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吉田会長が「国と地方の協議の場」に出席

印刷用ページを表示する 掲載日:2024年12月27日更新

 吉田隆行会長(広島県坂町長)をはじめとする地方六団体代表は12月17日、「国と地方の協議の場」(令和6年度第3回)に出席しました。
 政府側は、石破内閣総理大臣、林内閣官房長官、村上総務大臣、伊東内閣府特命担当大臣(地方創生)、兼新しい地方経済・生活環境創生担当大臣、福岡厚生労働大臣、鈴木法務大臣、三原内閣府特命担当大臣(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画)、滝波農林水産副大臣等が出席しました。
 会議では、令和7年度予算編成及び地方財政対策について協議が行われました。

全景

 

挨拶する石破内閣総理大臣
▲挨拶する石破内閣総理大臣

 はじめに石破内閣総理大臣が挨拶に立ち、

 「先ほど、令和6年度補正予算が成立した。新しい地方創生交付金を1,000億円計上するとともに、今年度の地方交付税を約1.2兆円追加配分するなど、地方の皆さまに、経済対策の事業などを円滑に実施いただくための措置を講じたところである。今後、各施策を一刻も早く国民の皆さま方にお届けすることが、何よりも重要であり、補正予算の迅速かつ適切な事業執行をお願い申し上げる。
 本日の議題は、来年度の予算編成及び地方財政対策である。皆さま方より多くのご意見を頂いている、いわゆる『103万円の壁』については、各党の税制調査会長間などでさらに議論を深めてもらっている。皆さまのご心配は十分に理解できるところであり、丁寧にお答えしてまいりたいと考えている。
 先月も申し上げたが、地方創生は、日本の活力を取り戻す経済政策であるとともに、国民の皆さまの多様な幸せを実現するための社会政策である。先週、有識者会議の増田座長ほか委員の皆さま方とお会いをし、積極的に現場を訪れて、地方のご意見を聞き、国民的な機運の醸成を図っていただくようお願いした。現場をよくご存知の皆さま方におかれても好事例の共有など、ご協力をよろしくお願い申し上げる。引き続き、これまでの成果と反省の検証を進め、年末に向けて、基本的な考え方をとりまとめ、その後、今後10年間集中的に取り組む基本構想を策定し、この国の在り方、文化、教育、社会を変革する大きな流れを作り出してまいりたい。
 それぞれの地域がどうすれば良くなるかをご存知なのは、地域の皆さま方である。『地方の繁栄なくして日本の繁栄なし』の思いのもと、現場を担われている皆さまの声をよくお聞きして、一緒になって、全力で取り組んでまいる。本日も忌憚のないご意見を積極的に賜るようよろしくお願い申し上げる」と述べました。

 続けて、地方六団体を代表して、村井全国知事会会長(宮城県知事)が挨拶に立ち、「103万円の壁の引き上げ、暫定税率廃止を含む自動車関係諸税全体の見直しについては、地方の行政サービスに支障を来さぬため、地方財政への影響もご考慮いただくよう、よろしくお願い申し上げる。次に、物価高、人事院勧告等に伴う人件費の増加等、地方の歳出が拡大する中、地方創生の再起動や人口減少対策などに取り組むため、地方交付税等の一般財源総額を増額し、必要額を確保するようお願いする。また、教師の処遇改善について、次期通常国会に、教職調整額引上げのための改正法案を提出するとともに、確実な財政措置をお願いする」と述べ、挨拶を締め括りました。

出席する吉田会長
▲出席する吉田会長(左)

 その後、協議事項に入り、吉田会長からは「①持続可能な地域社会の実現について、農山漁村は、我が国の食料の安定供給や国土の保全など、重要な役割を果たしており、農山漁村を振興し持続可能な地域とすることが、人口減少に対応した地方創生を進めるための重要な柱である。担い手の高齢化と後継者不足はさらに深刻化しており、地方を守るには、元気に活躍する人を確保することが重要である。そのためにも、農林水産業がしっかり稼げる職業となるよう、所得向上に向けた支援や後継者等の確保対策を早急に講じていただくよう、お願い申し上げる。また、急速に人口が減少する中山間地域の農業集落においては、営農活動と暮らしの一体的な推進が必要である。農業政策だけでなく、農村政策にしっかり取り組んでいただくよう、よろしくお願いする。②2025年度地方財政対策について、地方交付税等の一般財源総額の確保をぜひお願いする。その際、物価高や人件費の増加等への対応とともに、デジタル化や子供・子育て支援、防災・減災対策、地方創生等の取組に対する十分な財政措置をお願いする。さらに、所得税や個人住民税の税制改正による、地方財政への影響に対する万全な財源手当や臨時財政対策債の発行額抑制もお願いする。③ガバメントクラウド利用料等の運用コストは、財政規模が小さい町村にとって大きな負担となるので、財政支援を含め適切な措置をよろしくお願い申し上げる」との発言がありました。

 これらを受けて、各大臣からは以下の通り発言がありました。

  • 伊東内閣府特命担当大臣(地方創生)、兼新しい地方経済・生活環境創生担当大臣
    「地方創生2.0」の実現に向けて、複数のテーマが挙げられるが、基本的な考え方のとりまとめにあたり、東京一極集中のリスクへの対応、付加価値創出型の新しい地方経済の創生、安心して働き、暮らせる地方の生活環境の創生といった観点が重要であると考えている。地方創生交付金倍増の具体化はこれからであるが、地方公共団体に対して、制度に係る情報を共有し、地方のニーズやさまざまなご意見を踏まえながら、適切な制度設計を行ってまいる。産官学金労言のステークホルダー、地域の関係者が連携した取組を強力に後押しできるよう、必要な予算の確保にしっかり努めてまいる。

