地域主権戦略会議は4月19日、ひも付き補助金の一括交付金化に関する地方ヒアリングを開催し、全国町村会など地方執行三団体から意見聴取を行いました。本会からは汐見副会長(京都府井手町長)が出席し、財政規模が小さいことから事業の実施が年ごとに違い、国庫補助金の額が大きく変動する町村の立場から意見を述べました。
はじめに、昨年秋に取りまとめた「全国町村長大会の意見」として、「一括交付金については、総額の確保、配分基準、財政力の弱い自治体への配慮などをあらかじめ明らかにするとともに、制度設計に当たっては、町村の意見を充分踏まえていただきたい」ということを町村長の総意として決定し、各省庁や各政党など関係先に要請を行ったことを紹介、その上で、「意見」の取りまとめの際に寄せられた具体的な要望、意見について発言を行いました。
まず、一括交付金化の「趣旨・目的」については、多くの町村長が「特色あるまちづくりが進む」「補助金の申請事務が不要になり事務負担が軽減される」「地方の責任による自主・自立の行財政運営が可能」と期待を寄せている一方、「三位一体改革」では、地方交付税が大幅に削減され、特に町村が犠牲を強いられたことから、今回の「一括交付金」化でも繰り返されるのではないかと心配する声も多く、本戦略会議で「一括交付金化の基本的考え方」をまとめる際には、こうした心配が不要ということを明確に示すよう要請しました。
次に、「制度化の前提」について、この制度改正が、特に小規模な自治体に悪影響を及ぼす懸念があるとし、「一括交付金」化の制度設計に当たっては、小規模町村へマイナスの影響が出ないようにすることと、併せて、「一括交付金」制度がインフラ整備の進捗状況に起因する地域間格差を拡大することのないよう、財政力の弱い市町村に手厚く配分することを「基本的考え方」に必ず盛り込むことを求めました。
「総額の確保」については、地域主権の確立を左右する重要な課題であるため、総理大臣に出席いただいた上で「国と地方の協議の場」で協議・決定すべきであること、また、「補助金の対象範囲」については、国家補償を有するものや、電源立地地域対策交付金のように特定地域の特別の事情により講じられているものについては当然対象外とすべきであり、関係自治体の意見を丁寧に聞くよう要請しました。
「配分の仕組み」については、基本的にそれぞれの政策分野の実情を反映する客観的な指標によるべきとした上で、特に投資的経費については、社会資本の整備状況を考慮する必要があること、また「国の関与」について、計画策定を地方に義務づける手法は国の事前関与であり、「一括交付金」が使途の自由な自主財源であることを法的に明確にするためにも、補助金適正化法の適用外とすることを論点に加え、検討することを提案しました。
「地方交付税との関係」については、現状では、補助金と地方交付税の中間的なものであるという程度のイメージしかなく、「一括交付金」の創設が地方交付税の減額に結びつかないか心配であるとした上で、「一括交付金」化の検討前に、「原口プラン」にある「地方税財源の充実確保」の具体策を検討し、「三位一体改革」で削減された地方交付税の復元の道筋を明確にしておくことが「一括交付金」化の円滑な実施に不可欠であることを強調しました。
また、先般行われた各省庁のヒアリングについて、補助金を担当している省庁から前向きで具体的な提案がなかったことを指摘し、政府全体が「地域主権を実現する」との共通認識を持って取り組むことが重要であるとの認識を伝えました。