けていくことができるよう運用上の配慮が必要である。」と発言しました。
今般の意見に基づき、地方自治法の一部改正法案は来年の通常国会に提出される見込みです。
また、地方制度調査会は引き続き、「大都市制度のあり方」「議会を始めとする住民自治のあり方」「東日本大震災を踏まえた基礎自治体の役割」について審議する予定です。