  • 鈴木法務大臣
    外国人育成就労制度について、先ほどマッチングになかなか至らないという話をいただいた。転籍については、無制約に転籍を認めるものではない状況の中で、自治体の皆さま方のご意見もいただきながら、地域産業政策としての受入れ環境の整備等、あるいは、ブローカーを排除する等で地方からの人材流出といった懸念に対して必要な対応を行っていく予定である。

  • 福岡厚生労働大臣
    職業能力開発校への留学生の受入れについて、現在の出入国管理及び難民認定法では、留学の在留資格にて職業能力開発校へ入校することができない一方で、職業能力開発校の定員には空きがあり、日本語能力、生活面等で通常の訓練受講に支障がない場合、外国人を研修の在留資格として受け入れることは制度上可能となっている。地方における人手不足の対応について、関係省庁も含め、今後も検討してまいりたいと考えている。

  • 村上総務大臣
    地方財政について、社会保障関係費や人件費の増加、物価高などが見込まれる中、自治体がさまざまな行政課題に取り組みつつ、行政サービスを安定的に提供できるよう、令和7年度の地方財政対策に向けて、地方交付税を含めた必要な一般財源総額をしっかりと確保してまいる。また、教職調整額については、各省庁とともに連携して適切に対応してまいる。
    103万円の壁について、令和7年度の税制改正の中で議論し、引き上げることとされているが、皆さま方の懸念は十分に理解しておりますし、私も非常に心配しております。引き続き、経済や地方税収の影響を含め、さまざまな論点について、各政党間などで議論が進められると考えており、総務省として誠実に対応してまいる。
    地方公共団体情報システム標準化の移行の経費については、令和6年度補正予算案で194億円を計上し、総額7182億円となる。また、基金の設置年限の延長については、5年を目途として法改正に向け、今後、関係省庁との協議を含め必要な調整を行ってまいる。

  • 三原内閣府特命担当大臣(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画)
    こども・子育て政策の強化は、国と地方が車の両輪となって取り組んでいくべきであり、全国一律で行うべき施策、地域の実情に応じた独自の施策の双方が重要である。引き続き、総務省等とも連携し、全国どの地域でも、こども・子育て政策の強化が図られるよう、しっかりと取り組んでまいる。

  • 滝波農林水産副大臣
    農業の競争力強化のための産業政策と、農業の有する多面的機能の発揮といった農村政策を同時に進めていくことが重要と認識しておりまして、引き続き一体的な推進を図ってまいる。また、スマート農業や輸出の促進を含め、強い生産基盤を確立し、若者が夢を持って働ける農業を実現するとともに、資金支援や労働環境の整備等により就農をサポートしてまいる。

 その後、意見交換があり、吉田会長は、こども政策・少子化対策について「地域に暮らす若い世代が明るい未来を展望できる社会にするため、私たち町村では、地域の実情に応じた少子化対策や、子供・子育て支援に日々取り組んでいる。こうした取組は、若い世代の移住・定住の促進や、住民ニーズに対応した出産・子育ての支援など、多岐にわたっており、その成果として、人口増加や出生率の向上を実現した事例もある。このような優良事例を横展開していくことも、我が国の少子化対策にとって重要であるとともに、こうした取組の積み重ねが、我が国の少子化対策にもつながるものと考えている。そのため、町村が地域の実情に応じて、積極的かつ継続的に取り組んでいる施策に対して、長期的、安定的な地方財源の確保・充実をお願いする。 また、町村が実施をしている子育て支援施策等については、財政力の違いや人材不足などにより、都市部と格差が生じているものもある。こどもの医療費助成や幼児教育・保育の完全無償化など、地域間格差が生じている施策については、全国どこに住んでいても基本的なサービスが受けられるよう、全国一律の施策として、国の責任と財源において必要な財政措置を講じていただくよう、改めてお願い申し上げる」と述べました。あわせて、公務員の地域手当の見直し等に伴う公定価格への反映についても、人材確保に影響が出ない適切な措置を講じていただくことを要望しました。

 これを受けて、三原こども政策担当大臣からは、「政府としては、昨年末に閣議決定した、こども未来戦略にもとづき、まずは加速化プランで示した、こども・子育て政策の強化を早急に実現することが重要であるため、地域の実情に応じて実施する事業についても、関係省庁とも連携し、どの地域でも、こども・子育て施策の強化が図られるよう、しっかりと取り組んでまいる。保育の公定価格の地域区分について、本年8月に示された令和6年の人事院勧告を踏まえた保育の地域区分の対応は、自治体をはじめとする関係者の意見を伺い、ほかの社会保障分野の動向なども見ながら実施時期も含め、引き続き、こども家庭庁において丁寧に議論を進めてまいる」との発言がありました。

 最後に、林内閣官房長官から、「本日いただいたご意見を真摯に受け止め、今から令和7年度予算編成に入って最終局面となるので、各宿題、課題に着実に取り組んでまいる。石破内閣は「地方創生2.0」と言っているので、2.0にふさわしいものにしていかなければならないと思っている。ぜひ今後も対話を重ねて、続けてさせていただきたい」と述べ、協議は終了しました。

【参考資料】

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