11月28日(月)、「地方制度調査会 第5回専門小委員会」が開催され、本会からは白石副会長が出席し、意見を述べました。
第30次地方制度調査会の専門小委員会(会長・碓井光明明治大学教授)は、本年9月から総務省が第177回国会提出に向けて検討してきた「地方自治法の一部を改正する法律案」について議論を重ね、今回の専門小委員会に「地方自治法改正案に関する意見(案)」を示すとともに、地方6団体の意見を聴取したものです。
本会から出席した白石副会長(愛媛県町村会長・松前町長)は、意見(案)の、「直接請求制度、条例の制定・改廃の請求対象の拡大」について、①性格が異なると考えられる「使用料や手数料」と「地方税」を同列に扱っていること、②一部の税目に限定して制度化する方策について言及しているが、「一部の税目」が何を指すのか明確になっていないこと、③投票で意思の示せない法人の住民税が主に増税の対象とされかねないことへの対応、固定資産税のように特例措置が複雑なものについて、減税の直接請求の内容をどう把握するのか不明であること、④減収の影響をどこが試算し、対応案は誰が考えるのか明確になっていないこと、⑤署名数の要件や、実施に移すための時期を判断する具体的な前提要件が示されていないことなど、さらに議論を深め、多角的に検討する必要がある点が多くあり、現段階で『制度化を図るべき』とする(案)には反対であると述べました。
また、「大規模な公の施設の設置に係る住民投票制度」については、現在の経済状況や町村の財政状況等を踏まえ、大規模施設の整備には極めて慎重であり、このような時期に大規模な公の施設を住民投票の対象にする必要性があるのか疑問である。また原案は、代表民主制を基本とする地方自治制度に、住民意思を反映させるための補完的な制度導入を理由のひとつに上げているが、議会及び執行機関は、住民に対する情報提供や意見集約を含め、十分住民の付託に応えていると考えている。よって、意見(案)どおり、引き続き検討すべきであると述べました。
次いで、「一部事務組合等からの脱退の手続きを簡素化等」について、各組合の運営は、長期的予測に基づいたシュミレーションを行い負担金を算定していることから、安定的運営の影響が非常に懸念されるので、法律案とする場合には、脱退により残される小規模団体の立場などを考慮した内容とすべきと要請しました。
意見(案)については、審議の結果、「直接請求制度、条例の制定・改廃の請求対象の拡大」については、実施時期の問題だけで反対するのか、制度導入自体に反対するのかで、賛成意見と反対意見が折り合わず、西尾会長、畔柳副会長と相談のうえ、とりまとめるとして、碓井専門小委員長に一任され、「大規模な公の施設の設置に係る住民投票制度」は、様々な意見があることを並列した上で「引き続き検討すべき」とする方向で概ね合意され、他の項目についても、概ね合意されました。
意見(案)については、今月に開催する総会にて意見を決定し、来年の通常国会に地方自治法改正案を提出する見込みです。