政府税制調査会(会長代行 片山総務大臣)は10月28日、5回目の全体会合を開催し、地方団体との意見交換を行いました。本会からは古木哲夫副会長(山口県和木町長)が出席し、地方税について、地方自治の基礎をなす重要なものであり、地域主権の確立のためにも、その充実・確保による財政基盤強化が不可欠との観点から意見陳述を行いました。
古木副会長は、はじめに、「国から地方への税源移譲等」について、①国税と地方税の税源配分について、地方が担うべき事務と責任に見合うよう、見直すことが重要②地方消費税の充実等により、税源の偏在が少なく、税収が安定的な地方税体系を構築することが必要と発言。特に、これからの社会保障関係費を考えた場合、消費税率引き上げの際には地方消費税の拡充は不可欠であるとしました。
「個人住民税の充実確保」については、個人住民税は受益と負担の関係が明確な基幹税目であり、政府において所得税の各種控除を検討する際には、住民税についても所得税との税体系上の整合性に配慮しつつ、安定的に確保できるよう措置することを求めました。
「法人住民税等の充実確保」については、法人税率及び中小法人の軽減税率の引き下げは法人住民税法人税割や地方交付税原資の減少に繋がり、町村財政に大きく影響するため、引き下げを行う場合は、法人税割の税率水準や地方交付税率の引き上げを同時に行い、確実に補てん措置を講じるとともに、併せて法人住民税の中間納付額にかかる還付加算金について廃止を含めた見直しを行うよう要望しました。
「固定資産税の安定的確保」については、固定資産税は町民税とともに基幹的かつ重要な税であり、政策税制措置や負担調整措置のあり方等の見直しも含め、今後とも安定的な税収の確保を要請。また、「ゴルフ場利用税」について、同税の7割が所在町村に交付され、道路の整備改良や廃棄物処理、防災対策等に活用されており、18歳未満や高齢者に対する非課税措置等一定の見直しも行われている経緯から、現行制度は当然堅持されるべきであると発言しました。
最後に、「地球温暖化対策税制の創設」について、これまでの地方税財源を確実に確保することを前提とした上で、石油石炭税の引き上げによる「地球温暖化対策の税」の創設にあたっては、一定の地方税財源を確保する仕組みを創設することとし、税の使途については、排出抑制対策だけに限定するのではなく、吸収源対策も同列に位置づけることが当然であり、税収の配分については一定割合を森林面積に応じて配分するよう要望。また、二酸化炭素吸収源の中で、最も重要な機能を有する森林の整備・保全を強力に推進し、山村の活性化を図るためにも「全国森林環境税」の創設が必要であると訴えました。